15.面倒くさがり、笑われる。
ではでは
15.
生徒会室に着くと、既に僕と秋以外のみんなは揃って座っていた。
「それで、どーだったの?」
姉さんが、秋に向かって言う。
長い付き合いなので、姉さんもゆかも、海斗も夏生もかりんも、秋が呼び出された件については多分なんとなく察しているのだろう。
「いえ、なんと言いますか。」
ははは、と苦笑いの秋。
僕もつられて苦笑い。
「穏便に、済んだ。と言っていいのでしょうかあれは。どう思います?ゆかり」
「知らんわ」
そっけなく返す。
いや、知らんわ。
「そう。ならいいんじゃないの?」
と、夏生。
「え、しゅーくん。もしかして?」
「はい、お察しの通りかと。」
と、京が秋に聞く。
そして秋が答えた。
「ほぇ〜、やっぱりかぁ。」
「京もあるだろ。」
物珍しそうに京が言うので、間入れず僕は京に言う。
「・・・なくはないよ」
知ってた。
「ねぇ、参考までにどうやって断るのかだけ教えてくれない?」
と、京。
「ええと、」
言い淀む秋。
そしてチラリとこちらを見る。
僕は我関せず。
「別にいいけど。」
とだけ答えておく。
秋は苦笑いしながら、
「えと、俺には大切な人がいるので・・・と言ってお断りしました」
「え!?あき好きな人いたの!?」
姉さんが興味津々、というふうに秋に詰め寄る。
「いえ、いませんよ?」
そっけなく返す秋。
?
と皆の頭の上に疑問符が浮かぶ。当然だ。
僕も事情を知らなければそうなるだろう。
「まぁここまでお話ししてしまいましたのでお教えしますが。あ、いいですよね?ゆかり」
「ん?ゆーくんが関係してるの?」
「僕が秋に、この方法なら穏便に済むと言って提案した」
チラリとみんなの視線を感じたので、僕は答える。
「秋はこの性格で、昔は尚更ただの優男だっただろ?だから昔、女の子から告白されてどうしたらいいか僕に聞いてきたんだ。
断り方としては間違っていない、と思う。理由が理由なら諦めもつくと思う。
だが、秋の想い人が嫉妬からくるイジメにあってしまったら?と、
それを考慮した結果、ええと・・・
「俺が、ゆかりと付き合っている。ということにしてもらったんです。」
言い辛いことを秋が言ってくれた。
ブフウッーーーーー!!!
バタッ。
ん?
「稲見先輩!?!?」
鼻血を吹いてひっくり返った。
「い、いえ。続けてください」
「だ、大丈夫ですか?」
「続けなさい(威圧)」
椅子を立て直し、姿勢良く真っ直ぐに座ると、メガネをカチャリと直し、まさかの威圧。
すごい怖いんですけどこの先輩。
ははは、と苦笑いしながら秋が続ける。
「まぁ、要するに俺とゆかりが同性愛であると、
ブフッーー。
「づづげなざい」←続けななさい
「俺とゆかりが同性愛者であ、
「受けはどっち!?!?」
「あんたちょっと黙っててくれ」
稲見先輩にタメ口でキレてしまった。
秋が苦笑いを崩さないまま、
「俺とゆかりが付き合っている、ということにしたんですよ。それならば、矛先はどこにも向きませんからね。」
「まず同性愛ならツッコミ辛いだろうし、稲見先輩みたいな方もいるし、もし仮に嫉妬が向くとしても僕にだし、割と丸く収まるかと思って僕が提案した。」
「すると、10あった告白が3にまで減ったんですよね・・・不思議なことに」
少しの間の後、
「「あっはっはっはっーーーーー、」」
みんな大爆笑。
「な、なるほど?ぶふっ。」
と夏生。海斗はずっとお腹を抱えて笑っているだけ。
「うふふっ、す、すみません。ふふっ。」
とかりん。堪えられていない。
「だからあんまり言いたくなかったんだ」
「ゆーくん、天才!ぶふっ」
姉さんに続き、ゆかと京までもが
「「ふふっ。あはははっ!」」
お腹を抱えて笑う始末。
ひとしきり笑った後に、
「まぁ、それで穏便に?済ませられているならいいんじゃないかな?ゆーくんも、あきも合意の上で付き合ってるんでしょ?ぶふっ」
「いや、付き合ってないから」
姉さんが茶化してくる。
ちょっと面倒。
「ふふふっ、今日はお話し合い無理そうですね。このまま解散にしましょうか。」
ここで救いの女神、藤堂先輩が本日は解散ということにしてくれた。
でも藤堂先輩も笑っている。あんたもおんなじだよ姉さんと。
「すみません、ゆかり」
「いや、別に。」
「ね、ねぇ。弟くん、ちなみに受けはどっち?」
あんたもう黙れ。