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13.ぼっちの習性、面倒くさがる。

では。

13.



「おはよー!」



後ろから聞こえる声にみんな振り返る。



「みや、おはよー」



と、姉さん。に続きみんながそれぞれで、おはよーと挨拶する。



「あれ?なんか空気わるーい?」



「ゆーくんがね」


「なんでだよ。」



「「「ゆーくんが、わるい。」」」



姉さんとゆかと夏生が口を揃えて言う。

んな理不尽な・・・



「ゆっくん、ゆっくん。何やらかしたの?」



「いや、なんも?」



「え、でも3人怒ってるよ?」



と、言われてもですね・・・

キョトン、と効果音つきそうな感じで京が首を傾げている。その仕草ちょっとかわいい。



「ふふっ、まぁまぁ。のんびりしていたら遅刻してしまいますよ?」



何故か上機嫌のかりん。

確かに少しゆっくり歩きすぎたな。



「少し急ぎましょうかね」



と、秋が言ってみんなでぞろぞろと学校へ向かって動き始めた。





校門が見えてくると、同じ制服を身にまとった生徒たちがチラホラと見え始める。

そして、案の定この集団に視線が集まる。



「おい、見てみろよ・・・」


「美男美女が歩いてる・・・」


「とっ、尊い・・・」


「近寄りがたいな、アレは。」



ざわざわと騒がれる。

当の本人たちは一切気にした様子は無いみたいだ。


(えにし)様・・・すてき。

弓弦姉弟も輝いているわ・・・。

キャーっ、宗谷様が微笑んでくれたわ!私によ!私よ!

結城さん、素敵だ・・・俺ちょっと逝ってくる・・・。

紫ちゃんもかわいいだろっ!!

いーや、俺は東さん派だから?

なんだと?やんのかコラァ!!



などなど、本当にアイドルグループみたいな扱いを受けている。なお僕に関しては黒子のように見えていないご様子。まぁ、慣れてるけどね?悲しくないよ?

というか、後半の男子諸君は少し落ち着け。



「それじゃ、またお昼にね!ゆーくん、真面目に授業受けるんだよ?」


「僕は真面目だよ」



ふふっ、とはにかみながら姉さんは学年が違うため下駄箱で各々別れた。

僕もゆかたちとは別のクラスのため、そこで一旦別れる。


「んじゃ、またあとでな。」


「ん、あとでな。」



海斗たちと挨拶をかわし、京と教室へ向かう。


「やー、凄いね・・・」



と、京。



「朝のあれだろ?一時(いっとき)はあんな感じだぞ。てか、京の名前もチラホラ聞こえた気がしたが?」


「私はなんか、お姉さんたちのついで?みたいな感じだったし?」


「それを言うなら、僕なんてほぼ黒子同然だったけどな」



あははー、と京は苦笑いで返してくる。

まぁ本当に昔からなので慣れているが。



教室に着くと、京ちゃんおはよーとかきょーちゃんおはーなどと女子からの挨拶を京が受けている。京も、おはよー!とクラスメイトに挨拶をしていてどうやら忙しそうなので僕はスタスタと自分の席へと向かう。


席に着き、鞄の中身を机の中にしまう。

ホームルームまで時間があったので僕は幾度となく繰り返してきた、腕を枕に机にうつ伏せる。


登校後、誰かはわからないが窓を開けて換気をしてくれていたみたいで、開いている窓から新鮮な空気が入ってくる。うつ伏せのままでもすーっと鼻から入り、喉を通って肺に入る。朝の空気は何故か旨い。


ズズズーッ。

ストン。



「なんでゆっくんてばいつも教室に来るとすぐにうつ伏せになるの?寝不足?」



京が自分の席に着いたらしく、体を横向きにして座っているだろう姿勢で僕に話しかける。らしいとか、だろうの理由は僕が未だ顔を上げずにうつ伏せているからだ。

僕はうつ伏せたまま、



「ぼっちの習性」



とだけいって、黙る。



「変なゆっくん。クラスメイトと話したりしないの?」


「今話してるよ」


「私じゃなくて、他のクラスメイトだよ?」


「面倒くさい」


「あはは・・・」




と、僕と京が会話していると、みやこ〜と他の女子が京を呼ぶ。呼ばれた京は、なにー?と返事をしてそちらに向かっていった。

正直助かった。

これ以上僕にクラスメイトと話せ、と煽ってくるなら僕は不機嫌を隠しきれずに京に嫌な思いをさせただろう。

そうなる前に京を呼んでくれた女子には感謝しておこう。





気が付けば放課後。

がやがやと教室が騒がしくなる。放課後特有の解放感にテンションがあがるのは僕も同じであった。

が、教室の入り口で、キャー!と悲鳴?ぽいものが聞こえたのでそちらに視線を移すとそこには秋がいた。

(あぁ、そういえば放課後に・・・)


昨日秋に頼まれ事をされたのを思い出す。

僕はさくさく荷をまとめ、鞄を持ち教室の入り口へ向かう。

ここで海斗や、姉さんなら僕に声をかけてきてクラスの視線を僕が集めることになるのだが、秋はその辺考慮してくれる。イケメンだしな!

でも結局のところ、僕が秋に近付いて行くと、何アイツ・・・や、秋様とどんな関係・・・などとヒソヒソされる。慣れてます。



「悪い、待たせた。」



「いえ、大丈夫ですよ。では、よろしくお願いしますね」



薄くほほ笑む秋。

いや、僕にその笑顔向けられてもって感じなのだが。え、なに。僕を惚れさせようとしてる?やだ、素敵!既に好き・・・。


廊下に出て、秋が呼び出されている体育館裏へと向かう。え、体育館裏ってまだそんな風習あるんだ・・・へぇ。ならヤンキーのたまり場とかもこの学校あるのかな?


などとくだらないことを考えながら、秋と二人で目的地へと向かう。姉さんには秋と二人、少しだけ遅れることを昼食の時に伝えている。



「俺は構いませんが、ゆかりはいいんです?」


「ん、なにが?」


「いえ、俺自身助かるには助かるんですがね。その・・・」


「まぁなるようになるだろ」


「そうですか・・・。すみません、いつも助かります」


「お互い様だよ。」




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