11.面倒くさがりの知らない一幕。
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では。
11.
夕食を終え、風呂からあがり濡れた髪を拭きながら部屋に戻る。途中で、ゆかの部屋の前で
「おーい、あがったぞー。母さんが、早めに入れってよー」
と、母さんからの伝言をゆかに伝える。
「はーい、わかったー!」
との返事を聞き、僕はそのまま自分の部屋に入った。
部屋に戻り、風呂上がりのまったりタイムを一人過ごしているとスマホがピロリンっと鳴る。誰だろうか。そこには珍しくも秋からのメッセージが届いていた。
『ゆかり、今大丈夫ですか?』
『ん、どうした?珍しいな』
『いえ、実は今日クラスの女の子にですねその。明日の放課後に呼び出しを受けてしまいまして』
『モテる男は辛いな』
『ははは・・・、それで、あの、いつものお願い出来ませんか?』
なるほどな。まぁ学校が新しくなったからこそのってやつかね。
昔から秋は凄くモテる。次いで、海斗も割とモテる。海斗はあの性格だからこそ、さらりと断ることができるのだが、秋は優男だ。
中々ハッキリと断ることが出来ないから、よく僕に相談してきていた。
そこで昔、僕は苦肉の策を提示しそれを実行に移した所、なんとまぁ告白が大幅に減ったという。海斗には頼めないので僕がソレを引き受けていた。
『あぁ、全然いいよ』
『ありがとうございます。助かります』
『まぁ元々は僕が提案してる事だし、気にすんな』
『あはは、では明日よろしくお願いしますね』
『りょうかーい』
『では、おやすみなさい』
『おやすみ』
ふぁぁあーーっ。
切りのいいタイミングであくびさんが出てきた。明日の準備も終わったし、そろそろ寝るか。
アラームをセットして、布団に潜り込む。
するとすぐに睡魔さんとご対面した。
----女子トークルーム----
『京』が追加されました。
えにし「・・・」
かりん「・・・」
京 「え、なんですか・・・」
夏生 「まぁここに来た時点で、みんなお察しって事だよ」
京 「・・・」
かりん「まぁ、なんとなくですけれどそんな予感はありました」
えにし「ゆーくんだし、ね?」
夏生 「仕方ないといえば、仕方ない・・・のかな?複雑だけどね。」
京 「や、でも。まだ少し気になるかなーってくらいですよ?本当に。」
えにし「なんで、ゆーくんなの?海斗とかあきとか、イケメンいるのに」
京 「えと、なんかこう。ほっとけないっていうか、ちょっとかわいいなって思ったりして・・・」
夏生 「わかる」
かりん「わかります」
えにし「激しくわかる」
京 「それよりも私はかりんちゃんがいることに驚きです・・・」
かりん「あら?私の方が先ですよ?ゆかりくんの魅力に気がついているのは。」
えにし「や、私だから・・・」
かりん「あらあら、えにしちゃん?今日の一件忘れたとは言わせないですよ?」
えにし「すみません」
夏生 「ゆかりんは?」
えにし「おふろー、」
えにし「あっ。あがってきたよ」
紫 「・・・はぁぁ。」
京 「その反応やだ!」
紫 「どうしてこう、・・・もう!ゆーくんのあほ!」
かりん「ふふっ、ではゆかりちゃんはご退場ですか?」
紫 「違います!」
えにし「じゃあ・・・」
夏生 「ゆーくん対策会議始めます。」
京 「えっ、なにそれ」
えにし「ゆーくんは?」
かりん「みんなのゆかりくんです。」
紫 「・・・みんなのゆーくん。」
夏生 「みんなのゆーくん」
えにし「抜け駆けは?」
かりん「禁止です。あら?でも今日抜け駆けした方いらっしゃいますよね?」
夏生 「禁止。そーだそーだ!」
紫 「禁止。お姉ちゃん、ダメ絶対。」
えにし「・・・コホン。」
えにし「ゆーくんが選んだら?」
かりん「素直に諦めます」
夏生 「す、素直に・・・諦める。」
紫 「・・・素直に諦めます。」
えにし「はい、よく出来ました。」
京 「・・・」
えにし「きょーちゃん。おっけー?」
京 「・・・」
かりん「あら?みやちゃんは脱落ですかね?」
夏生 「あっ、そーなの?」
紫 「ライバルが減るのは大歓迎ですっ」
京 「いいでしょう。負けられない女の子の戦いですね。受けて立ちます。」
かりん「あらあら、俄然やる気になってしまいましたね。ふふっ」
紫 「うぅ〜」
夏生 「うちは負ける気ないけど」
えにし「ゆーくんは罪作りな男の子だねぇ」
京 「でも海斗くんも、しゅーくんもいる中、なんでゆっくんなんでしょう」
夏生 「まぁ、色々あるんよ。てかうちは海斗とか絶対ありえないし。なんで弟を好きになるんよ」
京 「でもほら、しゅーくんとか」
夏生 「あれはただ格好いいだけだから」
かりん「ふふっ、ですね。やっぱりゆかりくんが一番ですよ」
紫 「うぅ〜〜〜〜!!!」
えにし「海斗もあきも良い子なんだけどねー。ゆーくんが一番かわいい」
夏生 「同意」
かりん「です」
紫 「ゆーくんは格好良いよ!」
京 「うーむ、大変そうだなぁ」
縁の知らない、
夜更けの一幕。