召喚されるまで
再投稿です
金曜日。それはこれから始まる土、日曜日が待ち遠しくなる日である。
大抵の人がこれからを楽しみに待ってる。それはユウキも例外ではなかった。
しかし、ユウキは学校に行くのは憂鬱だった。
学校にいる居心地はユウキにとってとても悪かったのである。
ユウキはいつものように始業のチャイムギリギリに教室に入ってきた。
そのとき、ユウキは他の男子たちから鋭い視線を向けられ、女子たちからは侮蔑と嘲笑の視線を向けられる。
ユウキはなれたもので、特に気にしたようでもなく自分の席につこうとした。
ユウキの席はクラスの隅にあるため、必然的に着くまでの時間が長くなる。
「よう、キモオタ。今日もちゃんと来たのか。」
「キモオタはキモオタらしく、家でゲームしてろってのww」
何が面白いのか下卑た笑いを浮かべてきて、平山秀幸がユウキに話しかけてくる。
こいつは井手口四季、水本昂輝、近藤悠の三人と共にユウキに突っかかってくる。
確かにユウキは多少のオタクである。〔誰も知らないが、厨二病でもあった〕
だが、外見は普通で、清潔感もあり、話しかけられればしっかりと受け答えをする人でもある。
オタクに対しての偏見はあるがここまでではない。
なぜこんなにも敵対されているのかを証明する原因がやってきた。
「広瀬くん、おはよう!もう少し早く来たほうがいいと思うよ?私ももっと朝広瀬くんと話したいし!」
彼女の名前は深沢彩華。
天然とは思えない艶のある長い黒髪、大きさも配置も神がかった瞳、すっと通った鼻梁に小ぶりの鼻、薄い桃色の形の整った唇。
微笑の絶えない彼女の優しげなオーラに当てられてしまう生徒も少なくない。
クラスのみんなからも頼られ、なおかつ責任感も兼ね備えているのだから、完璧な美少女と言っても過言ではないだろう。
そんな彼女は何故か影の方にいるユウキに対してよく喋りかけてくれる。
ユウキは平凡な顔立ちである上、授業中も寝不足で寝ているため〜先生たちの心象も悪い。〔テストの点は中の上くらいだが〕
生徒たちは何故あいつだけなのかと疑問を持つものも多いようだ。
そんな彼女に注意されても改善しないユウキに腹を立てている者も多いようだが。
「ああ、おはよう。深沢さん。」
挨拶を返した途端、背筋が凍った気がした。
周りを見てみると生徒の目が数段鋭くなっていた。
理由は挨拶を返したときに彼女が見せた満面の笑みが原因でもあるのだろう。
なぜそんな顔をするっ!?とユウキは心の中で思っている。
自分に対して恋愛感情も持ってくれているなどとのうぬぼれはしていない。
ユウキにはそんな彩華に対して不思議に思っていた。
「広瀬くん、おはよう。今日も朝から大変だね」
「彩華、またそいつに世話焼いてるのか?」
「そんなやつに構わなくていいだろ。こっち来いよ。」
三人は全員彩華の幼なじみである
唯一俺に向けて挨拶してくれた少女が弓波凛ゆみなみりんである
彼女の実家は様々な武道の道場を開いており、その中で彼女は弓道が一番得意だそうで、剣道の心得もあるそうだ
クラスの全員が彼女のことを頼りにしている
二番目にハルキに声をかけるのはクラスのリーダー的存在である暁月氷空あかつきそらである
彼も同様に彩華の幼なじみである
身長も180cm近くあるという高身長でイケメンで爽やか、そしてスポーツ万能という物語の主人公を体現したような男だ
彩華と凛とは家が近く、生まれたときからの付き合いで成り行きで和彩の実家の道場にも所属しているそうだ
剣道は得意だそうでなかなかに強いやつらしい
最後に声をかけてきたのが弘原海風舞わだつみふうまである
彼は小学生のときに氷空と出会い、それから親交が続いている
中学のときから部活として空手をしており、そのせいか190cmをこす巨漢になってしまっている
見た目に反せず、細かいことを気にしない脳筋タイプである
「そんなことないよー。別に広瀬くんと話してもいいでしょ。もうちょっとでチャイムもなるよ。広瀬くん、後でね」
彩華がそんなことを言うとちょうどチャイムがなった
キーンコーンカーンコーン
「はーい、おはようございまーす」
このクラス担任の南沢初華みなみさわいちかである
25歳というバリバリの社会人であり、身長も平均的な160cm手前である
「いっちゃんせんせー、おはようございまーす」
クラスメイトがそう先生に声をかけた
「その名前で呼ばないでくださいよー」
先生は怒っても迫力がないので、いつも生徒たちにからかわれている
「まあ、いいでしょう。ホームルームを始めまーす。」
そうして朝のホームルームが終わり、授業が進んでいく
お昼になる
ハルキのお昼ごはんは時間がないときのおともである9秒チャージである
ハルキはお昼ごはんをすぐに食べ、昼に寝ることがいつもの習慣である
「ハルキくーん、一緒に食べよー」
ハルキは致命的なミスをしていた
教室でご飯を食べると彩華が来るのを忘れていたのだ
「深沢さん、いいよ僕は。暁月くんたちと一緒に食べなよ」
周囲の生徒たちから殺気を含んだ視線を向けられる
ハルキが彩華と一緒にご飯を食べるのも許せないが、断られて彩華が悲しむ姿を見るほうが嫌なのだ
しかし、ハルキは彩華と食べるほうが怖いのだ
だからハルキは断るようにする
そこに、助太刀をするような声が飛んできた
「彩華、そんなやつと食べるんじゃなくておれたちと食べようぜ〜」
そんな声が氷空から飛んでくる
ハルキはそれに便乗するようにする
「深沢さん。暁月くんもそう言ってることだし」
「え〜、広瀬くんと一緒に食べたいのに」
そんなことをがありながらも昼が終わり、5時限目が始まる
担当の先生は南沢先生である
「はーい、ここがこうなるので……」
俺は眠くてぼーっとしていた
もうすぐで寝てしまいそうである
しかし、ハルキはすぐ目が覚めてしまった
なぜなら、彼の目の前で非現実的なことが起きたからである
教室の中央で紫色の魔法陣が光り輝き、どんどんと規模を広げていく
「みなさん、教室からはなれ……」
先生が教室から出るように促そうとしたが、それよりも早く魔法陣が起動してしまった
「うわっ!」
「キャー!」
クラスメイトが騒ぐ
ハルキも普段の様子からはかけ離れ、とても焦っていた
(何が起きてるんだ!?)
ハルキがそんなことを思っていると視界が真っ白く輝いていき……
次に目を開けると……
どこかの塔の上からの雄大な光景が広がっていたのだ!
誤字脱字があれば教えて下さい
感想も良ければお願いします
もう一つ連載している作品があるのでそちらもご覧ください