≪プロローグ≫半獣世界の始まり
その昔、人類は領土を広げるため王の名のもとに戦争を繰り広げていた。
神々はそんな人類を罰するためか、世界中に隕石を落とした。隕石が落ちたことで多くの人々が死に、世界は悲しみに包まれた。
しかし、悲劇はこれからだった。隕石の中から紫色の鉱石が含まれており、その鉱石の中にはウィルスが含まれていた。ウィルスは蜂のような形をしており、飛沫感染により次々に人々に感染したことから、狩をする蜂をする"WASPウィルス"と呼ばれた。それとともにWASPウィルスの巣である紫色の鉱石には蜂の巣を意味する"COMB"という名がつけられた。
人がWASPウィルスに感染すると50%の確率で死に至る。生き残った人々も2〜3日に渡り発熱や嘔吐に悩まされた。そして、その2〜3日間でWASPウィルスは感染したもののDNAを変化させ、半獣のような姿へと変化させた。さらに変容後2週間〜1年の時をかけ、変容した者のみぞおちに鉱石のような物質をつくった。この物質は研究者によって蜂の巣箱を意味する"HIVE"という名がつけられた。
HIVEを生成したものの中には、稀に自然の力を操る能力、異能を発動する者が現れた。
変容も異能もWASPウィルスとDNAの結合によるもののため、血筋で似ることが多かった。また、変容した者同士の子供は始めから半獣の姿で生まれてきた。
世界は変容したもので溢れた。それだけ、WASPウィルスの感染力は強く、変容していない人類を街で見ることはなくなった。
当然、世界は大パニックとなり、戦争は休戦となった。しかし、姿は変われど、人々の差別や争う性質は変わらない。変容したものは異能を持つものを恐れ迫害し、争う者たちはより強い力を求め、異能を求めた。力を求めるもの中には他者のHIVEを食すことで力を得ようとするものまで現れた。実際、他者のHIVEを食すことで更なる変容や異能の発動・強化など、強い力を得ることができた。その中でもDNAの近い血族のHIVEを食したものは禁忌を犯したものとされ、HIVEと瞳の色が深い紅へと変化した。他にも力を求める人の中には異能の発動を求めHIVEの研究・人体実験するものも少なくなかった。反対に平穏を望むものは人類が変容する前の世界を求め、WASPウィルスのワクチンを研究するものもいた。
それぞれの思いと欲求が交錯するこの世界で、ある一人の男の子が生まれた。名は悟≪さとる≫。猿と人との半獣の姿をしており、炎の異能を持って生まれた子。これから始まる物語は悟とその仲間たちに起きた出来事である。