私はだれ?
地球のぴかりんは、毎日を女の子として楽しく過ごしていた。そして、ぴかりんは人間になりたいと思うようになった。学校からの帰り道、ぴかりんは深刻な顔をした女性が陸橋から飛び降りようとしているのを発見する。ぴかりんは走って女性を地面に突飛ばした。「なにするの?」女性は止めたぴかりんに激怒した。ぴかりんは「どんな事情か分からないけど、こんな事は止めて!あとで残された家族はどんな思いで生きていけばいいのよ。」女性を叱った。女性は「私には家族なんていないわ。私が死んで悲しむ人なんかいない。」しばらく女性は座り込んだままだった。ぴかりんはとぴーるで彼女の状況を見た。その女性は、記憶喪失だった。今はボランティア施設に保護され、失った名前をつけてもらって生きていた。ようこさん。でもそれは本当の名前ではない。ようこさんは「私が何者で、今までどうやって生きてきたのか全く分からないの。どうして記憶がないの?なんでなの?」静かに泣いていた。彼女は、この陸橋近くの駅で、保護された。記憶はそれ以上ないのだと言う。地べたに座り込んだまま泣くようこさんを抱きしめて、ぴかりんは彼女のなくした記憶の中へとぴーるを使って入ってみた。彼女はこの駅に着く前に、一人の女と会っていた。その女は、ようこさんと職場が同じだった。男の多い職場で事務をしていた二人は自然と仲良くなった。しかし、二人に対する他の社員の態度は違っていた。社員たちは、ほとんど男だ。綺麗なようこさんに対しては、優しく、親切にし、食事に誘ったり、口説いたり、冗談を言い仲良く働いていたが、もう一人の女には、デブだブスだとひどい言いぐさだった。冷たい態度をとり、全員で無視をすることもあった。仲の良かった二人は、周りによって引き裂かれていく。女はようこさんに嫉妬し、憎しみまで持つようになった。その日から執拗なまでの嫌がらせを女はようこさんにするようになった。ようこさんは自殺を考えるくらい悩んでいた。ある日、女は駅近くの公園にようこさんを呼び出した。ブランコに乗ったようこさんを女は勢いよく突飛ばした。そこから、彼女は記憶を失ったのだ。じつの名前は友美さんだった。友美さんの両親は捜索願いを出していた。両親、兄弟が共に彼女を必死で探していた。ぴかりんは、ボランティア施設にすべてを話した。そして友美さんは実家に帰っていった。記憶はまだ戻らないが、病院でしっかり診てもらいながら、両親が支えていくとの事だった。友美さんはぴかりんに「ありがとう」と言った。でも、彼女の記憶喪失が治った訳ではないので、ぴかりんは複雑な気持ちがした。友美さんが必ず記憶を取り戻すように。ぴかりんは呪文を唱えた。しばらくして、友美さんの記憶が戻りつつあり、回復してきているとボランティア施設から聞かされた。ぴかりんはほっとしたのだった。




