女の子
おばあさんのお布団でぴかりんは、気持ちよく寝ていました。すると、とぴーるがなった。とぴーるとは、ニコルおじさんからもらった通信器機だ。とぴーるは、必要な時には現れ、必要じゃなくなると消える。持ち運びなんて不要。ニャートスとおじさんはテレパシーでやりとりができる。でも、ぴかりんにはまだ難しいのだ。「おじさん、なあに?」「ぴかりん、君の近所に病気の女の子がいる。その子を助けてあげてくれ」少女は小学生で父親から暴力を受けていた。毎日学校から帰ると殴る蹴るを繰り返され、少女は病気になった。うつ病である。学校は休むと父親から怒られるので、なんとか通っている。ぴかりんは、呪文をかけて、人間の女の子に変身した。そして転校生として、少女のクラスに入った。少女はうつむいて、静かに一人座っていた。「ねぇ遊ぼうよ」ぴかりんは、声をかけた。少女は絵を書くのが大好きみたいだ。ノートにいろんな漫画を書いていた。「すごいね」ぴかりんは、少女と友達になった。少女はみくちゃんといった。昼休みは二人で、似顔絵やら、漫画やらたくさん書いて遊んだ。ただ、みくちゃんの様子は下校が近くなると変わっていった。帰り道、みくちゃんの体はブルブル震え出した。「お父さんがもうすぐ帰ってくる」そう言って苦しそうにうづくまった。ぴかりんは、とぴーるで「おじさん、みくちゃんが大変よ。」「すぐにニャートスが向かった。大丈夫」ぴかりんは、みくちゃんを抱き締めた。そのうち、ニャートスが来てくれた。みくちゃんは猫が大好きでニャートスを抱いて離さない。みくちゃんは、しばらくうづくまり、深呼吸をして、うちに帰っていった。ニャートスを抱いて。ぴかりんは、さよならと別れたふりをして家までついていった。そこへ車が帰ってきた。みくちゃんのお父さんだ。みくちゃんの抱いた猫を見た父親は、「誰がこんなものを連れて帰れと言ったんだ!」と怒鳴りはじめ、ニャートスを放り投げた。みくちゃんの髪の毛を掴むと父親は柱に叩きつけた。みくちゃんは泣かなかった。泣くと余計に殴られるから。ニャートスは父親の首に噛みついた。ギャーっ父親が失神するほど強く噛みついて話さなかった。倒れた父親にみくちゃんは泣きながら、クッションを投げつけた。父親は首から血を流していた。助けてくれと叫んだ。ぴかりんは警察を呼んだ。そして、ここで見たことを話した。父親は猫に噛みつかれた話をした。「こいつのせいで、、」警察官は「猫は逮捕できないだろ」と言った。みくちゃんの体はアザだらけで、虐待が明らかだった。すぐに、警察官は父親を逮捕した。みくちゃんは治療を受けるため、病院に運ばれ、しばらく入院することになった。ぴかりんは、みくちゃんの病院にお見舞いに行った。すると、別れたお母さんがみくちゃんの世話をしていた。父親から暴力を受けていたのは、母親も同じだった。退院したら、父親と二度と会わないように、遠くで、二人で暮らすそうだ。ぴかりんは「良かったね、みくちゃん。早く良くなってね」みくちゃんは輝くような笑顔で幸せそうだった。
ニコルおじさんから、
とぴーるが鳴った。「ぴかりん、よくやったね。まだまだ、みくちゃんの心の傷は癒えないかもしれないけど、時間をかけて治療していけば、立ち直れるよ。お母さんが側にいるからね。」ニコルおじさんは親子に当面困らないだけのお金をこっそり寄付していた。




