贈り物
ニコルおじさんからペンダントが届いた。「これ何?」ぴかりんは聞いた。「これはさ、おじさんの星のもので、その人がつけると、その人の一番会いたい人がスケルトンな形で写るんだ。これをおばあさんに渡して、どうしたら、彼女の石の心を溶かす事ができるか試すつもりだよ。」とニャートスは話した。ニャートスはこっそりその美しいネックレスをおばあさんの部屋に置いておいた。おばあさんは、はじめ、見向きもしなかったが、若い頃から宝石好きで、きらきら美しいそのネックレスを思わず取って、首に当てていた。すると、亡くなったおばあさんの夫が壁に透けた形で現れた。おばあさんの若い頃や結婚した当時の幸せな時期、赤ちゃんを抱いて笑顔いっぱいの場面が走馬灯のように駆け巡った。夫は「もう少し素直になりなさい。頑固な心で最期を迎えるのは寂しいものだよ。」おばあさんの瞳から涙がポロポロがこぼれ落ちた。穏やかな笑顔をしておじいさんは消えた。おばあさんはしばらく、ベットにうつ伏せになって泣いていた。おばあさんは次の朝、職員に「皆さんと同じ食堂でたべます」と言い部屋から車椅子で出てきた。皆だれだろうと不思議な顔をしていたが、皆認知症の人ばかりであるから、すぐに忘れてしまう。おばあさんには幸いだった。おばあさんはゆっくりゆっくり、その施設に馴染んでいった。今では編み物をしたり、本を読んだり、日中も部屋にこもることはなくなったのだ。ペンダントは今もおばあさんの胸で輝いている。




