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とある……
この世でもっとも仰がれ貴ばれ、ありとあらゆる悪意をその身に抱えた女性がいました。彼女は子を成したあと、一人でどこかに消えてしまいました。彼女は故郷から遠く離れた地に木を植えました。一本の木は二本になり、林になり、森となりました。そこに館を建てて、穏やかに暮らしていきました。一人の寂しさは、生み出した使い魔が慰めてくれました。
彼女はずっとその館で生活していきました。ずっと。ずっと。
あるとき、森に一人の女の子が迷い込んできました。その女性は、迷い込んだ女の子を育てることにしました。なぜなら、その少女は女性が背負ったはずの穢れを背負っていたからです。
少女にはたくさんのことを話しました。生まれてからこれまでのこと、全てを。
少女にはたくさんの愛が捧げられました。しかし、少女はどんどん悲しくなっていきました。なぜなら、母親のように思っていた女性の見た目に追いついていったからです。
だから少女は母親を抱きかかえ、その膨大な穢れを背負い、母親と別れを告げたのです。




