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最近は女の方がカッコイイ

「お、おかえり烈、これを壬生浪士組へ持って行ってくれるかい?」


挨拶回りも終わり、近所と大分打ち解け、俺これならニートなんてやらなくても生きてけたんじゃね?と思うくらいに仲良くなった頃、近所の子供たちの相手がてら持病を聞き回りかえって来た烈に良順が黒塗りの木箱を差し出してきた。


げっ、とあからさまに嫌そうな顔をする烈に良順は苦笑し、閃もついてくるという条件と、軍鶏を買って軍鶏鍋にしてくれるという条件の下烈は承諾した。肉が食べれない生活は思ったより辛い。


「あの・・近藤殿はおいででございますか?」

そこらへんを歩くかの有名なダンダラ模様の浅葱色の羽織を来た隊士に声をかける。


「・・・!お前っ・・・!」

一際でかい声で烈達を迎えたのは、件の槍使いだった。

嫌な奴にあった。

本音を笑顔で誤魔化し、これはこれは、と頭を下げた。

悪い男ではないのだろうが、嫌な記憶が先走る。


「良順先生の使いで参りました。五百夜と申します。近藤殿は何方にお出でか?」


「・・っつ!先日は済まなかった!どうか、許してくれ!」

屯所の出口で大の男が頭を下げる様は、道行く人々の目につく。

・・・やめてくれ。

心の底から叫びだしそうになるのを必死で我慢する。

大体、なぜ道を歩いていただけで一歩間違えばもうこの世には居なかったであろう目にあわされなきゃならんのだ。


「・・・もういいですよ、頭をあげて下さい。」

内心うんざりとして声をかける。


「・・芹沢さんですよ。」

透き通るような声が響いた。

奥から出てきたのは先日、総司、と呼ばれていた男だった。

というか剣の腕前から考えてあの沖田じゃね?

よく考えてみれば、それが当たり前に思えてくる。

もう驚かない。

だって俺だってよく考えればあのコンビニのお姉さんは未来で有名になっているかもしれない。


「・・芹沢?」

怪訝そうにそう問えば、沖田が頷く。

「ええ、そうですよ。芹沢さんがあの三人組が怪しい、並ならぬ殺気を纏っている、近藤筆頭の刺客やもしれぬ、取り囲め、と言ったのを皆で鵜呑みにしたんです。丁度、近藤さんに脅迫の手紙が届いておりましたからね。」


沖田の言葉に、思考を巡らす。ただ単に、仕返しだったのか。腕が見たかったのか。

何方にせよ芹沢には一層嫌悪を抱いた。


「・・なるほど。頭を上げて下さい、槍の方。」

男はがばっと頭をあげた。

瞳にはもう怒ってない?とでも言いたそうな不安そうな顔。

年上の筈の男に、なんだか愛着が湧いた。

というか吹きそう。

「別に我々は怒っている訳ではありませんので。」

芹沢には嫌悪を抱いたけど。

吹き出しそうになるのを精一杯こらえてそう呟いた。


* * * *


原田だ。原田はらだ左之助さのすけ

と、がっつり手を握られ、左之とよんでくれ!ともの凄い形相で言われ、これまたそこらに居た隊士の内一名を捕まえ、近藤の部屋に案内する事を命じると彼らは見回りをするとかで行ってしまった。


「・・・江戸での関係を一掃してこの道に入った筈が、人との縁はなかなか切れぬな。」

・・・・・・!?!?!?!?!?!


閃と二人、女の声がして、前後左右を確認する。だがそれらしき人物はいない。

せいぜい野太い声で刀を振るう隊士のみだ。


「何を間抜け面している。ここだ。」

聞こえてきた方向に顔を向けると、そこには近藤の部屋まで案内していた筈の一隊士ーーー

もとい、隊服姿の涼が不適に微笑んでいた。


「・・・っつ!?!?!?り、りょ」

慌てて涼が烈の口を抑え、事無きに及んだが、ぽかん、としている閃が口を開いた。

「・・・何をしている?情報屋はどうした?」


「ここでは鈴谷すずやまことだ。姓で呼べ。

・・・・仇討だ。お前と同じくな。敵は長州の出らしい。いつか出会うだろう、ここに居れば。」


声を低くし、涼ーーーもとい、鈴谷はそう静かに語った。

こんな男だらけの中に、女一人!?間違いがあったらどうする?

それに、やや子(胎児)は!?


「問題はない。今の所気づかれてはいないしな。腕は流石に近藤や沖田には負けるが、男衆の中でもいい方だ。もしもがあったら近藤か根岸あたりを脅すさ。土方でもいいな。やや子は・・・・・・・・」


流れた、と消え入りそうなか細い声で彼女は呟いた。


「さあついたぞ!近藤さんに用事があるのだろう。あの方はいいぞ。話していて面白い。ほら行けっつ!!」



半ば強引に障子を開けられ、近藤の部屋へ入室する形になった。

最初に出会った時とは違い、入室する前に見た彼女は酷く苦しそうにわらっていた。

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