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それでも俺は  作者: 有馬五十鈴
3番目の街
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力の差

「……やっぱりてめえだったか……終!!!」


 俺は終に怒鳴りつけた。


「本当は5番目の街辺りでネタバレする予定だったんだけどね。どこかのだれかさんが足を引っ張っちゃったおかげでおれの計画はパァになっちゃったよ」


「ギャハハ! そうかよぉ」


「それにきみがリュウと接触を図っていたなんておれは朝まで知らなかったよ。きみこそお遊びが過ぎるんじゃないかい?」


「あたしの本命はクリスだったんだよぉ。どっちが先にグール化するかっていう状態異常の耐久レースしてたってのに余計な真似しやがって」


「それはこっちの台詞だよ」


 終とキルはそうして気さくな態度で談笑していた。


 どこまでもふざけた奴らだ。


「キルさん……」


 そんな光景を見ながらクリスがぽつりとキルの名を呼んだ。


「そんな切ない声だすなよクリスぅ? あんたとあたしは牢屋仲間ってだけの関係だったんだからよぉ?」


「うぅ……」


 クリスを裏切るキルの発言に、クリスからのほほんとした空気もなくなり、その場で唇を噛み締めていた。


 それを見て俺は終とキルを睨みつけた。


「おや? 何かおれたちに言いたいって顔をしているね、リュウ」


「……ああ、言いたい事は腐るほどあんだけどよ……さっき言ってた計画とやらはどんなものだったんだ?」


「きみたちと友好的な関係を育んでおれを信頼し始めたところを後ろからグサリってね」


「やっぱてめえ禄な人間じゃねえわ」


「よく言われるよ」


「それとてめえはなんであの夜に俺らとヒョウ達を会わせたんだ」


「ヒョウたちとリュウたちをぶつけたらどうなるだろうと思ってね。STR全振りとINT全振りの対決とかロマンがあるじゃない? まあ結果は引き分けだったみたいだけど」


 終は淡々と俺の疑問に答えている。

 そうしている間にプレイヤーがどんどん俺らのところに集まってくる。


 そしてそれでも無表情な終の横ではキルがギャハギャハと笑い続けていた。


「それで? リュウ達はあたしらをどうするつもりだぃ?」 


 どうするつもりかって?

 そんなもん決まってんだろ。


「勿論逃がさねえよ。てめえらはここで終わりだ」


 俺は終とキル、それに『仮面同好会』のメンバーに向かってそう告げた。


「前回みたいにはいかねえ。今回は数で俺らが圧倒的優位だ。てめえらはもう袋のネズミなんだよ!」


 そうして俺らは終達を囲み始めた。


「ここには少なくとも50人以上のプレイヤーがいる。それに対しててめえらは8人。どうあっても逃げられねえぞ! 終!」


 俺は終に向かってあらん限りの力を込めて言い放つ。


「てめえらに殺されたエイジの、プレイヤー達の、人間達の報いを今与えてやる!!!!!」


 そうして俺らは戦闘態勢へと移行した。


「数では優位ねえ。でもそれがどうかしたのかな?」


 50人以上に囲まれている終はなおそんな事を言って首を傾げている。


 ……一体何がコイツをこんなにも冷静にさせているんだ?


「確かにきみたちの方が数では勝っている。でも、それでもまだ足りない。おれを倒すことはできないよ」


「減らず口を……!」


 1人の男が声を出した。

 その男はすでに剣を終に向けており、いつでも斬りかかれるといった様子だった。


「ならかかってくるといい」


「上等だ!」


 終の挑発に乗った1人のプレイヤーが終に襲い掛かる。

 そしてそれに一歩遅れて10人前後のプレイヤーも同じく動き出した。




「おれを甘く見すぎじゃないか?」




 ……終は一番早く襲い掛かっていた男が振り上げた剣の刀身を素手でつまみ、持ち主を蹴り飛ばした。

 そしてすぐさまそのつまんでいた剣を右手に持ち直し、次に襲って来るプレイヤー集団に向かって剣を横にして振り切る。


「『ロングスラッシュ』」


 終が一言そう言って振った剣は、大きくリーチを伸ばして襲い掛かるプレイヤー全てを強引になぎ払った。


「な……っ!」


 そうして10人ほどのプレイヤーは終の攻撃で遠くに吹き飛ばされた。




 俺は理解できなかった。


 なぜこんなにもあっさりプレイヤー集団がやられる?


 なぜこんなにも終は強い?



 というよりも



 なぜ終の攻撃が当たる?



「おやおや。なんだか不思議そうな顔をしているね。何か気になることでもあったかな?」


 終は無表情な顔つきで俺を見ながらそう言った。


「……なんでてめえはそんな簡単に攻撃が当てられるんだよ。てめえ……STRに全振りしたんじゃねえのかよ」


 そうだ。

 初めてコイツと会った時、コイツは自分がSTRに全振りしたという事をほのめかしていた。

 だから俺はコイツの武器には何かしらの命中補正があると思っていた。


 だが今俺が持つ終の剣にはそういった補正は掛けられていなかった。

 そして今終が持っている剣は、さっき襲ってきた男から奪い取ったものだ。

 そんな剣に高い命中率が備わっているだなんて幸運があったとも思いにくい。


 だったらなんで終の攻撃は当たるんだ?


「おかしなことを言うよね君は。普通剣を振れば斬れるし拳を振れば殴れるもんでしょ」


「だが……DEXが低いとたとえ当たる攻撃でもすり抜けて――」


 俺が話をしている途中、突然終へ向けて1本の矢が飛んできた。


「……おれたちが話をしている最中に邪魔しないでくれるかな」


「グッ……」


 ……だがその矢は終が持つ剣によってあっさりと叩き落とされた。

 その矢を放ったらしい男は何の苦もなく矢を落とされたことで苦い顔をしていた。


「次邪魔したらおこるよ?」


 そして終はその弓プレイヤーに向かって怒りの感情が見えない口調で忠告した。


「……ふう、それでなんの話だったっけ?」


「……攻撃判定の話だよ」


 終は何事もなかったかのように話を再開した。


 もはやコイツにはどんな攻撃をしようと容易く捌かれてしまうのだろう。今のを見て他のプレイヤーまで恐縮し始めた。


「ああ、攻撃判定ね。でもそれってゲームの話でしょ? おれたちは現実を生きてるんだよ?」


「……なんだよその理屈は」


 確かにこの世界は現実そのものだ。ゲームだなんて思えない。


 だがそれでもゲームのルールは間違いなく俺らを縛り上げている。

 それなのに終はそのルールを越えられる?


「わかってないようだから教えてあげるよ。この世界でプレイヤーに課せられた攻撃判定のルール、それは『プレイヤーが攻撃の意志を持った状態で攻撃行動を起こし、プレイヤー及びモンスターに物理的な衝撃を与える』というただそれだけの事なんだよ。じゃないとおれたちはDEXがなくっちゃ日常生活すらままならなくなっちゃうからね」


「…………っ!」


 ……そうか、そうだったのか。


 確かに俺も攻撃の意志が無ければ大体の事はできていた。

 バルを撫でたりシーナを抱きしめたりも普通にできていた。


 そして……つまり今の終の攻撃は……攻撃をしたという自覚すらなく攻撃をしたということだ。


 だが……


「そんなことが……できるのか……?」


 ……少なくとも俺にはできそうもない。


 相手を殴る時は相応の覚悟と敵意を込めて殴るもんだ。

 じゃないと力は入らないし、なにより殴る相手を思いやれない。

 殴る相手に思いやりもクソもあるかって話かもしれないが、殴るっていうのはそいつの存在を認めているからこそできる行為なんだと俺は思う。その認めてるってことがプラスの感情にしろマイナスの感情にしろだ。



 だが終は違う。

 コイツは相手を殴る事も蹴る事も斬ることも無感情に行っているということだ。

 殴ったものは人ではなくてただの物で、それを蹴っても何も思わない。

 そして人を斬ったとしても、たとえ殺したとしても、その存在に何も思わず、その存在を認めていないことになる。


 そんな事が、終にはできるということなのか?


「何を驚いているんだい? このルールは今までの生活でなんとなく君も気づいていたことなんじゃないかい?」


「…………」


 俺は何も言い返せない。


 そんな実証不可能なルール、たとえなんとなくわかっていたとしてもどうする事もできないだろ。


「……もう1つ聞きたい……なんでてめえはさっきプレイヤーの動きに追いつけたんだ?」


 俺は苦し紛れに終にそう訊ねた。


 苦し紛れではあるがこの問題もかなりおかしい。

 アイツは襲いかかるプレイヤーの剣を何気なく摘まんで奪った。


 だがそんなことがAGI最低の終にできることなのか?


「それこそおれを甘く見ている証拠だよ。あんな素人の振りじゃあ剣を奪ってくださいって言ってるようなものだったんだから」


「は……?」


「レベルを上げてステータスを高めるだけで強くなれるだなんて幻想だよ。実際はPS(プレイヤースキル)が何よりものを言うんだからね」


「……そんな……馬鹿な……」


 終の言葉に俺は思わず絶句する。


「そして後ろから来た10人についても同様だ。人数で勝っているからといって闇雲に襲い掛かってくるとか、舐めてるとしか言えない行為だ」


「う……」


 確かにさっき終に襲い掛かったプレイヤー集団は迂闊だった。

 アイツらは終を囲んで叩けばそれで終わると思っていたんだろう。数で勝っているからといって油断しすぎていた。


 そしてその結果がこれだ。終はあの一瞬で的確なスキル選択をして一辺にプレイヤー集団をなぎ払った。


 終に舐めていると言われても仕方のない結果だろう。


「そろそろおれたちも帰るとするかな。もう魔王も倒されちゃったし」


 そうして終は俺らに背を向けて歩き去ろうとする。


「ま、待て!!!」


「……今日はもうお開きにしたいんだけどな」


 終はやれやれといった様子で無表情に首を振り、そして俺の方へ顔を向けた。


 そしてその時キルが動き出した。


「ギャハハ! だったらあたしがお開きにしてやるよぉ!」


「っ!」


 俺の前にいたキルが突然アイテムボックスの中から花火玉を取り出して俺に投げつけてきた。


「くっ!」


 だがその攻撃に反応できたシーナが俺の前に立ち、腕でガードしながら花火玉に当たった。


「……え?」


 シーナの目の前で花火が弾け、そしてその後シーナが驚いた様子を見せてきた。


 そしてシーナは大きく口を開いた。


「リュウ! あの花火何か変よ! 絶対当たらないで!」


「ギャハハ! おせぇよ!!」


 そうしてキルは2投目の花火玉を投げてきた。


「させん!」


 その花火玉を今度はバルが盾で受け止めてガードした。

 花火玉が盾に当たって虹色の光を放つ。


「なっ!?」


 そしてバルもシーナと同じく驚きの声を上げた。


 なんだ? 何が起きている?


「キル、やめなさい」


 と、そこで終がキルに静止を呼びかけた。


「なんだよ大将。こっからが楽しいとこなんだぜぇ?」


 キルは何が楽しいのか、狂気の混じった笑みを浮かべ続けている。


「おれは好きな食べ物を最後まで残しておくタイプなんだ。だからやめなさい」


「あぁあぁわかったよぉ、ったく」


 終の窘められたキルは3投目の花火玉を渋々といった様子でアイテムボックスにしまいこんだ。


 だがバルとシーナは警戒体制をとり続ける。


「お、おい……シーナ、バル、一体どうしたんだ?」


 そんな中、俺は様子がおかしいバルとシーナに声をかけた。


 なんで2人ともそんなに動揺している?


「……今、『残像』が発動したわ……」


「……は? 『残像』?」


「わしも、何故か『鉄壁』が発動したぞい……」


「…………」


 スキル『残像』に『鉄壁』、どちらもHPを0にする攻撃ダメージを一度だけ0にするスキルだったはず。


 そのスキルが発動した?

 なぜ?


「どうやらスキル効果で命拾いしたようだなぁ?」


「何……?」


 い、命拾い……だと……?


「花火玉には隠し効果として敵にぶつけると低確率で即死効果つきのダメージが入るんだよ」


「ッ!?」


「あぁ? 大将それ言っちまうのかよ?」


「別にいいでしょこれくらい」


 即死効果だと……?

 それってつまり当たったら死ぬってことじゃねえか……


 今の攻撃では『鉄壁』と『残像』がその即死効果をHP0になる攻撃と判定して無効化してくれてはいたが……2度目は無い。

 終が止めなければマズイ事態になっていた。


 いや、というよりも、それより更に驚くべきことは……


「なんで街の中なのにダメージが入るんだよ……?」


 それが一番の謎だ。

 この世界のルールの1つ。プレイヤーは街の中ではHPが保護される。

 これがある限りどんなことをされても死にはしない。


 なのにそのルールすらもコイツらは突破するのか……?


「ああ、それはどうやらただのバグみたいだね。この花火玉の効果も説明には載ってなかったし」


「ば、バグ……?」


 そんなものがあっていいのか……?


 花火玉を当てるだけで人が死ぬ……?


 そんな……そんな凶悪なバグがあって……


「まあでもこの効果は本当に低確率だから。滅多なことでは発動しないよ」


「滅多にって……さっき2回連続で発動したじゃねえか!!!」


「ギャハハ! 普通だったらそうなんだがよぉ、あたしに限ってはそうじゃないのさぁ!」


 キルが凶悪な笑みを作り、俺らに言い放つ。



「『解放集会』序列4位、このLUK全振りの『ギャンブラー』キル様に限ってはなあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!! ギャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!」



 そうしてキルは笑い狂う。

 俺らは黙ってその狂騒を聞き続けている。


「LUK……全振り……?」


 俺はやっとの思いでただそれだけを言う事しかできなかった。


 LUK、すなわち運のよさ。

 つまりキルはただそれだけに特化した存在だということになる。


「おっと、その顔はLUKなんか本当に必要なのかって顔だなあ? どうせあんたらどれだけLUKの効果があるかわからないから実用的な才能値ばっかりにポイント振ったんだろぉ?」


 狂笑を浮かべながらキルは俺らを見つつ声を出し続ける。


「それに比べてあたしは賢いねぇ。LUKの凄さに最初からピンときてたんだからよぉ! ギャハハ!」


 ……コイツがLUKに才能値を全振りしたことはわかった。


 だがLUK全振りだともう1つおかしなことが無いか?


「……てめえ、DEXもないのになんで攻撃当てられるんだよ。まさかてめえまで終と同じ理屈で当てられるってのか……?」


「DEXが低くてもLUKがありゃ命中率なんざ余裕でカバーできんだよばあぁぁぁかぁ!!!!!」


 ……マジかよ。


 LUKがどこまでこの世界の法則に絡んでくるのかはわからないが、とにかくコイツはマズイ。

 玉を当てさえすれば高確率で一撃必殺が成り立ち、かつ命中率も高い。

 そうなると直接玉をかわすしか対処できない。


 回避盾のシーナならかわせるだろうが、俺やバルではコイツにやられる可能性が高い。


「ついでに言うと、あたしに攻撃しようとするなら必中スキルが必須だぜぇ? それがないと大抵の攻撃はすり抜けちまうからよぉ」


「は?」


「わかんねえのかぁ? LUKは命中率を変動させんだよぉ。つぅまぁりぃ、あたしはそこにいるイイ体してるねえちゃんよりよっぽど回避盾が上手いんだよぉ! ギャハハ!」


 キルはそんな事を言いながらシーナの方を向いた。


 ……つまりキルへの攻撃はLUKにより命中率が激減してすり抜けるってことかよ。


 シーナはAGIを生かして物理的に回避することでダメージを0に抑えるが、キルはそもそも回避運動をとらなくても敵の攻撃が勝手にすり抜けていく回避盾ということか。


 それだけ比較すればキルは反則級にも見える……だが、命中率は0にはならない。つまりキルは常に死ぬ覚悟で回避盾をしなければならないということだ。


 ……いや、それはシーナも同じことか。シーナも一つのミスであっという間に死んでしまう危険な立ち位置にいる。回避盾としてどちらが優秀かは比べにくいか。


 どちらにしても、この女は強敵だ。


「キル、その辺にしないと皆引いちゃうよ?」


「おっと、いけねぇ。つい興が乗っちまったぁ」


 キルは終の忠告に耳を傾け、笑いを潜めた。


「さて、ごめんね驚かせちゃって。それじゃあそろそろお暇しようかな」


「ぐっ……」


 俺は終の言葉に何も返せない。

 コイツらは敵、エイジ達の仇。だからここで逃がすわけにはいかない。

 だから俺は本来ならここでコイツらを引き止める言葉を出さなくてはいけない。


 しかし、ここで引き止めることでコイツらに勝てる見込みはあるのか?


 こんなわけのわからない2人を相手にして俺は……勝てるのか?


「ま、待たんか!!!」


 終とキルの規格外さにもはや俺はあいつらを止められないのではという想像が頭の中で渦巻いていたその時、すぐ近くにいたバルが声を出して終達を引き止めた。


「何? そろそろ引き止められるのもうっとうしいんだけど?」


「……お主らをこのまま帰すわけにはいかん。どうしても帰りたいのならばわしを倒してからにするがいい……」


 バルは若干震えの混じった声で終達にそう言いきった。


「……はぁ。どうやらまだわかっていないようだね。きみたちとおれの力の差ってやつがさ」


 背を向けて去ろうとしていた終は、そう言って俺らの方に体を向けた。


 そして一言呟いた。



「『オーバーフロー・ハイエンド』」



「……っ!」


 終がそう言った瞬間、終から禍々しいとさえ思えるほどの赤いオーラが放流し、圧倒的な威圧感を放ってきた。


「だからおれも少し本気を出すよ。きみたちがおれに恐怖を抱く位にね」


 そして終は俺を見る。

 その目にはほんの僅かだが、微笑のようなものが感じられた。


「それと、さっきのスキルは決してリュウの専売特許ではないという事も教えてあげるよ」


「……なに?」


 ……さっきのスキル?


 どういうことだ……?



 俺が持つスキルは3つ。


 攻撃力を6倍にする『オーバーフロー・ダブルプラス』


 モンスターから姿を隠す『神隠し』 




 そして……





「『オーバーロード』」




 終がそのスキルの名を囁いた。











 バルが頭を蹴られて吹き飛ばされた



 シーナが腹を殴られ吹き飛ばされた



 ヒョウが顔を殴られ吹き飛ばされた



 みぞれが腕を掴まれ投げ飛ばされた



 クリスが足を掴まれ投げ飛ばされた



 そして、この場にいた全てのプレイヤーが蹂躙された。










「……………………あ?」


 気がつくとその場に立っていたのは終とキル、それに仮面をつけた6人、そして……俺の1人だけだった。


「やっぱり美少女だった。おれの勘は当たるんだ」


 終は蹴り飛ばした先にいるバルを見てそんなことを言っていた。

 よく見るとバルの兜はさっきの攻撃で完全に破壊されていた。


「それで、どうだった? 仲間があっという間に倒された気分は?」


「う…………ぁ…………」


「もう時間切れだからお話もこれでお終い。またね、リュウ」


 終はそう言うと俺に向かって拳を放った。





 そして俺は意識を失った。

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