厄神様、ドレス買う
台本形式になっております。ご注意下さい。
某月某日。にとりは霊夢、魔理沙、射命丸に呼びつけられた。
文「えー、今回はここ、妖怪の山の川のふもとにやったきてもらったわけですが」
に「え、ちょっと待って。何でカメラまわってるの?」
魔「いやあ…今回はちょっと、聞きたいことがあるんだよ」
に「何?」
霊「あんたと雛が優勝した、第5回東方M-1グランプリの賞金一千貫。あれどうしたの?」
注;一貫文=1万円。一千貫文は1000万円となる。
に「あれ?私と雛で半分に分けて…」
魔「そんで?その五百貫は?」
に「うーん、地下の間欠泉センターの開発資金とか…新しく工具類買ったり、宴会に使ったりしたなあ」
霊「もう残ってないの?」
に「あんまり」
魔「なるほどなあ、まあこれは予想通りだな」
霊「妖怪には貯金という概念があんま無いからねえ」
に「え、ちょっと待って。何やろうとしてんの?」
霊「にとり。じゃあ相方の雛は賞金を何に使ったか知ってる?」
に「いや、全然…」
魔「そうか、よし。ここまでは情報通りだな。わかった、お前もついてこい」
に「ひゅい?」
文「まあまあ、たぶん面白くなりますよ」
所変わって無縁塚。
文「あ、いました!」
魔「よう、雛!」
雛「うわあ!え、魔理沙?霊夢ににとり、射命丸まで…一体なんですか?」
霊「ねえ雛、あんたM-1の賞金何に使った?」
雛「え?いや別に、貯金…だけど」
魔「やっぱりか~」
雛「え、何よそのリアクション?」
霊「あんたねえ、仮にも神様よ?その神様が貯金って…あ~悲しい」
雛「いいじゃないの別に!」
魔「お前なあ…こういう場合、宴会でも開いてパーっと使っちまうのが筋なんだぜ?それをお前…」
雛「でも宴会なんて開けないでしょ?人も妖怪も近寄らないんだから」
霊「だからよ!だから、そのお金でイメチェンしましょ!」
雛「ハァ!?」
に「え?何そういう企画?」
魔「題して!“厄神様ドレス買う!”というわけで雛、買おうぜ!!」
雛「嫌よ絶対!!あんたたち高いの買わせるつもりでしょ!?」
霊「いいじゃないの!たまには贅沢しないとダメよ?だからさあ…」
「「買おうぜ!!」」
雛「嫌ってば!」
に「買おうぜ!」
雛「なんであんたも(企画に)ノってるのよ!?」
に「面白そうだから」
雛「裏切り者っ!!」
ガシッ!
射「さぁ、行きましょう!」
雛「え!?ちょっと魔理沙、文!離しなさいよ!」
霊「はい、そんじゃあ行くわよ!」
魔「おーっ!」
雛「この人でなし~!!」
人でなし?いやいや雛さん、時には思い切った買い物するのもいいんですよ?それでは早速、“厄神様ドレス買う”スタート!!
射「はい、というわけで。幻想郷で知る人ぞ知る名店、ブティック“バットレディズ”にやってきました!」
雛「ここ店じゃないでしょ!紅魔館でしょ!何よその暴走族みたいな店名!!」
霊「ドレスいっぱいあるわよ~」
雛「だからいいって私!」
魔「そもそも雛は貯金して、なんか欲しい物でもあるのか?」
雛「いや、ないけどさあ…」
霊「じゃあいいじゃないの!いっちゃえよ!」
雛「…ったくもう、わかったわよ…」
魔「お、ついに諦めたか!」
雛「ドレスねえ…もう…」
に「厄神様ご来店~って、あ!」
ダッ!
魔「あ!このやろう!待ちやがれ雛!!」
雛「“創符”ペインフロー!」
魔「うわ!いきなりスペカ出しやがった!」
雛「ハァハァハァ…きゃあ!」
ガシッ!
射「最高最速の私から逃れられると思ってます?」
霊「さ~、厄神様?行こうぜ!」
雛「なんであなたも“だぜ”口調なのよ!?引きずるな!やめてよ!」
霊「いやあ、これが恒例みたいでねえ…」
雛「どういうことよ…」
射「それでは改めて…厄神様ごらいて~ん!」
カランカラ~ン!
咲「いらっしゃいませ、お待ちしていました」
雛「え、咲夜。あなたが店員なの!?」
に「おお、サマになってるねえ。ブティック店員もやれるとは」
文「似合いそうなドレス、何枚か見繕ってくれましたか?」
咲「はい」
雛(あ、いや待てよ…幻想郷には物資が少ない。布地だってそんなに豊富じゃないから、高いといってもそんなにしないんじゃ…)
咲「ではまず、こちらはどうでしょう?鮮やかな朱色のロングドレス、腰回りには和風の花柄の刺繍を施してみました」
霊「おー!いいんじゃないのこれ?」
咲「雛人形の女雛をイメージしてみました。またところどころに、雛様のモチーフである蝶結びをあしらってみました」
魔「すごいなこれ!いくら?」
咲「70貫文です」
雛「えー!」
に「ひゅい!すごいなこれ…」
雛「ちょっと待って!バカでしょ!服に70貫使う奴いる!?」
咲「お嬢様は服などにお金を惜しみませんが?」
雛「吸血鬼と一緒にしないでよ!」
魔「いっちゃえよ!似合うぜ絶対!」
文「まあ、とりあえず一回着て見ましょう?ね?」
雛「着たら絶対買わせる気でしょ…」
霊「いいからいいから、こんな事もう無いかもしれないのよ?」
に「いっちゃえよ雛、可愛いって絶対!」
雛「か、可愛い?」
魔 (お、こいつこういう言葉に弱いのか?)
魔「ああ、可愛いぜ!」
霊「可愛いわよ~昔話に出てくるお姫様みたいで!」
雛「いやでも70貫文は…」
文「まあまあ、まずは着るだけ!着て見ましょう!」
雛「ま、まあそうね。着るだけよ、着るだけ…」
霊(ナーイス!もうひと押しね…)
数分後
に「着替えた~?」
雛「う、うん。でもこれはちょっと…」
霊「いいから、開けてみなさいよ」
シャーっ…
試着室のカーテンが開かれる
魔「おおー!これいいぜ!」
に「すげー…」
文「おー!これはいい!目線ください雛さん!」
パシャ!パシャ!パシャ!
雛「ちょ!止めて!止めてください!恥ずかしい…」
霊「イメージ変わるわね…」
雛「これちょっと派手じゃない?袖が一切ないし、右肩完璧に出しちゃってるし…」
魔「いいぜいいぜ!セクシーだ!」
に「大人の魅力って奴かなあ」
雛「無いわよそんな魅力…」
霊「にしても、ずいぶん体に合ってるわね?」
咲「ええ、文から体のサイズを事細かに聞いたので」
雛「ちょっと文!?あんた何してんの!?」
文「いやだって、咲夜さんがオーダーメイドで作るって言うから」
雛「いつの間にサイズ測ったの!?怖いわあなた!」
文「だってサイズ合わないと嫌でしょう?バストとか」
雛「言わなくていいわよ!」
霊「ちなみに何カップ?」
雛「ちょっと貧乏巫女!」
文「彼女…着やせするタイプですよ」
雛「何言ってんだあんた!」
に「まあまあ、とにかくどう?買っちゃえば?」
雛「買わないって」
魔「買っちゃえよ!500貫文あるんだろ?」
雛「いやそうだけど…」
霊「じゃあ厄神様、ドレスお買い上げ~」
文「お買い上げ!!」
雛「強制的過ぎでしょ…この企画考えた人どういう神経してんのよ…」
に「見る側は最高に面白いけどね」
雛「やかましいわ!!とりあえず脱ぐわよ」
文「いやいや、このまま行きましょう」
雛「このまま!?」
咲「お買い上げありがとうございます。では次に…」
雛「次!?いやちょっと!買ったでしょドレス!もう終わりでしょ!」
魔「いやいや雛!ドレス買ったんだろ?じゃあ小物もいっちゃおうぜ!」
雛「完璧に衝動買いのパターンでしょそれ!だいたい何見るのよ!」
霊「靴とかは?」
雛「いいってもうこれで…」
文「咲夜さん、いいのあります?」
咲「そうですねえ、これなんかどうでしょう?」
に「何?」
咲「朱色のドレスと対照的な、漆黒の黒のハイヒールです。シンプルなデザインながら、足を痛めない柔軟な素材で作り上げました」
魔「おおー!いいねいいね!」
霊「いくらするの?」
咲「16貫文になります」
雛「うわあ…」
魔「あ、買えるじゃん」
雛「思考がおかしいわよ!靴に16貫文とかあり得ないでしょ!」
に「いっちゃえよ雛!」
雛「だいたい日本の神様がハイヒールっておかしいでしょ!」
霊「いいじゃないの!そんなことに捕らわれなくっても」
雛「なんかそのうち、私だって誰も気づかなくなるわよ…」
に「だいじょーぶ!その髪型で気付くから!」
雛「それにハイヒールなんて、誰も履いたことないわよ…」
魔「だからいいんじゃないか!まあ履いてみようぜ!」
雛「その一言で押し切らないでよ!」
文「まあまあ、履いてみましょう」
に「そうだよ、履いてみなよ!咲夜さんの苦労を無駄にする気?」
雛「いや頼んでもいないでしょ…ありがたいと思うけどさ」
霊(お、このまま押せるか?)
霊「作ってくれた咲夜のために、履くだけのことはしましょう?ね?」
雛「履くだけよ…」
雛「…っと、こんな感じ?」
魔「おおー!いいじゃん!」
に「なんかかなり高級感出たねえ…」
霊「背がかなり伸びた感じ」
雛「いやこれ、足にけっこう違和感あるんだけど。歩きづらいし」
文「では雛さん!お買い上げー!」
雛「強引すぎでしょ!訴えられるよこれ!」
に「雛…」
雛「なによ!」
に「読者の期待にこたえよう?」
雛「期待しないでよそんなの!」
に「ね、いっちゃおう?」
雛「…―っ、わかったわよ!買えばいいんでしょ!買えば!」
咲「ありがとうございます。最後に…」
雛「まだあんの!?」
咲「ドレスに似合いそうなネックレスをご用意しました」
雛「いいよそんなの!」
魔「買っちゃえよ!レミリアはネックレスしてただろ?」
雛「対抗する気ないわよ!」
霊「いったれ!日本の神代表!」
雛
「代表になった覚え無いわよ!」
咲「こちら、3月の誕生石、アクアマリンのネックレスです」
魔「おおー!こりゃ綺麗だ…」
雛「いくらするの?」
咲「100貫文です」
に「げげっ!?」
雛「はい帰ろう!これは無い!」
霊「ここまで買ったなら完璧にコーディネートしちゃいましょう? 」
雛「それ絶対ダメな考え方でしょ!衝動買いにも程があるわよ!?」
魔「買っちゃえ!!」
雛「い・や・だ!!」
霊「読者の期待に 」
雛「だが断る!!」
文「試着だけでも…」
雛「しないわよ! 」
魔「してるじゃん」
雛「え?あ!?」
すでに首にはネックレスが!!
霊「買う気満々ね~ 」
雛「違う違う!にとり!あんた光学迷彩使ってこっそり付けたでしょ!」
に「私?何もしてないよ?」
雛「嘘つけ!」
咲「大変お似合いですよ」
雛「嬉しくないよ!」
魔「さ、雛」
「「「買おうぜ!!」」」
雛「う、う、う…うがー!!」
魔「うわ!!」
雛「買えば良いんでしょ!買えば!!」
文「おおー!雛さん大胆!」
咲「お買い上げありがとうございます!」
霊「すごいわね!これぞ神様!」
文「次回もお願いします」
雛「二度と出ないわよ!」
厄神様、お買い上げありがとうございました!!
相変わらずバカやってます、月見草です。
久しぶりのテレビパロディ、いかがでしょうか?
霊夢と魔理沙はただ単に金を使わされる雛が見たいんでしょうね。自分でやらせたけど、鬼だわこの企画…
では皆さん、読了ありがとうございました。