表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/5

頼れそうな怖い人

あの後絶望を味わった俺は、姉ちゃんと別れた。

手当たり次第にやるしかないな。

まずは店に行く。

初心者用の武器を買うためだ。

初心者用の銃300G。

攻撃力の一番低い銃弾が100発で100G。

初心者用ポーション10個で100G

調合の基本セットが300G

俺の冒険priceless。

残金は200G

準備は整った。


「じゃあ早速練習でもしてみますか」


NTOには東西南にそれぞれのフィールドがある。

東の『深い森』

西の『鮮やかな花畑』

南の『底なし湖』

この中でも特に不人気なのが深い森だ。

地図が使えなくなって迷う。

迷ってしまえば最期、なかなか出てこられない。

死んでしまったら教会へ転送される。

ペナルティは3時間はスキルの効果を失う。

要するに、戦闘もモノを作る事もできないのだ。

それに巨大イモムシのようなモンスターも出てきて気持ち悪いのだ。


「無難に花畑に行くか」


俺は西に向かって歩き出した。


†☆†☆†☆†☆


やっと着いた。

思いのほか街が大きかったな。

付加のレベルも上げるために次からは速度付加(スピードアディション)でもかけようか。

着いたのはいいんだが・・・

「的がねえ!」

俺はゲーム音痴だ。

いきなりモンスターと対峙しても負けるだけだ。

だから今は非戦闘区。

モンスターはいない。


「だめだ、空中に撃っても危ねえし、狙いが定まってるのかすらわかんねえな」


的・・・だめだ木しか思い浮かばない。


「森へ行くか・・・」


花畑を出て街へ戻る。


「ねえ、見てあれ」


こっちみんなよ・・・

さっきもそうだったがこの赤髪のせいでやたらと目立つ。


「そこのキミ少し時間をくれないか」


やっぱこの街でけえぞ。


「キミっ」


あ、付加かけるの忘れてた。


「キミっ!!」

「痛っ!」

頭をはたかれた。

見ると身長は俺より低く黒い目に黒い髪の女性が立っている。

なんちゅーことするんだこの人。

「何ですか?初対面の人をはたくなんて言語道断ですよ」

「すまない。だが無視をするキミにも非があることは否めない」

「そうですね。すみませんでした。で、何の用ですか?」

「うむ、キミからとても大きな力を感じるような気がするんだ」

「力・・・ですか?」

「そうだ。私は街で主に武器を造っている者だが、私の工房へ来てはくれないか?話を聞いてくれるのならキミの武器を造ってやってもいい」

「んー・・・わかりました」

「では行こう」


†☆†☆†☆†☆


「ここだ、入ってくれ。では早速聴くが、キミの先天を教えてくれ」

「先天ですか、わかりません」

「わからない?」

「はい、今朝初めてプレイしたとき先天を開放したんですが、βテスターの姉ちゃんでもわからない先天でした」

「ほう、おもしろい。では先天を開放してくれ」

「分かりました」

足元に気を集める。

すると・・・

赤く大きい魔法陣が工房を照らす。

「これは!?」

「何だかわかりました?」

「ああ、正直驚いた。キミは炎の危険先天<豪炎>だ」

「やはり危険先天なんですね・・・」

「そうだ、危険先天だ。危険先天は仲間を故意でなくとも傷つける恐れがある」

「そんな・・・」

「大丈夫、危険先天は怒りや憎しみの感情で暴発する。普段はキミの力になってくれるだろう」

「では、冷静で居れば大丈夫ってことですか?」

「いや、興奮するのはいいことだ。<豪炎>のプラス能力も発揮されるだろう」

「興奮?」

「何か?」


いかんいかん、真面目な話の最中だった。


「いいやなんでもないです。ではどうすればいいんですか?」

「寛容な心を持て。器が大きければ感情が満ちて溢れることはないだろう」

「寛容ですか・・・」


大丈夫、俺は大人なはずだ。


「大丈夫とか思って気を抜くなよキミ」

「ちゃっかり心を見透かさないで!」

「悪い悪い、しかしキミには良いものを見せてもらった。私が今できる範囲内の最高の武器を造ってやる」

「本当ですか!?」

「ああ、キミの武器はなんだ?」

「銃ですよ。銃」

「キミは物好きだな。スキルは?」

「銃・魔法適性・炎魔法・付加・千里眼・調合・製造の7つです」

「本当に物好きだな。銃に魔法に援護に生産。実におもしろい」

「でも姉ちゃんはゴミスキルって」

「それぞれで見るとゴミスキルだな」

「え・・・」

「そうガッカリするなって。あ、銃は明日の昼には造っておく」

「はい・・・」


この人話話変えるの上手いな。

くっそ、どんなにゴミスキルと言われようが上手くなってやる!


「チャレンジ精神はいい事だな。別れる前にフレンド登録をしよう」

「フレンド登録?」

「フレンド登録も知らないのか?フレンド登録をすると便利だぞ。お互いにオンラインならチャットができるし、相手がオフラインでもメールを残してやることもできる。

「へぇ、でどうすればいいんですか?」


女性が手を差し伸べた。

あ、自己紹介してないんだっけ。

まあいいや、これは握手ってことか?


「そうだ、握手だ」

「人の心を読むなって」

「ははは、キミはおもしろいな。ほら早くしろ握手握手」

ガシッ

相手が女性だから躊躇ってしまったのは言うまでもない


「シャイなんだな」

「もういいですよ・・・」


超能力師か?怖いなこの人


「超能力ではないがな。まあいい、改めて自己紹介だ。私の名前は凪。街で店を開いている鍛治職人だ。」

「俺は火焔。まだ初心者だけど、今度こそ上手くなってみせる」

「そうかキミはゲームが苦手なのか。今度こそなんて。」

「まあそんなとこです。今日はありがとうございました。」

「いやいやそんな大層なことはしてないよ」

「じゃあ失礼します。」

「無理はしないようにな」


やっぱあの人怖いな

頼れそうなのも事実だけど。


†☆†☆†☆†☆


彼は去って行った

あのやたらと赤く大きい魔法陣を思い出す。

「火焔か・・・化けるかもな」


ゲーム音痴は絶望と期待の両方を背負った。


お読みいただきありがとうございます。

いかがだったでしょう?

ご意見、ご感想、誤字脱字の指摘、お待ちしてます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ