あれ?もう終わり?
光が差し込んでる。
「んんっ~いい朝だ」
そう、今日から俺はNTOをプレイするんだ。
俺は『sense』を買いに出かけた。
†☆†☆†☆†☆
長蛇の列に並び、夏の暑い日差しを浴びて、浴び続けてやっと手に入て家に帰ってきた。
なんですかこの高揚感。
「姉ちゃん買ってきたぞー」
「おっ早速買ってきたんだね弟くん。じゃあやりますか!」
「待て、飯が先だろ?」
「いいじゃん!いいじゃん!」
問答無用。
おれは姉ちゃんの首根っこを掴んでテーブルにつかせる。
もちろん作るのは俺だ。
†☆†☆†☆†☆
「美味しかった美味しかった!」
「そう言ってもらえると作った甲斐があるってもんだな」
「なんでそんな料理がうまいんだい?」
「いや姉ちゃんが作れないだけじゃん」
「うぅぅ、弟くん・・・乙女にそんなこと言っちゃダメなんだぞ!」
「現実逃避はやめようか」
「はい・・・」
そういいながらゲームを始める俺たち。
暗闇が全てを包み込んだ。
~Loading~
視界に映った色付く光。
ステンドグラスか?
「ココは・・・どこだ?」
「ココは教会だよ。弟くん」
「教会か。って姉ちゃん!?」
「やあ弟くん。それにしても弟くん凄いねえ」
「何がだ?」
「ステータスで自分の姿を見てみなよ」
「ステータスってどうやって見れるんだ?」
「頭の中で念じてごらん」
「わかった」
(...ステータス)
「なんだこれっ!?」
NTOでの自分の姿は勝手に決まる。
自分の姿を自動認識して作るのだ。
しかしこれは・・・
いつも通りのイケメンとも言えない顔。
172cmの背格好。
そこまでは、そこまでは同じだった。
しかし、髪が赤い。
赤といっても深い赤、緋色とでもいうのだろうか。
さらに目の色も同じ緋色。
「燃えてるねえ」
「燃えてるねえじゃねえよ。かの熱血テニスプレーヤーもビックリだよ」
「まあまあ、落ち着きなよ。まずは名前を決めて」
「そうか初期設定って教会でやるんだったな」
半透明なパネルが出てきて名前の登録を催促する。
しかし悩むな。
NTOは一度作ったアカウントは再登録できない。
なので作ったら半永久的にそのアバターということだ。
理由は後々わかるだろう。
名前は『火焔』と打ち込む。
これは見た目通り燃え盛るような容姿だからだ。
「ほおほお、弟くんのネーミングセンス皆無だね」
「うるせえな別にいいだろ俺の勝手なんだし」
「まあまあ、そう怒らずに・・・」
姉ちゃんに制された俺。
不覚だ。
そうこうしている間に、教会は新規プレーヤーで埋め尽くされた。
「やっぱり目立つなぁ・・・」
「大丈夫!強くなれば!」
初めから気が重いな。
「さーて弟くんの先天は何だろう・・・」
「先天?」
「うん、このゲームは先天能力Natural Talentっていうものがあるの。要するに自分が何に特化してるのかっていうことだね」
そうこの先天能力こそがこのゲームの鍵と姉ちゃんは言う。
この先天能力をどれだけ駆使できるかで差がついてしまうのだ。
先ほども言ったようにこのゲームではアカウントの再登録はできない。
それはこの先天能力が関わってくる。
自分好みの先天能力が出るまで再登録を続ける者が出てくるのだ。
その対策法がこの方法だったということみたいで・・・
「どうやったらわかるんだ?」
「足元に集中すれば出てくるよ!」
「出てくる?何が?やってみるけど」
難しい。
まあ何事もトライが大切だ。
足元に気を集める。
すると・・・
眩い光が聖堂を照らす。
足元に出たのは魔法陣。
教会を埋め尽くすほど大きく、赤い。
それは一瞬にも一時間にも感じられた。
魔法陣も緋色だった。
しかし、それは一瞬にして消え去った。
「あちゃー、弟くん」
「なんだ?姉ちゃん」
「今みたいな魔法陣見たこともないよ。希少先天か、もしくは・・・」
「もしくはなんだ?」
「危険先天かもね・・・」
「希少だの危険だのなんなんだ?」
「先天能力には大きく分けて3つの種類があるんだ。一つ目は多くの人の持つ先天能力の基本先天。二つ目は稀に見られる特性の先天能力を持った希少先天。三つ目は強大な力を誇る危険先天」
「そんなものが俺の中にあるっていうのか?」
「わからないよ。まだ推定の域を出ないけど。でも大丈夫!もし危険魔法の場合でも。感情の荒ぶりとかで覚醒するみたいだから。潜在的に能力が開放されることはないと思うよ」
「そうか・・・まあ肝に銘じておくよ。」
「気が重いところ悪いけど初期設定をしないとだよ弟くん」
「そうだな。で、何するんだ?」
「えっとスキルを7つ選んで!」
びくびくしてても仕方が無い
このゲームで上級者になるためだ!
俺は昔試したゲームで、銃を使おうとした。
しかし、初戦の雑魚キャラといわれるモンスターにコテンパンにされてしまった。
え?それはないって?
残念、井の中の蛙だね。
世の中には俺みたいなゲーム音痴もいるんだよ!
そこ、憐れみの目で見ないで!
泣きたくなるから!
ひとりでに被害妄想を考えつつ俺はスキルを選んでいく
『銃・魔法適正・炎魔法・付加・千里眼・調合・製造』
よし!今度こそ!
「姉ちゃん選べたぞ!」
「どんなのにしたの~?」
「銃・魔法適正・炎魔法・付加・千里眼・調合・製造の7つだ」
「弟くん・・・?」
「はい?」
「銃はコスパ最悪で当たらないし、魔法も銃じゃ使い物になるのかわからないし、後の4つなんてあんまり使われてないスキルだね」
「もっと直球に!」
「わかった。単体で使いづらいゴミスキル集めたんだね。もっと組み合わせってものがあると思うよ弟くん」
「そんな・・・」
はい、また挫折。
期待が崩れ去ったな。
ゲーム音痴は始まりの場所で終わりを悟った。
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