運命の墓場
運命は遍く廻りそしてあなたの下で死ぬ。
「何をしているのですか?そこに希望の花はありませんよ」
「私が探しているのは、もっと大切なもの」
「それは一体なんでしょう?」
「見つけたら、教えてあげましょう」
「ね、やっぱり希望の花なんでしょう?」
「いいえ、そんな大層なものでは」
運命は止め処なく溢れ、世界を満たしている。
「ね、この前の探し物は見つかったのかしら?」
「それが見つからないので」
「希望の花は、あちらにありますよ」
「そんなものではないと言っています」
「では、何かしら?」
「とても、大切なもの。この花畑のどこかにきっと」
「ね、私も手伝ってはいけないんですの?」
「危ないから止めた方が」
「もしかして、恋の花をお探しになって?」
「私が探しているのは花ではありません」
運命はどことなく寂しげで、幸せを呪う。
「もう日が暮れるというのに。まさか毎晩探しているのかしら」
運命は誘っている、忘れがたき縛めを手繰り寄せて。
「今日はあのお方が見えませんわ。でも一つ、私も探してみましょう」
運命は、また今日も廻ってきて
「そうだわ、あちらの木の下にきっと」
運命は、また明日も
「これは……あのお方? そんな……」
運命は、
「どうですか、見つかりましたか?」
「……どちらさま……?」
「少し前にも会ったばかり。もう忘れてしまいましたか?」
「そう、あなたが……」
「違いますよ、あなたが、です」
「私が、あのお方を?」
「探していたのでしょう?私、分かりました。あなたが探しているのは、亡骸なんだって」
「そんな……」
「運命はまた廻りめぐって貴女の下で死ぬ、違いますか?」
運命は、また花を咲かせるだろうか