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第二章 フェニックス *12* 闇

ここにて遡ったトキは戻る――

『見つけたよ。』

イザベラの言葉は僕の言葉に遮られた。

『ち、会話にきぃ取られてて・・・』イザベラは後ずさった。『こいつらからその笛守ってくれよな。約束の倍払うからさ。』

『約束だぞ。』

男がイザベラの前に出て僕らに立ちはだかった――。イザベラが笛を持ち、更に奥深く階段を下った。

『お前らナニが目的だ?』男は言った。『どうせ、金だろ?あの笛を返せば金がもらえる、だから欲しいんだろ?だったら――』

不意に男の後方で爆音がして天井が崩れ落ちた。


一瞬だった――


男は天井から落ちてきた岩に潰された。僕は足にネネは手に軽い怪我をしたが、岩が頭上から落ちてくることはなかった。僕は岩に潰された男を覗いた。

『こいつ――死んでる・・・?』

少なくとも男はピクリとも動かなかった。幸いなことに彼の頭は今居る場所から見えなかったので彼からもし脳味噌が飛び出ていたとしても死んでいたとしてもわからなかった。

『さっきの爆発――なんだったのかしら?』ネネは僕に訊ねるように言った。『あの女盗賊さんかしら?それとも――』

僕は背筋がゾッと寒くなった。誰か――侵入者が居るのだろうか?僕達の命を狙っているのだろうか?不安が不安を呼び頭の中を駆け巡った。

『でも――いかなきゃね。』ネネは自分に言い聞かせるように言った。『ここまで来たんだもの。行かなきゃ。』

彼女の必死な姿が不謹慎にも可愛く見えた。


『タスケテ。タスケテよ』


不意に、忘れようとした、昔のあの光景が目に浮かんだ。


『うん。そうだね。行こうか――』一瞬戻ろうかと諦めかけていたけれど、僕は先に進むことにした。

階段を下り、奥に進むにつれ、辺りはいっそう暗くなっていった。階段を抜ける風がやけに冷たく感じる。時折、ピュゥゥゥと音がした。

『何処まで続くのだろう?』

僕は呟いたところでふと足を止めた。暗くてみにくいが何か壁に文字が彫ってあった。

『どうしたの?』ネネが訊ねた。

『いや、なんか彫ってあるんだ・・・・』

見たことの無い文字だった。僕達が普段使っている文字より少し丸っこくてなんか変な感じがする。でも、何だか懐かしく感じた。

『ど〜れ?』ネネは僕に近寄って彫ってある部分を覗いた。『これよ。』

『どうしたの?』

『ほら、馬車で言ったでしょう?アラル・ラノルルという文字で壁に古代創世記という文書が綴られているって。』

『あぁ――』そういえば、そんなこと言っていたいたような気がする。『それにしても長い文章だな・・・・』

『言い伝えによると、古代創世記は全五十章から成るとても長い文章なの。ここに彫られているのは序文だけだけど・・・・』

『ネネはさ――アラル・ラノルルっていう言葉読めるの?』

『ううん。』彼女は答えた。意外だった。『全部は読めないわ。』

『そうなんだ・・・・』

僕は言い、女盗賊を追いかけるべく更に階段を下った


そこはとても大きな広間だった。辺りは壁で覆われていて、パッと見ただけでは入り口はここしか見当たらなかった。

『まてよ。女盗賊――』僕は女盗賊の姿を見つけ、言った。『盗んだ笛を返せ』

『勇敢な少年ね。ナニが目的かしら?』彼女はちっとも動じず、答えた。

『笛よ!』ネネは言った。

『嘘ね。どうせ、この笛の持ち主――名前はなんと言ったかしら?そう・・・フロ―だったわね。あいつに雇われたんでしょう?』

『違うよ。』僕は即答した。『お金を詰まれたわけでもないし、探してって言われたわけでもないよ。』

『じゃぁ―――なんで?』

『“ここに来い。”って言われたんだ』僕は続けた。『言った相手は誰だかわからないけれど――、聞こえたんだ。、笛を盗んだ犯人はこの聖堂にいるって。』

女盗賊は唖然と僕を見つめた。振り向くと、ネネも同じように唖然と僕を見つめていた。

『で、私をどうしようってわけ?』

『別に。笛さえ返せば、それ以上何もしない。』

『でも、私――悪いけど返す気ないわ。』女盗賊は言うと、後ろに後退した。『じゃぁね。勇敢な少年君。』

一瞬のうちに僕とネネの周りは煙で覆われ、彼女に逃げられた――。いや、僕にはそう、見えた。だが、実際は違った。彼女は僕の目の前から一歩も動いていなかった。


『え?』

僕は素っ頓狂な声を上げた。さっきの煙で彼女は勿論逃げると思っていたし、一歩たりとも煙が立ち上がる前から彼女が動いているように見えなかったからだ。一瞬罠さえ仕掛けてあるのかとも思った。

『何で・・・・』

『キャァァァ―――』

不意に女盗賊は声を上げ、空中に浮遊した。

『何が・・・?』未だ自体が飲め込めない僕は、ネネのほうを向いた。ネネは震えていた。『え?ネ・・・・・ネ?』

ガタガタ震えるネネを僕は見つめた。彼女の瞳には僕には見えない“何か恐ろしいもの”が見えているのだろうか?

『闇が―――』ネネは呟いた。

『闇?』俺は女盗賊のほうを振り向いた。『手――か?』

手のような形をした黒い煙が彼女の体を渦巻く。次第にそれは濃くなりつつあった。

『あっ――あん・・・あ゛あ゛あ・・・・』

体が闇に飲まれ、彼女は声を上げた。闇は更に体を包み込み、もう、彼女の体は殆ど見えなくなっていた。

この闇何処から出ているんだろう?僕は思った。何しろ、ただでさえ真っ暗闇の中、暗闇の発信源を特定するのは至難の業だ。唯一つきりの救いは、彼女が松明を未だ放していないことだ。あれさえ彼女が放さなければ、彼女を見失うことはない。僕は辺りを見回した。

『何処から、闇が吹き出てるのだろう?』

見回している間にも、闇は広間までも覆いつくすように更に濃くなっていった。とうとう、女盗賊が持っている松明を落としたようだ。自分の周り以外見えなくなった。

『!!!』


風が吹いた――


人が一瞬見えた。

その飄々とした姿の正体は後ほど語ることになるが、とにかく、その人物は床に落ちていた銀の燭台を手に取ると、何か意味不明な言葉を呟いた。

『ラ・メロディ・ラライテス・グラパ・ド・アバセス』


何かの文様が床に浮かび上がるのが見えた。


その文様から光が溢れ出し広間全体を照らした、謎の人物が持った銀の燭台は溶け出し、闇は光に包まれ女盗賊は床に投げ出された。

『―――ララテイス・ボン』

一瞬のうちに文様は消え、彼の手から銀の液体が流れ落ちた。

『だ、誰・・・』僕は呟いたが、もう彼の姿は無く、目の前には女盗賊が横たわっていた。

長らくお待たせいたしました。

いや〜ヤバイヤバイ

自分の作品がとある某作家の超有名作品と展開が酷似しまくっていました。昔――といっても数年前ですが、読んだのが頭に残っいたんだと思います。

ってなわけで、第三部からは、できるだけ酷似しないように頑張ります。それにしても、難しいなwww

あっ、そうそう下の部分を追加したんですが、本当は謎の男が呟く言葉、フランス語だったのですが、YAHOOなどの翻訳ソフトでは変な意味もついてしまうので、この世界で使われる架空の言葉にしました

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