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第二章 フェニックス *8* サ―カスのチケット


『魅惑の絶技“フリ―クサ−カス団”――紅い月が丸くなるとき上演。』

僕の目に飛び込んだポスタ―。それは酒屋から二ブロックほど離れた場所に壁一面張られていた。

『フリ―クサ―カス・・・・』僕はそのききなれない言葉を呟いてみた。自分の“本棚きおく”を覗いてみたけれど、その言葉に該当する書物はなかった。

有名なサ−カス団なのだろうか?ふと、その通りを見回してみる。先のほうに小柄な男が見えた。しかも、よく見るとこのポスタ―を壁一面に張っている張本人のようだ。

『すいません――』僕はその男に駆け寄って訊ねた。『あの――このサ―カス団の方ですよね・・?』

小柄な男は少し驚いたような顔をしたが、殆ど間をあけずに答えた。

『そうですが。』

『“フリ―クサ−カス団”ってなんなんですか・・・・?』

『一言で言ってしまえば、異形の衆が行う珍しい芸でございます。お客さん――』

『貴方も――?』僕は失礼なような気がしたが思い切って訊ねてみた。

『いえ――』男はお辞儀をした。『私はこのサ−カス団の団長を務めております、フロン・マグナルといいます。』

『そうですか。失礼しました。団長さんがポスタ―はりなんて大変ですね。』

『いや、それが結構楽しいんですよ。』団長は笑った。『どんなお客さんが見に来てくれるんだろう?このポスタ―見てどう思うかな?とか、いろいろ考えちゃうんで。』

『へぇ――、がんばってください。』

『あっ、待ってください』僕は立ち去ろうとしたが、団長の声がして、振り向いた。『これ、差し上げます。よろしければ是非――見に来てください。』

【“魅惑の絶技フリ―クサ−カス団メッカ公演”時刻*紅い月が丸くなる時】

『あの――紅い月って・・・』僕は訊ねようとしたが、そこにはもう団長はいなかった。

『どこいったんだろう?』

僕は呟いたが、もしかして先にいるかもしれないと思いその通りを直進した。やっぱり彼の姿は見えなかったが、遠くのほうに宿と書かれた看板が見えた。よくよく考えると、エリンスからこの町までずっと野宿してきたから、止まるところなど考えてなかった。

『えっと・・・』僕は呟き、ポケットを探った。『500マリ・・・・』

500マリ。一言で言えば一日の宿泊料の半分くらい――ということは、今日も野宿するしかないということだ。

『どうしよう――。』

僕は悩んだ末、とりあえず、宿に向かうことにした。


カランカラン・・・・

僕が宿の扉を開けると、一面暖色の景色が飛び込んだ。僕は目の前の受付に駆け寄った。

『あの、ここの宿泊料金って幾らですか?』

『お一人様1泊1000マリでございます。』受付の人は言った。『一番安い夕食なしで夜だけですと――200マリになります。』

200マリ――普通の宿はその料金では提供してくれないので迷ったが500マリしかない貴重なお金を使うのは避けたかった。

『っ――そうですか。』僕は立ち去ろうとした。しかし、ここでしか訊ねれるところはないと思いあのサ−カスについて訊ねた。『あの――紅い月が丸くなる時っていつかごぞんじでしょうか?』

受付の人は急に話しかけられて驚いていたようだが、笑って答えた。

『ハハ、フリ―クサ―カスですね?結構訊ねられるんです。えっと、多分――明日のことだと思いますよ。明日の日没の頃』

僕は受付の人に礼をいい宿屋を後にした。


『――この町か。』イザベラ・バットゥ−ダは手を城下町メッカに翳した。『一つ――いや三つぐらいありそうだ。』

『おい、イザベラ!本当だろうな?』彼女の隣にいた男は呟く。『嘘だったらお前を殺すぞ』

『案ずるなよ。大丈夫だ――成功したら約束の金額のマリは渡す。』彼女は笑みを浮かべた。『但し、生きてたらな。』

『なら――大丈夫だ。お前に殺されるほど俺は弱くないからな。』

『私は殺さない――、それは約束するが、あれを手に入れるときに死ぬかもしれない。』

『そんな危険なものなのか?』男は言った。『ナニが隠されてる?』

『そんなちっぽけなものじゃない。もっと、怖い物だ。ただあれ単体では何も意味をもたらさないから安心しろ。でも、あれがあると、その場所に怪奇現象をまきおこし、自体を守ろうとする。』

『つまり、あれが自分を守ろうとしてあらゆる手を使うから気をつけろってことだろ?』

『そうだ――』彼女は頷いた。果たしてこの男にそれができるのだろうか?また前の男同様に死ぬんじゃなかろうか?あるいはその前の男同様に逃げるんじゃなかろうか?

彼は一応この町一腕利きの“略奪屋”だと聞くが、前の男もその前の男も町一番の腕利き“略奪屋”を雇った。しかし結果があの様だ。結局自分で手に入れる嵌めになってしまった。

『それなら、大丈夫だ――』男は言った。『さて、そろそろ略奪開始といこうかね。』

長らくおまたせいたしました。

やっぱり、会話は相手がいないと辛い物ですねwww

そろそろ、パ−トナーを登場させようかと思います。



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