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黙々・恋姫†無双  作者: TAPEt
虚々
51/54

一之奥黙

紗江です。


今自分の部屋に寝込んでいます。

もはや、動く気力もないようです。

このまま死んでしまうのでしょうか。

一度死んだ身、しばらくの間華琳さまの元で働けて嬉しかったと思うべきでしょうか。それとも……


「まだ…足りてません」


もうちょっと我侭を言っても……。


「まだ、もっとお側に居たいです」


目から溢れる涙を拭く気力もない、半分屍の私に何ができるでしょうか。あの方の覇道になんの手助けになるでしょうか。それでも、ただ見ているだけでも構いませんから…

私をもうちょっとこの世に居させてください。

誰か……

助けて……



――司馬懿……司馬懿、聞こえますか?


!!


「……その…声…は…」


――…もうしわけありません。僕のせいでこんな悲惨な姿に


「おかえりになられたのですか……なら、きっと一刀ちゃんも」


――ええ……司馬懿には、本当にごめんなさいとしか言うようがありません。


「そう言わないでください。一度死んだこの体で、あの方を短い間でもお支え出来て少女は嬉しかったです」


――司馬懿……


「さあ、土に何ヶ月も埋まれていたような死体のような身体ですが、それでもお構いありませんのなら、どうぞ少女をお使いください」


――……あの時も、司馬懿はそんなことを言いましたね。でも、あの時と今は状況が違います。


「え?」


――あなたは既に華琳さまにお仕えしていました。一度感じたその感情、あなたはこのまま命を落としたいとは思ってないはずです。


「……それは……」


――……契約を変更しましょう。腐った身体を元に戻して差し上げます。蘇ったのように生きていってください。ただし、僕は必要だと言う時は必ず貸してください。


「……じゃあ、じゃあ、少女はこれからも…」


――ええ、あなたはこれからも、華琳さまの文官です。


「……あぁ……あああ……」


――……では、早速ですが失礼致します。


「華琳さま……華琳さま……」


まだ…貴女様の側に居られる……




べしっ!


華琳が掌で一刀ちゃんの頬を打つ音が御殿中に響いた。


「華琳さま!」


中に居た、その中でも先に一刀ちゃんを見た武将たちはその行動に驚かざるを得なかった。


「……これは一年も皆を苦しめたあなたへの罰よ」

「………」


ピンタを打たれた一刀ちゃんの顔は少し涙が潤っていたけど、それでも一刀ちゃんの顔には微笑みが残っていた。

その微笑みが、一刀ちゃんを打った華琳の心をもっと哀しくしたということは言うまでもないだろう。


「ごめんなさい」


一刀ちゃんの口からその言葉が出たら、華琳はもう自分と同じ目線に立つようになった一刀ちゃんを強く抱きしめた。


「お帰りなさい、一刀」

「…ただいま」


<pf>


ここで一刀ちゃんを知っている魏の皆が疑問に思うことは多かった。

どうしてあの時消えたのか、今までどこに行ってたのか、何故当時保護されていた蜀の武将たちは何も知らなかったか。

でも、それ以前に、皆の脳内をひっくり返すような大事件は、


一刀ちゃんが自分の口で喋っているということであった。


一刀ちゃんはしゃべることが出来ない子供であった。

だからいつも、年に合わない達筆な筆文字と、顔から出る豊富な感情表現が一刀ちゃんが世界に自分の意見を示す術の全てであった。


なのに、そんな一刀ちゃんが今は口を開けて喋っている。

皆言わなかったが心の中では、一刀ちゃんが無事に帰ってきた安堵感よりも、「何故喋ってるし」という驚愕な気持ちもあった。

街では「喋る御使いは御使いじゃない」という馬鹿げた話をする人も言ったほどだから世も末なものだ。


だけど、華琳はそんなことを聞く以前にするべきことがあることに気がついた。

一刀ちゃんが居ない間、ここに来た新しい面子、つまり一刀ちゃんのことを知らない面がいたのである。


「霞、稟、風、ちょっとこっちに来なさい」


呼ばれた三人は玉座の近くに来た。


風は誰よりも先に一刀ちゃんのことを会って、自分なりにいい初印象(?)を受けていた。だからさらりと前回で真名まで譲ったのである。

けど稟こと郭嘉の場合、目の前の少年が自分の面識があるということにまったく気づいていなかった。他の人たちが話していることで、彼が天の御使いだということは分かっていたが、そういうものは所詮は名を挙げるために使っていたもの。男性を近くにすることを嫌う華琳さまが、このような仕打ちをするほどなら、一体この少年は魏に取ってどんな人物だったのかと警戒していた。

霞こと張遼の場合、この度に皆が探していた子が見つかったわけだから宴会でもやらないかなぁとか期待していた(本人についてはまったく……)


「三人は一刀とはまだ初見だったわね。風は先会ったみたいだけど」

「はい、風はラーメンを奢ってもらいました」

「あ、そういえば、おじさんにお金払ってない…後で行こう」


そのどうでもいいことは一人で考えていただきたい。


一刀ちゃんが先ず目をやったのは、紫色の髪をして、上着はサラシを巻いて下は袴の、見た目は凄い豪快な人見える張遼であった。

一刀ちゃんは郭嘉や風は知っていたけど、張遼とは初面だった。

連合軍の時、遠くから春蘭が戦っていた相手が張遼だと知っては居たけど、あの時一刀ちゃんが重要にしていたのは戦っている場ではなくその上で春蘭お姉ちゃんを狙っている弓兵だったので、張遼の顔なんて覚えていなかった。


「北郷一刀だよ。……えっと、宜しくお願いします」


自分の紹介がしたかったけど、別に自分が魏に居たときに何か重要なことをしたかと言えばそんなことはなく、単にここに居ただけなので一刀ちゃんは名前以外に特に自分の存在について表すことが出来なかった。


「ウチは張遼や。反董卓連合の時に惇ちゃんに惹かれてここにいるで」

「惇ちゃん……というか、お姉ちゃんが張遼なの?」

「ああ、あれ?ウチのことしっとるん?」

「一応一刀もあの時連合軍に居たからね。名前は聞いているでしょう」


このお姉ちゃんが春蘭お姉ちゃんと……


一刀ちゃんはちょっと遠目のところに立っている春蘭と、目の前の張遼を交代に見ながらそう思った。


けど、そのようなことは実際起こらなかった。それに、起こったとしてもそれは張遼のせいじゃなかった。

それに、春蘭はああして自分にどんな危険があったのかも知らないまま綺麗な顔をしてそこに立っていた。それだけでも一刀ちゃんにはあんなことをやらかしてた甲斐というものがあった。

おかげで、といったら話がおかしいが、自分もこうして皆と同等な身体条件でここに立つことが出来ているから。


「郭嘉です。華琳さまの軍師を勤めさせています」

「風は程昱と言います。先紹介しましたから、風と呼んでくださいね」


そして、その横にいる人たちは、一刀ちゃんも見た覚えがある二人であった。


「あら、風はもう一刀に真名を許したの?」

「はい、風は今日一日一刀君のことをずっと見て居ましたけど、風としては凄くいい印象でしたね。なんと言いますか、この世界には似合わない綺麗な感じです」

「………」


そんなことを言う風を、郭嘉は気に入らないかの顔で睨んでいた。

そんなことを知っていながら、いや、知っているからこそ風は話をし続けた。


「一刀君のことは良く聞いていますよ。毎晩毎晩華琳さまと閨を共にした仲だとか」

「!?」

「なっ!」


その言葉に一刀ちゃんは驚き、郭嘉は驚愕した。


「ど、どういうことですか、華琳さま!」

「どうも何も事実よ」

「え!?」


そして肯定する華琳を振り向く一刀ちゃん。


「あら、違わないでしょ?」

「否定はしないけど、こう言い方というものが……//////」


一刀ちゃんが十六歳という微妙な年頃だとは知らない曹操はそう言ったが、今の一刀ちゃんとしては若さの過ちであった。


「か、華琳さまが男の子を閨に……しかし、華琳さまの性格で男に身体を許すはずは………ま、まさか!」

「??」


暫く郭嘉と一刀ちゃんの間に目が合う。


そして、



「ぶはっ!」

「うわっ!」


いきなり郭嘉が鼻血を吹出してその前にあった一刀ちゃんの顔に郭嘉の鼻血が直撃した。


「み、見えない」

「誰か行った水と手拭い持ってきて」


顔を赤く染めた郭嘉の鼻血は一刀ちゃんの視野を奪い混乱させた。効果はばつぐんだ。


「はい、はい、とんとんしましょうね。とんとーん」

「(ふがふが)……」

「(宝譿)まったく、一人で妄想暴走しやがってよ。それだからいつになっても実践に行けないんだよ」

「(ふがふがー!!)」


あんたのせいでしょうが!と言っているようだ。



<pf>



でも風のおかげで稟も一刀ちゃんからの警戒を解いて(逆の意味で警戒するようになったが)、霞と一緒に一刀ちゃんに真名を許した。


「ところで一刀、そろそろ皆にどうなったことか説明してくれてもいいと思うんだけど?」


やっと華琳が皆が疑問にしている問題点を表に出した。


「……ボクだけだと凄く言いにくいんだけど……準備がまだみたいだから一人で進んじゃってもいいかな」

「?」


華琳は一刀ちゃんの言う意味が分からなかったが、一刀ちゃんは気にせず話を進めた。


「……ここの時間で一年前、ボクがお姉ちゃんたちと一緒に洛陽に居た時、皆には言わなかったけど実は、それ大分前から夢を見ていたんだ」

「夢?」

「うん、春蘭お姉ちゃんが洛陽で霞お姉ちゃんと戦っている時に、城壁の上から飛んできた矢に打たれて片目を失う夢」

「!」

「一度だったらただの悪夢だと思ったけど、その後、洛陽に着いてボクが消える前日までずっと同じ夢だけ見た。だからボクは、この事が実際に起きるだろうと確信した」

「何故私か他の人たちに話さなかったの?」


虎牢関の時から一刀ちゃんがあんな夢を見たとしても、一ヶ月以上一刀ちゃんは同じ悪夢を見続けたという話になる。


「話しても聞かないだろうと思っていたから」

「そう」


言い返そうと思った華琳は直ぐに口を閉じた。

一刀ちゃんは普段、必要な事以外には話さない子だったけど、華琳はそんな一刀ちゃんだとしても、軍事に関連することについては一度も易々と話を聞いてくれたことがなかった。

それは一刀ちゃんがまだ子供だからっていう意味でもあったが、自分の欲望は人の話から耳を閉ざせたからであった。

実際、秋蘭があの時一刀ちゃんみたいに夢を見て自分に話したとしても、華琳は春蘭に張遼を捕まえてきなさいという命令を徹しなかっただろう。

そもそも、秋蘭だとしてもそんなこと、口にするはずがなかった。言っても無駄だとういうことを良く知っているから。

単なる奇遇だと思い流しただろう。


華琳は一度欲しいと思ったことは何としても手に入れる、そういう人であった。


「だからボクは、洛陽攻めが終わりに付く頃に劉備お姉ちゃんたちの軍から離れて、ボクが夢で見ていた場所に行った。そして、同じくそこに来たさっちゃんと一緒に春蘭お姉ちゃんを城壁の上で狙っていた兵士を弓で撃ち落とした」

「さっちゃん……紗江と一緒に?」

「………(コクッ)」


一刀ちゃんが少し頷くことに躊躇ったのは、多分華琳が思っている「紗江」は「さっちゃん」とは違う人物なはずだったからであった。


「後に聞いた、というより最近知った話しだけど、天の御使いが元起こることになっていることを強制的に変えるとその影響を自分の身体で受けることになっているって」

「それで、消えたというの?」

「…うん」


一刀は苦笑しながら頷いた。








その時


「う……うああああああ!!!」

「!」


下で聞いていた春蘭が発狂し出した。


「姉者!姉者落ち着いてくれ!」

「黙れ!黙れ!!私の、私のせいで北郷が消えていたというのか?そういうことだな?!」


自分のせいで一刀ちゃんが一年も姿を消してしまった。そのせいで華琳さまや妹は、長い時間を一刀ちゃんを失った喪失感と戦わなければならなかった。


「この…こんな目が何だっていうんだ!」

「春蘭お姉ちゃんやめて!」


一刀ちゃんがそう叫んだ時、春蘭の剣が自分の右目に向かって、


次の瞬間鮮血が床に落ちた。






<pf>






「……何をなさっているのでしょう?」

「!!」

「紗江!」

「紗江、あなたどうやって……倒れていたはずじゃあ」


己の目に向けて刺さろうとした春蘭の剣は、突然現れた司馬懿の手を貫いて、自分の右目の寸前というところで止まっていた。

無論、春蘭の大きな剣に貫かれた司馬懿の手からは、生血がとぽたぽたと落ちる。


「紗江さま!!」

「大変なの!早く医者を……」

「なんちゅうことするねん!」


凪たちが直ぐに反応して慌てると、


「三人とも慌てる必要はありませんわ」


なんともないようにそう言った司馬懿は、剣から手を外した。


「一刀ちゃんが自分の人生を賭けて守った目です。勝手な真似をするつもりなら、喜んでその首ことおとして差し上げますわ」

「ぁ……」


いつもとはあまりにも違う冷たい言葉の仕方で、春蘭はもちろん横にいた秋蘭や季衣、流琉まで唾を飲み込んだ。


「紗江、身体はもう大丈夫なの?早く医員に見せないと」

「『僕』のことはご心配なく、それよりも、華琳さまにお知らせしたいことがあります。二人だけで…」

「!!……そうね、私もちょうどあなたと話があるところよ」


「さっちゃん」であった紗江の記憶が存在しない魏の武将たちであった。

この状況に異常さを感じたが、華琳以外には誰もそれに口を出すことが出来なかった。

何か、外からの力自分たちの口から疑問の言葉を出すことを妨げているような感覚がした。


「皆今日は遅いから詳しい話は次の日にしましょう。今日は皆休んでいいわ」


と華琳はこの場を終えようとしたが、武将たちの中にはまだ疑問が残っていた。

今の司馬懿の行動がそれを増していた。


「それと、一刀の部屋だけど、実は元の部屋は霞に与えてしまったし、今使えそうな部屋がないの。悪いけれど、以前のように秋蘭や桂花の部屋で一晩寝てもらえるかしら」

「…え!?」


もちろん一刀ちゃん(16)は驚愕。


「「!!」」


そして目に火をつける秋蘭と桂花。

久しぶりに一刀ちゃんと一緒に居られる特権をもらうことが出来た。

それに、今夜を共にしたら、詳しい話を先に聞くことも出来る。


「桂花は北郷と寝るのが苦手だったな。私が引き受けよう」

「え、ちょっ……そういう秋蘭こそ、最近疲れているみたいじゃない。一刀の世話までして居られないでしょ?」

「いや、大丈夫さ。桂花こそ最近は部隊の編成とかで毎晩部屋に灯りがついているのではないか」

「今日はせっかくだし休んでもいいかと思ってね」

「……」

「……」


二人ともゆずる気はないようだ。


「あ、あの、ボクは……」

「そうね、一刀に決めてもらいましょう」

「華琳お姉ちゃん!?」

「「………」」


秋蘭と桂花二人が無言のまま一刀ちゃんを睨んでいた。


「え、ええと……」


どっちにしても、一刀ちゃんと(16)は困惑なのは同じだったが。



【お姉ちゃん、お姉ちゃん、助けて】

【だが断る<<ニヤリ>>】

【悪魔!】


当時ここで秋蘭と桂花と以下の人たちの中で誰の閨に行くかのアンケートがありました。

結果は桂花でした。

なので次回桂花と一緒に寝ます。

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