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黙々・恋姫†無双  作者: TAPEt
黙々
17/54

六黙

有能な才を持つ者を好む華琳さんです。


そして、自分の前に立ち向かえるほどの才を持つ相手なら尚更、華琳さんの心に火を付けます。


そういうのは華琳さんの悪い癖でもあって、


きっと一刀ちゃんが見たという華琳さんの「顔の裏の幸せ」というのはきっとそれでしょう。


華琳さんは黄巾党の党首の正体がわかったことに、少しは黄巾党への興味を深くしたようですね。


その中、一刀の悩みも同じく深くなりつつあるのですが、それに気付くのは今より遥かに後に話になるでしょうね。




一方、黄巾党の活動はどんどん計画的なものになってゆき、


ある日、いくつかの黄巾党の群れが一つの場所に集結しているということが判別されました。


<pf>


「桂花、今動かせる兵はどのぐらい?」


「それが、補給の届きは明日の朝ぐらいになるでしょうです。それに、」


「先の戦いのあと、一度兵たちに休憩を与えてしまったので……」


ついさっき、討伐から戻ってきた春蘭さんが言いました。


「間が悪かったわね…今すぐに動かせる兵は?」


「約三百ぐらいです。それも精鋭部隊ではありません」


「早くしないと奴らがどうするかわからないわ。先ずは先発部隊を編成するよ。大将は…」


「華琳さま、ボクが出ます!」


「……」


「季衣、お前は……」


「そうね、今回は季衣に任せましょう。副将には秋蘭を付けるわ」


「え?秋蘭さまが、副将ですか?」


「ええ、但し、撤退の判断は秋蘭に任せるから、季衣は必ず従うように。いいわね?」


「はい!」


「御意」


「春蘭は今から輸送部隊から補給物資を持ってきなさい。明日まで待っていられないわ。明日日が昇る前に後続部隊を再編成して出立するわ。指揮は私自ら取る」


「はっ!!」



<pf>



一刀ちゃん、季衣さんと秋蘭さんが出立しました。


「……」


行かないんですか?


【行かない。約束したから】


あ、そういえばもうこっそり付いていかないって約束しましたね。


「(こくっ)」


んー、でもあっさりですね。本当に行かなくて大丈夫なんですか?




―正直、僕としては今回ばかりは行ってもらいたいところなんですけどね……―




【正直ボクが行かなくてもどうにかなるわけでもないし、ボクが心配になってみていただけだから…バレちゃったものだしもう行かないことにするよ】


ん、まぁ。そうなんですけどね。


………


……ところで一刀ちゃん。


「??」


あなたは一体、何をしていらっしゃるのですか?


【知らなくていい】


いや、知らなくていいじゃなくてですね。


普段取り出さないノートと鉛筆まで取り出してなにしてるんですか?


ってかこの外史以来初めてなんですけど?


「……」


カキカキ…


時々、一刀ちゃんと居ると自分の存在が無我になってしまう気がします。



<pf>



一方ここは華琳さんの部屋なのですが、


「……うーむ」


華琳さんが休むの久しぶりに見ますね。


…というか、この人何してるんですか?


「……(イライラッ)」


何か、これ前にも見た気が……


「あぁー、もう!」


怒らないでください!?枕をこっちに投げないでください!?


寝られないのは僕のせいじゃないでしょうが!というか当たりませんが


最近一刀ちゃん、皆の疲れを考えて敢えて一緒に寝に行かないみたいですけどね。


一刀ちゃんはすごい勘違いをしています。


あなたと一緒に寝ることで疲れとか溜まりません。


寧ろ一緒に寝てたのに寝ないとあんなように一刀分(?)足りなくなって凶暴化するんですぴちゅん


え?何ですか?今僕どうやってぴちゅったんですか!?


え?え?


「何であの子最近来ないのよ。今日は秋蘭も季衣もいないのに、」


華琳さんの部屋じゃないと他のところに行っているという仮定がまず間違っているんですがね。


あれ?そういえば、華琳さんがこれだということは、他の人たちも…いや、まぁ、いいです。考えないことにします。





コンコン


「誰?」


しーん


「一刀なの?」


コン


答えがなかったら一刀ちゃんですよね。


というか、人の部屋にノックして入ってくる一刀ちゃんなんて初めて診ましたけど。


「…入ってきなさい」


がらり


「……」


入ってきた一刀ちゃんの手には、先部屋で持っていたノートが握られています。


「ど、どうしたの?」


「……」


そしたら一刀ちゃんは華琳さんがいるベットに近づいて、手に持っていたノートのあるページを開いて見せました。


「え?何これ……」


開いた両ページには各々服のデザインが描かれていました。


え、一刀ちゃん。先これ描いてたのですか?


文字も凄く達筆ですし、一刀ちゃん昔なにしてたんですか?


二つの服のデザインの中で、左のは凄く綺麗なナイトドレス、もう一つの右のは、軍服スタイルの服です。


そして、その上には、『どっちが良い?』


「一刀、あなたこんなこともできたの?すごいわね」


ああ、先ずはそこですね。


『それはどうでもいいから好きなの選ぶ』


そう書いている一刀ちゃんの顔に、少しは嬉しい表情があったことは軽くスルー。


「ふむ……」


そしたら、華琳さんは長考に入ります。


考えの行き先は大体思いつきますけどね。


あれ、きっと選んだ方作ってあげるんですよね。


だったら、華琳さんとしてはナイトドレスを選ぶわけはないっしょ。あんな恥ずかしいし。


一部の変態な読者の皆さんは、軍服の方がもっと恥ずかしいだろというかも知れませんが、そんな考え方の自分を恥らってください。


あ、それと知ってますか。囲碁にこういう金言があるんですよ。


「こっちの、右の服の方がいいんじゃないかしら」


ええ、『長考の末に悪手を打つ』って。


『その裏の方を見てみて』


「裏?」


そういわれてページの裏を見る華琳さんの目に入る文字は…





『明日一刀ちゃんを連れて行く』



<pf>



「急げ、もっと急げー!!」


「春蘭、そんなに兵たちを急がせたら、秋蘭たちと合流する頃には兵たちが力尽きて戦えなくなるわよ」


「ですが、華琳さまー」


「はぁ…あまり兵たちに腹いせしないで頂戴」


「うぅ……」


「……?」


キョトンとしているのは、華琳さんと同じ馬に乗って後ろで華琳さんの腰に抱きついている一刀ちゃんです。


いや、何天然な顔していらっしゃいますか、一刀ちゃん。


昨日、一緒に行かせなかったら、あのドレスを着た華琳さんの絵を描いて桂花さんに渡してしまうと言ったのはどこの小悪魔ですか?


桂花さんがそれをもらって一体なにをするだろうか想像した華琳さんの肌に電気が走ったのように鳥肌が立つ時は僕が笑い死ぬかと思いましたよ。


「華琳さま!何故あいつが華琳さまと一緒に行くのですか?戦場は子供の遊び場ではありません」


「………」


「ど、どうしたんですか、華琳さま?」


「桂花」


「はい」


「後で覚えておきなさい」


「はい?」


訳もわからず恨みを得た桂花さん。まさに外道。


「……」


「はぁ…一刀。何度も言うけど、私から離れたらダメよ。絶対に」


「(こくっ)」


・・・


・・



「曹操さま!曹操さまはいらっしゃいますか!」


「どうした!」


その時、兵士一人がこちらに走ってきました。


「貴様は確か、秋蘭の部隊に居た…」


「はいっ!夏侯淵さまの命令で、状況を報告するため参りました!夏侯淵将軍と許緒将軍の部隊が黄巾党の本隊と接続!暫し交戦しましたが、数の差が明らかすぎましたので、近くにいた村に後退して防御をしている最中です!」


「!!」


「華琳さま!」


「ええ、全軍速度上げ。囲まれている秋蘭たちを助けに行くわよ!」


「はっ!全軍駆け足!全力尽きるまで走れ!」


「馬鹿!それじゃダメでしょう!」


「うるさい!秋蘭と季衣がどうなってもいいのか?」


「それは解ってるから少し落ち着きを……」


春蘭さんと桂花さんがそういうやりとりをしてるどころ、


「一刀、もっとしっかり掴まえなさい。これから早く移動するから」


「……」


「ダメよ」


動かせる手がなくて話はできない一刀ちゃんでしたが、華琳さんは一刀ちゃんが言いたいことがわかるかのように釘をつけました。


「今あなたが秋蘭たちがいるところに行っても何も変わらないわ。邪魔になるだけよ」


「……」


「大丈夫よ。秋蘭も季衣もきっと無事よ。あの子たちを信じなさい」


「……(こくっ)」


納得したように、一刀ちゃんは華琳さんの腰にもっとぎゅって抱きつきました。




一刀ちゃん、僕が先に行って様子を見てきましょう。


「……」


はい、それじゃあ、



<pf>



「夏侯淵さま!西側の第三防御線が破られました!」


「ふーむ、防柵は後二つか。どのぐらい保ちそうだ、李典」


「マズイな……後二つか。そうだな…結構応急に作ったもんやし、後一刻持つどうかってところやな」


「微妙なところだな。姉者たちが早く来てくれれば良いのだが…」


これはー…ひどい、としか話す言葉が見つかりませんね。


村の町は完全にぼろぼろになってしまって、火災とかもあったように建物のそこそこには煙も見えています。


秋蘭さんたちの部隊と、楽進たちが率いている義勇兵が共に防御線を建てていますが、本当真桜さんの言う通りこれからどれだけ持つものか……


「しかし、夏侯淵さまがいなければ、我々がここまで耐えることはできませんでした。ありがとうございます」


「それは我々も同じ事。貴公ら義勇兵がいなければ、連中の数に押されて敗走しているところだ」


「いえ、私たちこそ、夏侯淵さまたちがいなければ、既にあの場で全滅していたでしょう。ここまで防御できたのも夏侯淵さまの指揮があってこそです」


「お互い助けてもらっているのだ。もう少し耐えよう。直ぐに姉者たちが援軍を連れてこっちに来る」


「はい」


「凪ちゃーん!東側の防柵が破られました!東側の防柵の残りは後一つしかないの!」


「あかん!東のありゃー、材料が足りひんかったから結構もろいでー。破れるのも時間の問題や」


「仕方ない。残りの兵は全て東側に回す。楽進」


「解りました。真桜、沙和、こっちは頼んだぞ」


「あぁ、無理せんでな」


「気をつけるの」


「ああ……」


「秋蘭さま、ボクたちも行きましょう」


「ああ、皆、ここが正念場だ!力を尽くし、何としても生き残るぞ!」


「わかったの!」


「おお、死んでたまるかいな!」



ガーンガーンガーーン!!




「何だ?」


「報告です!街の外から大きな砂煙!大部隊の行軍です!」


「敵の援軍なん?」


「えー?またくるのー!?」


「敵か?それとも…」


「それが…」




ひょこっ




「……(にしっ)」


「!北郷!」


「一刀ちゃん!?」


「へ?」


「一刀ちゃんやんか」


一刀ちゃん?


ああ、そうですか。


もう来ましたか、早かったですね、流石に。


「……」


黙々としながら一刀ちゃんが開いた竹簡の中にはこう書いてありました。


『援軍到来』



<pf>



「北郷を先に行かせて大丈夫なんですか?」


「あら、桂花が一刀の心配をするの?」


「なっ!そ、そういうわけではありません!」


「まぁー。大丈夫よ。中はなかなか苦戦しているっようだから、一刀が早く行って先に援軍が来たことを伝えたら兵たちの士気もあがるわ」


「はぁー」


「…ええ、そうよ。きっと大丈夫よ。中には秋蘭と季衣もいるし…(ブル」


「…華琳さま?」


華琳さん?


「彼女たちなら何事もないでしょうよ。でも状況が状況だから少し目を離してしまうかも知れないじゃない。もしかして知らない人にでも連れて行かれたら、いや、いざとなってもあの子は知らない人が触れようとすると逃げられるわよね。そうよ、あの子なら大丈夫だわ。あの子なら何万の敵の中にいても傷一つないまま戻って来られるじゃない。あの子ならきっと平気よ。それでなければ私があの盗賊のグズどもをただで殺すわけがないでしょ?あの子に傷一つでも与えた奴は殺さず城の拷問室に連れて行って寧ろ自分の口から殺してくださいと嗚咽しながら叫ばせてその上に半分以上死んだら手足を切って塩付けて漬けにして街の人たちに広げて……(ブルブル」


華琳さん?華琳さーん?漏れてる、言葉が漏れてますよ!周囲の兵士たちが何かわからない覇気に包まれて嘔吐症状を見せていますよ!


「銅鑼を鳴らせー!!中の秋蘭と季衣たちに!私たちが来たことを伝えるのだー!!」


春蘭の命によって大きく銅鑼が鳴り、曹と夏侯の旗が揚がり、


「敵の数が把握しました。役三千、我々本隊の敵ではありません」


「いいわ。総員、突撃!苦戦している仲間たちを救うのだ!」


曹操軍の大反撃が始まりました。



<pf>



「一刀ちゃんがどうしてこんなところにいるねん?」


「一刀ちゃん、久しぶりなのー!」


「!!」


急に抱きつこうとする沙和さんですが、


スッ


「…ぁ」


「あ」


「あ、あれ?」


「……」


いつもみたいに急な動きには苦手な一刀ちゃんです。


「……ふえーん、真桜ちゃん、一刀ちゃんが沙和のこと見て逃げたのー」


「沙和、そんなことをしてる場合か」


「せやで、沙和。一刀ちゃんが困ってるじゃねぇか」


「……(あわあわ)」


【これって意識して動くんじゃないの。無意識なのー】


あれ?そうだったんですか?


道理でそんなに反応時間が早いものだと……


「それより北郷、お前一人で来て大丈夫なのか?」


「……」『大丈夫なんじゃない?秋蘭お姉ちゃんが守ってくれるんだし』


華琳さん、怖かったんですけどね。


「……ふふっ、頼りにしてくれてるのは嬉しいんだがな」


でもほら、無意識だとあまり危険な目に会いそうではなくないですか、一刀ちゃんって?


「一刀ちゃーん」


って于禁さんまだ開き直っていませんか。


一刀ちゃん、あの人なんとかしてください。


「……」


振り向いた一刀ちゃんはしくしくとしている(多分嘘泣きの)沙和さんに近づきました。


「……」


ぐいぐい


「…うん?」


泣いてた(うそ泣き)沙和さんがスカートを引っ張る一刀ちゃんを見下ろしました。


ぎゅー


「……<<ぎゅー>>」


今の一刀ちゃんにこう……ぼ○ぼの汗が飛ぶ効果のアレが欲しいです。


「…はあ♡、一刀ちゃーん♡」


「ああ、一刀ちゃん、それウチもやってー」


「こら!」


まったく戦争には向いてない二人さんです。


「あ、ボクもして!」


……おまえもか


「季衣…まだ戦争は終わってないぞ」


「!!」【あ、そうだった】


「ああん、もっとー」


「沙和もいい加減にしろ」


「とかいって、凪も一刀ちゃんにぎゅってされてみたいやろ」


「なっ!何を馬鹿なことを……はっ」


「……(しゅん)」【そっか、うん、そうだね、この前一度会っただけなのに抱きつくとかおかしいよね。無礼だよね。そーだねー】


「いや、あの、別にいやとかじゃなくて、今は戦いの途中だし、そんなことする暇はないというか」


「あーあ、凪が一刀ちゃん落ち込ませたで」


「せっかく援軍が来たって教えに来てくれたのにひどいのー」


「ううう……」


ああ、落ち込んだ楽進さんはかわいいですねー


「皆遊ぶのはそれぐらいにしておけ。北郷、私の後ろにいろ」


「(こくっ)」


「楽進と季衣は前に出て東側に火力を集中してくれ」


「はい」「解りました」


さあ、これで一安心できますね。


「(こくっ)」【あ、さっちゃん】


はい


【僕行ってから華琳お姉ちゃん、どうだった?】


ええ、まぁ。それは表では平然としようとはしていましたけど、不安な感情だだ漏れでしたよ。


【そっか……】「…(てへ)」


あ、照れちゃって……


まぁ、なんだかんだでこの戦争も終わりそうです。




<pf>



没ネタ


秋蘭さんたちの状況を兵から聞いたところで、




「一刀、もっとしっかり掴まえなさい。これから早く移動するか……」


しーん


……せんせー!一刀ちゃんがいませーん!


「………(ブルブル)」


あ、華琳さん怒った。


「かーずとーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」


その余波で、その周りにいた兵士十数人が即座に倒れましたが、戦況にはまったく支障ありません。はい。





没にした理由:後が怖かったです(華琳さん、怖いです)


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