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黙々・恋姫†無双  作者: TAPEt
黙々
15/54

拠点フェイズ3 秋蘭黙

「北郷?いるか?」


がらり


久しぶりに一人で寝てた一刀ちゃんを呼びに秋蘭さんが部屋に訪れましたが、


「…いないのか?」


はい、いません。


今日は何故か朝から早起きして街に出ました。


「む?」


帰ろうかと思った秋蘭さんの目に入るものがありました。


それは、前にはなかった部屋の隅っこにある、この前街で買った竹のカゴです。


それだけだと別に目が行かなかったでしょうけど、問題はカゴの中に入っている物でした。


鞄です。


この前僕が一刀ちゃんの世界から持ってきたものです。


入ってるのは大した物はありません。教科書とノートと筆箱と……


「これは……」


あ、その手に触れてはいけないものは一刀ちゃんが五才の時にお父さんとお母さんと一緒に遊園地で取った写真です。


僕、手に触れてはいけないものっていいました?


「………」


秋蘭さんがその写真から目を放せず何分か過ぎました。


がらり


「あっ」


<pf>


「……?」


「ほ、北郷、どこに行ってたんだ?」


「………」


一刀ちゃんは胸に紙の封筒を抱いていました。


中身は…お菓子ですか?


「……」


「そ、そうか。そういえば、昨日お茶会をすると、北郷にも言ってたな」


「……(こくっ)」


一刀ちゃんは持っていた紙封筒を秋蘭にあげようとしました。


「いや、そ、それは後で北郷が持ってきてくれないか」


「??……(こくっ)」


「あ、それじゃあ、私はこれで……」


そう言って秋蘭さんは一刀ちゃんに背中が見えないようにして部屋を出て行きました。


「……??」


【さっちゃん、秋蘭お姉ちゃんどうしたの?】


さ、さあ……なんだったんでしょうね…


「……?」



・・・


・・




「…はぁ…」


一方、秋蘭さんが背中に隠していた手には、


戻しきれなかった一刀ちゃんの写真が持たれてありました。


<pf>


一刀ちゃん朝から出て行くと思ったらお菓子買いに行ってたんですか?


「(こくっ)」【作る量が限られてる限定品で、朝から並べないと買えない】


何のために?


【昼に華琳お姉ちゃんたちとお茶会】


あれ、招待されたんですか?


「(こくっ)」【というかお菓子調達係り】


まぁ、そりゃ一刀ちゃんが街の隅々まで良く知っているからでしょ?


【そうなんだけどね…】「……」


どうしたんですか?じっと持ってきたお菓子の封筒見て、


【こっそり一つ食べてもバレないかな】


えー……ダメですよ。


【やっぱり?】


仕方ないと思いながら、一刀ちゃんは竹のカゴの直ぐ側にある棚にお菓子の封筒を置きました。


「………?」


【あれ?ボクってこれここに置いたっけ?】


<pf>



「……はぁ、つい持ってきてしまったが、これを一体どうすれば…」


一方、部屋で頭を抱いて唸っている秋蘭さんの姿がありました。


「素直に言ってしまったら北郷が私のことをなんと思うか解らないし、だからって間をとっていて北郷あの中にこれがないことを知ったら……」


写真だけ見たらそれが一刀ちゃんのお父さんお母さんなのかどうなのか解らないのですが、その写真の裏には、昔一刀ちゃんが【お父さんとお母さんとの最後の思い出】と大きく書いてあるのでした。


一刀ちゃんの文字には、こっちの世界の人たちでも見えるように工夫をしています故、秋蘭さんがそれがどういうものがわかるということです。


それに、一刀ちゃんのことについて終始を大体解っている秋蘭さんだからこそ、これは焦らずにはいられない状況だったのです。


がらり


「む?秋蘭、こんなところで何をしているのだ」


「あ、姉者」


そうしていたら、春蘭さんが秋蘭さんを探しに来たようです。


「早く準備しないと、お茶会に間に合わなくなってしまうぞ。お菓子を買うといった北郷はどうしたのだ?」


「ああ、今北郷が持っているはずだ」


「なら、私が行こう。お前は他の支度を…」


「……いや、姉者が行くとまた騒がしくなるかもしれない。北郷のところは私が行こう」


「む、そうか…じゃあ、場所は前決めたところでいいよな」


「ああ」


<pf>


一刀ちゃんの部屋に行くところで、秋蘭さんはどうすれば一刀ちゃんにこの事をばれずスムーズにこの写真を元のところに戻せるか考えていました。


「………」


ふと考えが行き過ぎて、足が止まっていたところで、


桂花さんがこっちに来ます。


「こんなところで何ぼおっとしているの?」


「…あっ、桂花。ちょうど良かった」


「何?私、今日はちょっと急がしいのだけれど。…おかげで華琳さまとのお茶会にも参加できないなんてぇと思ったらさらに不機嫌になるから……」


「ちょっと相談事があるんだが」


「相談?」


「実は……」


そして桂花さんに終始を全部話す秋蘭さんです。


・・・


・・



「…素直に謝れば?春蘭や私ならともかく、あなたならそれほどであいつが怒ったりはしないでしょうよ」


知恵を借りようとしたつもりが、まさか軍師さんからこんな正攻法な話が出てくるとは思いませんでした。


「やはりそれしかないのか?」


「それとも、一緒にいるところであいつが他のところを見てる間、そのカゴを見るふりをして初めてその中から出したようにする手もあるけど」


「うむ……そんな手もあるな」


「ま、どっちにせよもうバレているのだったら終わりって話だけどね」


「そうだな…止まらせて済まん。じゃあ、私はこれで」


「早く行きなさい。あなたを見てると仕事をしなきゃいけない私が惨めに思えるから」


「わるい、それでは…」


いつもなら笑いで返す秋蘭さんですが、そのような余裕はなさそうです。



<pf>



「ほんご……!!」


部屋の戸を開けた瞬間秋蘭さんは硬直しました。


部屋の中はバラバラでした。


寝台の布団も床に落ちていて、棚は倒れていて、真ん中には棚にあった花瓶の水を浴びて正座になって座っている一刀ちゃんがいました。


「ほん、ごう?」


「………」


背中を見せていた一刀ちゃんの顔を見るため前に回ろうとした秋蘭さんでしたが、


『戸閉めて、入って来ないで!』


「あ」


「……」


いつもは達筆な一刀ちゃんが、今度の文字だけはすごく荒く書いてあって、一刀ちゃんの今の感情が良く解りました。


後ろを向かずに一刀ちゃんは次の文を書きました。


「……」『お菓子、食べられなくなっちゃったし……ボクは部屋片付けるからお姉ちゃんは街に行って他のお菓子で買い直してくれない?』


「……大丈夫か、北郷?」


『大丈夫、水浴びたけど…ここに来てこんな精神的衝撃くらったの初めてだけど、大丈夫』


それは大丈夫じゃないと言いたいんですね。


『いいから早く戸閉めて』


「北郷……私は……わざとではなくてな」


『どうでもいいから!!』


「!!」


秋蘭さんは、そのまま戸を閉じてしまいました。



<pf>



「……すまん…北郷……」



<pf>



「……(ブルブル)」


一刀ちゃん……








【先の見た!?】


ええ、見ました。デッカイGでした!!僕心臓麻痺くるかと思いましたよ!


【ボク飛ぶの初めて見た】


僕だって初めてですよ!


何ですかあれ?やっぱり中国だからですか?中国だからなんでもかんでもデッカイんですか?


【知らないよ。とにかく、先秋蘭お姉ちゃんが戸開いてる間に出て行かなかったね?】


はい、多分…むしろ出て行ってほしかったです。


【そうだと秋蘭お姉ちゃん驚いて気絶しちゃうよ。ボクも驚いて棚にぶつかってお菓子こうなっちゃったし、大惨事だよ】


ええ……まぁ、他のところも大惨事ですけどね。


【何の話?解らないけど、今は早くあのゴキブ…】


言わないでください!?



・・・



・・








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