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その日、どこからか届いたたったひとつの通報で、桜前線基地の動きは唐突に停止した。巨大な引力に抗うことを放棄した一斉の沈黙。議論も、違和感の表明もなく、ただ、モニターが定期的にスイッチされていくのみ。戦場において、おのれの体を停止させることは死を意味する。思考を停止させることもまた、そのことと同じくらいの意味を持つ。
ただの日付。しかし―
その日がどういった日であるのかを、知らない三人ではない。数十年という歳月が流れてもなお、カレンダーの特定の一日が、いまを生きる人々の自由を縛りつけている。あの日、起きたことを無敵の盾として、目の前に迫っている戦いをも否定する。何をしても、あるいは、何もしなくても、誰かが思う「型」に合わなければ、それは瞬時に糾弾の対象となる。そんな、どちらに転んでも抜け出せないバカげたクソのようなループ。
「ふっ」
ヤエが静寂を破る。
「バカげた、でも、クソのような、でもないな」
「では、なんです?」
「バカで、クソだ」
「いかにも」
あたり前のことが言えない空気は、やはりどこか狂っている。




