7.変態紳士再び
「ねぇ、プルン」
こはるはベッドの上に寝転がりながら、ふと聞いた。
「今って、私何ポイント持ってるの?」
プルンは空中でくるくる回りながら答える。
「そうプルンねぇ〜」
「今ちょうど100ポイントプルン」
「100かぁ……」
こはるは天井を見上げた。
「さっきの変態紳士、強かったよね……」
「そうプルンね」
プルンもうなずく。
「結構強いプルン」
「うーん……」
こはるは少し考え込む。
本当ならこのポイントは――
胸アップのために貯めておきたい。
しかし。
あの変態紳士。
思い出すと少し悔しい。
「幹部も200ポイントなんだよね?」
「そうプルン」
「ってことは」
「同じくらい強いってことよね」
プルンはうなずいた。
「そうプルン」
こはるは大きく息を吐く。
「……安全には変えられないか」
そして言った。
「今回は強化に使う!」
プルンが少し驚く。
「いいプルン?」
「仕方ない」
こはるは言う。
「胸は後回し」
「生き残るのが先」
「断腸の思いね」
プルンはうなずいた。
「わかったプルン」
「武器出してプルン」
こはるは素直にステッキを出す。
プルンが触れる。
「ちょっと妖精界とパスを繋ぐプルン」
すると。
ステッキが淡く光る。
先端から、細い光の糸のようなものが空へ伸びていく。
「おお……」
こはるが見上げる。
しばらくして。
ぴかっ!
光が弾けた。
プルンが胸を張る。
「出来上がりプルン!」
「もう?」
こはるはステッキを見る。
見た目は変わらない。
「これで1.2倍くらい強くなったプルン!」
「微妙!」
こはるは言った。
「でもありがとう」
ステッキを握る。
「胸を先延ばししたんだ」
「このステッキには頑張ってもらわないと」
プルンはうなずく。
「頑張るプルン」
こはるは立ち上がる。
「とりあえず夕方だし」
「夜と朝の食材でも買いに行くか」
バッグを持って外に出た。
夕方の街。
こはるは歩きながら思う。
(最近……)
(私が出歩くと)
(いつも悲鳴聞こえる気がする)
(物騒な街になったなぁ)
そのとき。
「きゃああああ!」
前方から悲鳴。
こはるは立ち止まる。
「ほらね!」
プルンが言う。
「事件プルン!」
こはるは走り出した。
角を曲がる。
そして見た。
そこに立っていたのは――
奇妙な男だった。
オールバックの髪型。
筋肉質な体。
そして。
変なマスク。
首には黒いネクタイ。
しかし。
服装はまともではない。
上下は黒いシースルーの女性用下着。
パンツはもちろん
Tバック。
さらに脚には
黒パンスト。
どう見ても――
完全なる変態である。
そしてその男は、小脇に女性を抱えていた。
こはるは言った。
「……はあ」
変態紳士。
再び。
変態紳士は優雅に一礼する。
「おやおや」
「これはこれは」
「また会いましたね」
こはるは呆れ顔。
「またあなたですか」
変態紳士は嬉しそうだ。
「運命ですね」
こはるはステッキを出す。
「今度は逃がしません」
「この前は逃げましたよね?」
変態紳士は笑った。
「紳士は」
「引き際を心得ているのです」
こはるは叫ぶ。
「へんしん!」
光が広がる。
服が宙に舞う。
体がくるくる回転する。
そして――
お尻が丸見えになる。
くるっ。
また回転。
やっぱりお尻。
光の中でピンクのフリル衣装が形成されていく。
そして完成。
魔法少女。
ピンクフリル。
変態紳士は息を呑んだ。
「おお……」
「やはり素晴らしい」
「そのヒップライン……!」
彼は興奮した声で続ける。
「丸み!」
「張り!」
「腰から太ももへ流れる完璧な曲線!」
「まさに黄金比!」
「なんという芸術!」
さらに手を広げて叫ぶ。
「見事です!」
「これほど理想的なヒップラインは滅多にない!」
「背中から腰!」
「そして臀部へと続く流麗なライン!」
「完璧です!」
こはるの眉がぴくっと動く。
変態紳士はさらに熱弁する。
「特に!」
「このフリルスカートで強調される丸み!」
「素晴らしい!」
「まさに芸術作品!」
こはるは冷静に言った。
「……変態」
戦闘開始。
魔法。
蹴り。
パンチ。
互いに距離を詰める。
やがて。
戦いは――
取っ組み合いになった。
びりっ。
こはるの胸元が裂ける。
下着が見える。
さらに。
びりっ。
スカートの縫い目が裂けた。
その瞬間。
変態紳士は感動した声で言う。
「おお……!」
「動きに合わせて揺れるヒップライン!」
「素晴らしい躍動感!」
「これはまさに――」
こはる。
「うるさい!!」
二人とも息が荒い。
変態紳士は笑った。
「今日はこれまでにしておきましょう」
こはるは叫ぶ。
「逃げる気!?」
変態紳士は優雅に礼をする。
「また会いましょう」
「我が好敵手よ!」
煙。
ぼん!
変態紳士は消えた。
こはるは息を整える。
「はぁ……」
プルンが言う。
「また逃げたプルン」
こはるは悔しそうに言った。
「200ポイント……」
そして拳を握る。
「次は」
「絶対倒す」
こうして。
ピンクフリルと変態紳士の因縁は
さらに深まっていくのだった。




