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6.学生マンションの住人たち

変態紳士との遭遇から数時間後。


桃瀬こはるは、ようやく学生マンションの前に立っていた。


「ここかあ……」


目の前には四階建てのマンション。


大学から徒歩五分。


学生専用ワンルームマンション。


看板には


メゾン・サンフラワー


と書かれている。


「思ったより普通ね」


こはるは周囲を見回した。


同じように荷物を持った学生が出入りしている。


キャリーケースを引いている人や、段ボールを抱えている人もいる。


どうやら今日が引っ越しのピークらしい。


春。


新生活の季節。


「いよいよ一人暮らしかぁ」


少しだけ胸が高鳴る。


その横でプルンがふわふわ浮いている。


「魔法少女の拠点プルン」


「ただの学生マンションよ」


こはるはツッコんだ。


入口のオートロックを開けて中に入る。


エントランスは小さいがきれいだ。


壁には掲示板があり、


新入生歓迎


と書かれた紙が貼ってある。


近くには


ゴミ出しのルールや、大学周辺の簡単な地図、


近くのスーパーのチラシなども貼られていた。


「なんか本当に大学生って感じね」


こはるは少し嬉しそうに言った。


エレベーターを待っていると――


「おっと」


横から声がした。


振り向くと、元気そうな女の子が立っていた。


茶色のショートヘア。


明るい雰囲気。


スポーティーな服装だ。


「ごめんごめん」


「先に押しちゃった?」


「あ、ううん」


こはるは笑った。


「大丈夫」


「同じマンション?」


「うん!」


女の子は元気よく言う。


「今日引っ越してきた!」


「兎月みう!」


「桃瀬こはる」


「よろしく」


「よろしく!」


そのとき、後ろから静かな声がした。


「新入生の方ですか?」


振り向くと、黒髪の眼鏡の女の子が立っていた。


落ち着いた雰囲気で、手には本を持っている。


「白森めいです」


「私も今日入居しました」


「桃瀬こはる」


こはるは軽く頭を下げた。


「よろしくお願いします」


みうが言う。


「新入生多いね!」


めいはうなずく。


「大学が近いですからね」


そのとき。


エントランスのドアが開いた。


「わ、もう集まってる」


小柄な女の子が入ってきた。


金髪のインナーカラー。


少しいたずらっぽい笑顔。


「新入生?」


こはるはうなずく。


「うん」


女の子は笑った。


「私は小鳥遊りり」


「同じマンションならそのうち会うよね」


みうが言う。


「確かに!」


「大学も同じかもね!」


めいが言った。


「入学式も近いですし」


りりは肩をすくめる。


「まあ、そのうちまた会うでしょ」


エレベーターが到着した。


扉が開く。


みうが先に乗る。


「じゃあ!」


「また会おう!」


めいも軽く会釈する。


「それでは」


りりも手を振った。


「よろしくー」


三人はそれぞれ違う階で降りていった。


こはるは三階で降りる。


廊下は静かだった。


新しい建物らしく、床も壁もまだ綺麗だ。


遠くの部屋からは段ボールを動かす音が聞こえる。


どこかの部屋では掃除機の音もしていた。


「新生活って感じね」


こはるは小さくつぶやく。


プルンが小声で言った。


「……怪しいプルン」


「何が?」


「なんか嫌な予感するプルン」


「気のせいでしょ」


こはるは笑った。


「普通の大学生でしょ」


そのころ。


マンションの別の場所。


みうが小さく笑う。


「へぇ」


「あれが魔法少女か」


隣ではめいが静かに言った。


「確認しました」


「魔法少女ピンクフリル」


りりがくすっと笑う。


「思ったより可愛いじゃん」


三人は小さくつぶやいた。


「ドレスティア幹部」


「行動開始」


同じマンションに住むことになった


魔法少女と悪の組織。


しかし――


そのことを


まだ桃瀬こはるは知らない。

 

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