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16.静かな休日と待ち伏せ

「はぁぁぁぁ……」


桃瀬こはるはベッドの上で大きく伸びをした。


天井を見上げながら、だらけきった声を出す。


「なんか最近、戦い続きで疲れたー!」


ベッドの横でふわふわ浮いているプルンがうなずく。


「確かに戦闘多いプルン」


こはるは寝転がったまま言った。


「今日は何もしない!」


プルンが即答する。


「いいと思うプルン!」


こはるはガバッと起き上がった。


「よし!」


「じゃあ今日は街の探索の続きする!」


プルンが首をかしげる。


「休むんじゃないプルン?」


こはるは笑う。


「戦わなければ休みよ!」


そう言って服を着替え、部屋を出た。


春の昼。


街は穏やかだった。


学生の街らしく、若い人が多い。


カフェ。

雑貨屋。

小さなパン屋。


こはるはのんびり歩きながら言う。


「引っ越してきてからさ」


「戦いばっかりで街見てなかったよね」


プルンがうなずく。


「確かにそうプルン」


こはるは商店街をぶらぶら歩く。


八百屋。

魚屋。

小さな喫茶店。


どこか昔ながらの雰囲気だ。


「こういう商店街好きかも」


プルンが言う。


「平和プルン」


しばらく歩く。


すると大きな建物が見えてきた。


「ん?」


こはるは立ち止まる。


「図書館?」


建物の前には


市立図書館


と書かれている。


こはるは腕を組む。


「たまには図書館もいいね」


プルンがうなずく。


「いいと思うプルン!」


こはるは中に入った。


自動ドアが開く。


静かな空間。


本棚がずらりと並んでいる。


学生。

社会人。


いろんな人が本を読んでいる。


「落ち着くね」


プルンが小声で言う。


「静かプルン」


こはるは本棚の間を歩く。


小説コーナー。

歴史コーナー。

旅行ガイド。


適当に本を眺めていると――


「あら」


声がした。


こはるが振り向く。


そこにいたのは。


白森めい。


黒髪。

眼鏡。

落ち着いた雰囲気。


マンションで会った女の子だ。


こはるは手を振る。


「こんにちはー!」


めいは軽く頭を下げる。


「こんにちは」


こはるが聞く。


「めいさん、よく来るんですか?」


めいは静かに答える。


「ええ」


「本は好きなので」


こはるが笑う。


「わかる!」


「図書館ってなんかいいよね」


めいはうなずく。


「静かですし」


「落ち着きます」


少しだけ世間話。


大学のこと。

この街のこと。

図書館のこと。


こはるは言った。


「私この街まだ全然知らなくて」


「今ちょっと散歩してるんだ」


めいは微笑む。


「それは良いですね」


「この街は静かで住みやすいですよ」


こはるは頷いた。


「うん、気に入ってる」


そして時計を見る。


「じゃあ」


「そろそろ行きますね」


めいは軽く会釈した。


「またお会いしましょう」


こはるは手を振る。


「ではー!」


図書館を出る。


春の風。


こはるは伸びをした。


「なんか平和な一日だね」


プルンが言う。


「平和プルン」


そのとき。


図書館の中。


窓のそば。


白森めいが立っていた。


そして。


こはるの背中を静かに見ていた。


めいの目が細くなる。


「……」


小さくつぶやく。


「やはり」


「魔法少女ですね」


その表情は。


先ほどまでの優しいものとは

少し違っていた。


一方。


こはるはのんびり歩いていた。


「次どこ行こうかな」


すると。


小さな公園が見えた。


滑り台。

ブランコ。

砂場。


誰もいない。


こはるは笑う。


「ちょっと休憩しよう」


ベンチに座る。


春の風。


静かな時間。


「こういうのいいよね」


プルンが言う。


「のんびりプルン」


しかし。


その瞬間。


ガサッ。


音がした。


こはるが振り向く。


「……?」


すると。


黒い影が現れる。


一体。

二体。

三体。


そして。


どんどん増える。


こはるが目を見開く。


「……」


「え?」


気づいたときには。


周囲を完全に囲まれていた。


黒い全身タイツ。

奇妙なマスク。

掛け声。


「ヌギー!」


「ヌギー!」


「ヌギー!」


こはるは数える。


「ちょっと待って」


「多くない?」


プルンが数える。


「……」


「30匹くらいいるプルン」


こはるがため息をつく。


「うそでしょ」


ヌギーたちはじりじり近づく。


完全包囲。


逃げ道なし。


こはるは周囲を見た。


「……」


「これ」


「待ち伏せ?」


プルンが言う。


「可能性高いプルン」


こはるは肩をすくめる。


「はぁ」


「今日は休みの予定だったのに」


そして。


ポケットからステッキを取り出す。


くるりと回す。


「仕方ない」


こはるはステッキを掲げる。


「へんしん!」


光が広がる。


服がふわりと宙に舞う。


パーカーが浮かび。

ショートパンツがほどけ。

スニーカーが離れる。


体がくるくる回転する。


そして――


お尻が丸見えになる。


くるっ。


また回転。


やっぱりお尻。


光が集まる。


ピンクのフリル。

黒いリボン。

細いベルト。

網タイツ。

腿リング。

腕飾り。

ヒールブーツ。


光が形を作り上げる。


ピンクと黒が混ざる。


魔法少女。


だけど――

かなり妖艶。


こはるはくるっと回る。


そしてポーズ。


光が弾ける。


完成。


魔法少女ピンクフリル。


ヌギーたちが叫ぶ。


「ヌギー!」


「ヌギー!」


こはるはステッキを構えた。


「30匹かぁ」


プルンが言う。


「ボーナスステージプルン!」


こはるが笑う。


「そうね」


「まとめて来なさい!」


ヌギーたちが一斉に飛びかかる。


そして。


魔法少女ピンクフリルの戦いが

始まろうとしていた。

 

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