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転生賢者は学園から世界を獲る ―知識無双から始まる成長覇道―  作者: 夜凪レン


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第1話 転生貴族、才能は「地味」でした

はじめまして。

この物語は――

最初から最強ではない主人公が、失敗を重ねながら無双していく物語です。


舞台は、剣と魔法の異世界。

学園から始まり、

やがて領地を動かし、国を率い、世界へと広がっていきます。


主人公に与えられたのは、

派手なチート能力ではありません。

あるのは、前世の知識と――

「成長だけが異常に速い」という、少し地味な恩恵。


地味だからこそ、

最初は見下され、失敗もします。

それでも学び、考え、積み重ねた結果、

いつの間にか周囲が追いつけなくなっている。


そして、

そんな彼の背中を最初に見つめる一人の少女がいます。

それが恋になるのは、少し先のお話。


肩の力を抜いて、

学園生活から覇道の始まりまで、

どうぞゆっくりお楽しみください。

 目を覚ました瞬間、俺は悟った。


(……あ、これ転生だ)


 なぜ分かったかというと、

 天井がやたら装飾過多で、

 しかも俺の手が――小さい。


「赤ちゃんだこれ!」


 泣くべきか?

 いや、今は声が出ない。

 というか、口の中に何か突っ込まれている。ミルクだ。

 なるほど、人生ハードモードのチュートリアル中らしい。


 ――数年後。


 俺はアルト・エル=ヴァイスとして成長していた。

 地方伯爵家の三男。

 家督? 兄がいる。

 期待? 特にされていない。

 理想的なポジションである。


(目立たず、静かに生きよう)


 そう決めて、俺は魔力量測定の日を迎えた。


「アルト・エル=ヴァイス!」


 水晶に手を置く。

 光る。

 ……うっすら。


「平均、だな」

「うん、平均だ」

「びっくりするほど平均だ」


 三方向から平均判定を受けた。

 逆にすごくない?


 剣術。

 そこそこ動ける。

 だが、天才ではない。


「悪くはないが、光るものもない」

「便利枠だな」


 便利枠って何だ。

 弁当箱か。


 唯一、座学だけは違った。


「魔法とは、感覚ではなく理論です」


 つい口を出してしまった。


「魔力効率を考えれば、詠唱は――」

「理論だけでは魔法は飛ばない」


 教師にバッサリ切られる。


(ですよねー)


 この世界、

 感覚派が強い。理論派は変人扱い。

 分かってた。分かってたけど言いたくなった。


 そして迎えた、王立魔武学園の入学式。


 豪華な校舎。

 才能あふれる貴族子弟たち。

 キラキラしている。眩しい。


「中位クラス、か」


 俺の配属先だ。

 上位でも最下位でもない。


「……ちょうどいいな」


 目立たない。

 叩かれない。

 理想だ。


 ――その理想は、三日で崩れた。


 実戦訓練。

 模擬戦。


「アルト、後衛な」

「了解」


 俺は前に出ない。

 前世の経験上、

 無理に前に出るやつから死ぬ。


 味方の動きを見て、

 指示を出す。


「次、右から来る。防御魔法を――」

「遅い!」


 バゴン。


 吹き飛ぶ俺。


(あ、詠唱、間に合ってない……)


 地面に転がりながら、反省する。


 結果、敗北。


「やっぱ机上の空論だな」

「頭でっかち」


 ぐさぐさ来る。

 だが、不思議と嫌ではなかった。


(なるほど……この世界の“速さ”は、こういうことか)


 その夜。


 俺は一人で訓練場に立っていた。


 詠唱を短く。

 無駄を削る。

 動きと連動させる。


 ――できた。


「……あれ?」


 昨日できなかった魔法が、

 今日は安定して出る。


 もう一度。

 また成功。


(あ、これ)


 思い出す。

 神様の言葉。


『成長だけは、誰よりも速くなる』


「地味だけど……悪くないな」


 その時。


「……今の、独学?」


 振り返ると、

 銀色の髪をした少女が立っていた。

 上位クラスの生徒だ。


「見てた?」

「少しだけ」


 彼女は、俺の魔法陣をじっと見つめる。


「変な組み方」

「よく言われる」


 少し間を置いて、彼女は言った。


「でも……合理的」


 その言葉に、

 胸の奥が、少しだけ熱くなった。


(ああ)


 まだ無双じゃない。

 まだ平凡。


 でも――

 確かに、何かが始まった。


 俺は静かに拳を握る。


「学園生活、楽しめそうだ」


 この時の俺は、まだ知らない。


 この“地味な才能”が、

 やがて国を動かし、

 世界を変えることを。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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