ギャル率急上昇!? オカマBAR、混迷を極める
あれから “勇者・銀子” として名を馳せてしまった銀子の店は、
それはそれは繁盛した。
「ねぇねぇ銀子ちゃん、勇者って何すんの?」
「もしかして〜、現代社会に魔物来ちゃって、銀子ちゃんが倒しちゃう系?」
しかし──オカマBARなのに、なぜかギャル率が異常に高い。
これが銀子の密かな不満である。
「お黙り、小娘たち!」
銀子が凄んでも、
「マジウケる〜!」
「“お黙り、小娘たち” だって〜!」
何を言っても爆笑されるばかりで、ちっとも響かない。
だがこのギャルたち、なぜか会社のお偉いさんをよく連れてくる。
無碍にするとジュンコママに睨まれるため、銀子としてはストレスが溜まる一方だ。
「アンタたち、こんなオカマに会いに来ても楽しくないでしょう?」
お酒を飲みながらポツリと言ったその時、ギャルたちは顔を見合わせ、
「めっちゃ面白いよ! 銀子ちゃん、あ〜しらに興味ないじゃん?
だから本音で話してくれるし」
「そうそう。バイブスも合うっつーか〜?」
銀子は深い溜め息をつき、
「アンタたちの言葉、本当に日本語? 宇宙語を聞いてるみたいよ」
と言うと、
「宇宙語!? マジうける〜!」
と手を叩いて笑い転げた。
「アンタたち、いつも遅くまで遊んでるけど、ご両親は心配してないの?」
銀子が眉をひそめると、
「出たっ! 銀子っちの説教タイム!」
とギャルのひとりが茶化した。
「説教じゃないわよ、心配してんの。
どうであれ、アンタたちはアタシの大事なお客様だからね」
そう言って優しく頭を撫でると、
「銀子ちゃんがウチらの親だったら良かったのに」
と、小さな声で呟いた。
「ちょっと! アタシまだ二十八歳よ!?
アンタたちとそんな変わらないんだから、ババア扱いやめて!」
「じゃあ、お姉ちゃん!」
もうひとりが叫ぶと、
「……お姉ちゃんなら許すわよ!」
銀子も笑って返す。
「でもアンタたち、よくそんな大金持って遊び回ってるわね?」
銀子が心配そうに尋ねると、二人はまた顔を見合わせ、
「親が金持ってるからね。あ〜しら、ヤバいことはしてないよ?」
と真剣な顔で言った。
銀子はそっと二人の頭を撫で、
「信じるわ。でも、もし危ない目に遭いそうになったら、ここに逃げ込んで来なさい。
アタシが守ってあげるから」
と微笑んだ。
するとギャルたちは急に照れた顔で、
「銀子ちゃん、絶対イケメンだったよね? もし男だったらマジ惚れてる〜」
「それな〜!」
と笑い出す。
「やめてよ! ギャルにモテても嬉しくないわよ!
それよりアンタたち、アタシに男を紹介しなさいよ〜!」
銀子はいつもの営業トークを軽口で飛ばしていた。
──だが、この何気ないひと言が、
後にとんでもない事態を呼ぶことになるとは、
この時の銀子はまだ知らなかった。




