5.4人目
俺たち3人は、周りからどう見えていたのだろう。
男、見た目だけは清純派女優の美少女、超イケイケの金髪ギャル。
おそらく、おそらくだが、変な組み合わせ、かつ嘘みたいに可愛い子が2人いたのが、逆に怪しかったのだろう。
新入生にはオリエンテーションで『怪しいサークルにご注意を』と注意喚起があったばかりだ。
びっくりするほど、人が捕まらなかった。
すると、マリンが音を上げた。
「だめだ~全然捕まらないよ~おかしいね~」
「おかしいわね…私が声をかけているというのに…」
何がおかしいんだ。
色々と分析したが、一番の原因はお前の『私達と楽しいことしない?』だぞ。
美人局すぎるだろ。
「カヲル!」
うわ…なんだ…?
「アナタに一度任せてみるわ!誰か声かけてみなさい!」
ほらきた…めんどうだ…
「イェッサー…」
俺は周囲を見渡す。
このまま男一人は寂しい。
そして何より、『普通』の友達が欲しい…
あの人だ!
俺は数メートル先を歩いている如何にも爽やかな新入生っぽいイケメンに声をかけた。
「あの~こんにちは~(引き攣った笑顔) 何でもサークルとかって興味ないですか~?」
我ながら、何でもサークルって何だ。
もう少し言い方あっただろ。
「はい?」
声を聴いて気づいた。
ミスった。
俺が声をかけたのは、イケメンではなかった。
ショートカットの似合う、スポーティー美少女だった。
「何でもサークル…オールラウンドサークルですか…!皆さん3人とも部員ですか?」
受け答えが普通だ…!
「はい!そうです!実は僕たちも新入生で!新しくサークルを作ろうとしているんです」
「新しく…ですか」
すると、スポーティー美少女は何かを考え込み始めてしまった。
バカが口を開きそうになったので、俺は慌ててカットインした。
「あの…どうかしましたか?」
「いや、すみません…実は私、本当は体育会のテニス部に入る予定だったんですけど、ケガでそれが叶わなくなってしまいまして…」
思ったよりも重そうな話だ。
さすがのバカとギャルも真面目に聞いている。
「どうしようかと途方に暮れていたんです。テニス以外にやりたいことも思い浮かばなくて…でも…新しいサークル…新しい挑戦!いいですね!」
俺を含め、3人の表情が晴れる。
「では…!」
「はい!是非私も仲間に入れてください!」
リサとマリンが俺の後ろで抱き合う。
「「やった~!」」
俺は言った。
「宜しくお願いします!え~っと…」
「あ、すみません。名前を言っていませんでしたね?私、波多野アキって言います!」
「よろしくお願いします!俺は光野カヲルと言います!」
「ウチはマリン!アキちゃん宜しくね~」
「私がサークル代表の虎谷リサよ!よろしく!」
コイツ、代表だったんだ。
まあ、そうか。




