表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

ギャルもどきはいい子だった!

作者: 栗野庫舞

ハーパン好きな方へ。ごめんなさい。最初は紺色ハーパンと長めスカートにしていたのを、別設定へと変更しました。

 男子高校生のあなたは、校舎内の廊下を歩いている。


 目的地のある最上階に行こうと、のぼり階段のほうへと曲がる。


 この時、上のほうにいる同級生が、あなたの視界に入った。


 ベージュのカーディガンの背中で垂れるのは、薄い茶色のロングヘア。


 その女子は、紺と白のチェック柄のミニスカートの下に、深緑色の短パンを穿()いている。


 彼女のスカートは非常に短く、あなたのいる位置からだと短パンのお尻側が見えてしまっていた。


 ちょうど彼女が階段をのぼり終えた頃に、あなたは階段をのぼり始める。


 あなたは図書室に着くまでの間、ずっと疑問を抱いていた。なぜなら、あの女子の見た目はいわゆるギャルであり、下着を隠す短パンを着用するようには思えなかったからだ。


 最上階の奥にある図書室にて、彼女と合流する。


 あなたも彼女も、今日の放課後は図書委員の当番だった。お互い別のクラスなので、この時ぐらいしか二人の接点がない。


 当番の間は割と暇で、特に何も問題は起こらなかった。


 終了後、なんとなく一緒に横並びで歩いて、図書室を後にする。


 あなたは彼女の姿を見ていた。


「……なんで私のほうをじっと見てんの?」


 そんなふうに思われてしまったらしい。


 言ったらきっと変に思われる。そうあなたが話したら、


「別に気にしないから、話してくれる?」


 と返されたので、あなたは彼女に伝えた。


 図書室に向かう際、たまたまスカートの中を見てしまって、ギャルでも短パンをはくのかと疑問に思ったことを。


「あー、そういうことぉ」


 あなたが正直に話しても、彼女は本当に気にする様子はなかった。それどころか、


「まず間違ってるんだけど、私、ギャルじゃないよ?」


 意外な事実が判明する。


 でもギャルっぽく見えるじゃないかと、咄嗟(とっさ)にあなたは反論した。


「私の見た目がこんななのは、ただ、だらしないだけ。私なんかと本物のギャルが同じにされたら、本物に失礼だよー。髪もね、派手にしたいとかじゃなくて、好きなコーヒーの色だしー」


 薄茶色の長い髪を少しつまんであなたに見せながら、彼女は話す。


 そうなんだと口にしつつも、あなたはやはり、この女子の見た目がギャルにしか思えなかった。それっぽいアクセサリーを色々と装着しているし、一番上のボタンを開けたブラウスの(えり)の赤リボンはかなり垂れ下がっているし……。


 途中、誰もいないところで彼女は止まった。


 あなたも気づいてすぐに止まった。


 彼女はあなたの前に来た。


 背負っていたカバンを廊下に置いた。


「こういうの、もしかして好き?」


 唐突に、彼女はあなたの正面でミニスカートをたくし上げる。


 深緑色の短パンが見える面積が絶妙で、あなたは彼女の繊細な手つきに美しさも感じた。


 見とれていて、つい返答を忘れそうになった。あなたは彼女に好きだと答えた。


「私のことも~?」


 それは答えられなかった。


「今のは冗談ね。もしギャルならさ、下着が見えてもきっと気にしないから、下に短パンは穿()かないでしょ」


 スカートをめくったまま彼女は自論を語る。


「そう思うよね?」


 疑問形だったものの、あなたに同調を強要する感じでもあった。まだたくし上げを続けている。


 短パン着用だからギャルじゃないとは言い切れない。あなたがそのように答えると、


「ギャルじゃねーから」


 彼女はむしろ不良っぽい口調になっていた。


 ただ、ギャルかどうかは関係なく、かわいい。ということも、あなたは話した。


「ありがとー」


 機嫌の良い声だった彼女は、ようやくミニスカートを元に戻す。


 その後、彼女はカバンを持ち上げて、歩くのを再開した。あなたも同様にする。


 やがて彼女の髪の色のコーヒーの話になり、あなたがおいしいのか気になると言ったら、


「学校から近いから、一緒に行こっか」


 という展開になった。


 到着した喫茶店は、代金が先払いだった。自分が誘ったようなものなので二人分を支払うと、あなたは彼女に申し出た。


「いいよー、気にしないで。そこまでしてもらったら悪いよ~」


 そう彼女が言ってくれたので、お互い自分の分だけを払うことになった。思っていたより料金が高かったので、あなたとしては助かった。


 彼女とは一緒に美味(おい)しいコーヒー……トッピングありのアイスがのった人気メニューを飲みながら、店内でくだらない話をした。


「マジでくだらねー」


 実際、彼女もそんなふうに喋っていた。


 思い返してみると、彼女は図書委員での仕事っぷりはいつもまじめだったし、今の雰囲気も明るい女子といった印象なので、ギャルという先入観はもう消えつつある。ギャルにも良さはあるのだろうけど、今は彼女の良さのほうが気になった。


「どうだった? 私のおすすめ」


 彼女の問いに答えるのは簡単だった。美味(おい)しかったとあなたは即答する。


「でしょ~っ!」


 想像以上に好ましい笑顔が返って来た。


 本日、あなたは単純かつ重大な事実に気づく。――彼女はかわいかった。


 別に彼女の短パンを見たり、見せてもらったりしたことだけで、そう思っているわけではない。あの記憶は薄れそうにないけれど。


 彼女が魅力的だと分かったことは、本日最大の収穫だろう。


 しかも今日一日で、彼女からの好感度はだいぶアップしたっぽい。


 そうでなければ、


「また来ようね」


 帰りにこんな優しい朗報を耳にはしない。


                    (終わり)

ギャルっぽい女子、造語『ギャルぽじょ』を書きたかった、というのが本作の執筆理由です。あと、ミニスカート短パンも。


最後までお読み下さり、ありがとうございます。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ