感電
初投稿です。どうかお手柔らかに…
なんと言うこともない普通の世界。
そして普通の田舎。
とは言ってもそこまで不便なわけじゃない。
魔法もあるし、最近流行りの魔導具だってある。
そんな村で、俺は生まれた。
今は一人暮らしだけど、それなりにうまくやってる。
勉強だってちゃんとやっている。難しいのはよくわからないけど、読み書き計算くらいなら普通にできる。
村長がその程度なら教えてくれるからね。
家族は…正式にはいない。でも別に寂しいってことはない。本当に寂しくはない。嘘だ。ほんとはちょっと寂しい。こんなことを余計に考えてしまうのは、きっと今日が誕生日だからだろう。
「アル、誕生日おめでとう!」
もちろん、村には祝ってくれる人が沢山いる。
今日も朝からずっと祝われっぱなしだ。
しかし、家に帰ったら1人だ。誰もいない。
きっと、みんなそれを知っていて余計に気を遣ってくれているのだろう。家族からもらえないプレゼントも、いろいろな人からもらった。今も近所に住んでいる少女であるメイから、木で作られたネックレスをもらったところだ。
「ありがとう!これはメイが作ったの?」
俺は、メイを見下ろしながら質問した。
「うん。そうだよ!」
メイは元気一杯に答えてくれた。
6歳でこれを作れるのは普通にすごいと思う。自分じゃとてもこんなことはできないな。きっと、メイの父親から木工細工師の血を濃く受け継いでいるのだろう。
「すごいね!大事にするよ。」
メイに手を振りながら、俺は家へ足を早める。
みんなが祝ってくれたから、少し帰るのが遅くなってしまった。まあ、ありがたいことなんだけどね。家へ着く頃にはすっかり日が沈んでいた。
まだ少し明るかったが、家の中は真っ暗になっていた。なので俺は火魔法で火をつけながら、
「ただいま」
と言ってみた。もちろん返事なんて返ってくるはずもないと思ったが…
「「「おかえり!!!」」」
と声が返ってきた。
そこには村長一家がいた。
今日見かけないと思ったら、こんなことを仕込んでいたのか。そんなことを思っていると、嬉しさと、1人だと思っていた反動からだろう。涙が出てきた。
「おいおい。大丈夫か?」と村長
「父さんが驚かせすぎたのよ。」
と村長の娘、メリアは言う。
「きっと嬉しかったのよ。」
村長の奥さん、リアさんも言った。
「みんな。ありがとう。」
まだ少し涙ぐんでいたが、声はしっかりと出せた。
いつからこんなことを仕組んでいたのだろう。
全然気づかなかった。よくみると部屋も少し飾り付けしてある。家具の位置が変わっているのは気のせいだろうか。
「さあさあ。みんなでご飯を食べよう。」
村長は、様々な料理を並べながら言った。
どれも美味しそうな料理だった。普段の食卓には出てこないような上等な肉も用意してくれていた。
みんなでワイワイ騒ぎながら、楽しい夕食を過ごした。途中でみんなからプレゼントももらった。
村長からは杖、メリアからは木製のコップ、リアさんからは本をもらった。
杖は、魔法を使いやすくする用だ。
俺は火の魔法しか使えないので、それにあったものにしてくれているそうだ。基本的に魔法というのは、魔法の種を作り出して、それを高速で移動させたり、分裂させたりすることで応用している。高等の魔法使いにもなると、風魔法で木が切れるとか。
どれも自分にとって魅力的なプレゼントだ。
杖もコップも本もちょうど全て新しいのが欲しいと思っていたところだった。みんな自分のことをよく見てくれていると言うのが一眼でわかるプレゼントだった。
「本当にありがとう!パーティーも開いてもらって、こんなプレゼントまでくれて!」
そうお礼を言うと、みんな笑顔で
「「どういたしまして!」」
と言ってくれた。そのあとみんなで片付けをして、そろそろ村長達の帰る時間になりそうだ。みんなには本当に感謝しかない。1人になった俺を心配してくれて、いろいろお世話になっている。
「じゃあそろそろ帰ろうか。」
村長がそう言うと、みんな帰る支度を始めだした。
自分も外まで出て見送ろうとしたが、夜は危険だから中まででいいよ。と遠慮された。
「じゃあまた明日!」
と言うと、みんなは各々返事をしながら帰っていった。最後のメリアは、小さい声で
「明日はウチに来なさいよ。」
と言って扉を閉めた。
その直後、俺の頭を雷が直撃した。
更新遅めかもです。