星屑拾いのノーム
暇つぶしに見ていただけたら幸いです。
流星が夜空を駆けて落ちていく…
駆けては落ちて駆けては落ちて、輝きを放っていた流星は落ちて仕舞えばただの石…
そんな石を拾い集めている変わったノームがいました。
森の者達はそんな彼を見て星屑拾いのノームと呼んでいました。
そんなある日…
今日も森に落ちた星屑を拾っていると一匹のリスがノームに近づいていきました。リスは徐にノームに話しかけます。
「ねえねえ、なんでいつも石を拾っているの?」
不思議そうに訪ねたリスに対してノームはこう答えました。
「これは元々お空にあったモノだ。だからそこら辺の石とは全然違うんだよ」
「ねえねえ、どう違うの?」
「教えてやるからついておいで」
そう言ってノームはリスを肩に乗せ歩き始めました。そして十分もしないうちにとある場所に到着したのです。
「ここはなぁに?」
「この洞窟の先に今まで拾い集めた石を置いてあるんだよ」
そう言ってからノームは魔法の言葉を唱えました。するとノームの周りを淡い光のオーブが包み、暗がりの中を照らし出してくれました。
それを見て肩に乗っていたリスは驚きの表情を浮かべています。ノームは洞窟の奥へと進むとある場所で立ち止まり、再び魔法の言葉を唱えました。
すると、壁の一部が光りを放ちゆっくりと開いていきます。
そして開いた先に待っていたのは…
「うわー!!星空だぁ!」
リスの眼に映ったのは外で見る星空と同じ、いや外よりなん倍にも輝いて見えるのです。リスは興奮の余り肩から落ちそうになりましたがノームがそっと手を添えてくれました。
「すごいよすごいよ!!どうなってるの!?」
リスは無我夢中でノームに訪ねました。
「ここは元々ただの空洞だったのをワタシが集めた星屑を砕いて中にある輝きを壁に埋め込んだんだよ。
星屑は一見地上ではただの石に見えるが砕いてみれば中に星の輝きが僅かだけど残っているんだ。それをここの壁に埋め込んで眺めるのがワタシは好きなんだよ」
「ほんとうにお空の石だったんだね」
「いいかい、この事は二人だけの秘密だよ」
「うんわかった」
そう言ってリスは手の代わりに尻尾を前に出してノームの小指に巻きつけると約束の魔法をかけました。
そして今日もノームは石を拾い集めています。
最後まで見ていただきありがとうございました。