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オレの嫁は、異世界育ち。  作者: 十草木 田
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魔法の研究

 グレゴールの訓練は終了となり、サナエ様が部屋に戻るため、グレゴールは護衛に付いて訓練場から出ていった。

 訓練場には俺とランベルトが残っている。俺がもう少し練習をしたいと言ったらランベルトが付き合ってくれたのだ。

 俺は、圧縮した魔力弾を金属鎧に向けて放つ。集中してやれば失敗することは無い。だがこれを戦闘中に扱えるようにならなければならない。


 何度か撃っているうちに、ふと昔見たロボットアニメの事を思い出した。主人公が乗るロボットは、銃からビームを放って敵を倒していた。キラッと光る魔力弾を撃っているので、なんとなくそれに似ているなと思ったのだ。そういえばあのロボットは確か、ビームの剣でも戦っていた。撃ち出している魔力弾を剣の形に出来ないかと考える。そうすれば、武器が無くても近接戦闘が行えるはずだ。


 俺は魔力弾を撃っていた指を見ながら、指先に魔力を集めて棒状に出来ないか試して見る。

しかし、放出した魔力は指の先から少し伸びるが、ポロポロと崩れ落ちていく。指の先だとどうしても打ち出すイメージがあって、上手く形を作れない。グレゴールが訓練で、魔力はイメージするのが重要だ、と言っていたのを思い出す。

 何か良いイメージ方法はないか、と人差し指と中指を閉じたり開いたりする。それを見ていて指の間に挟む形で作るのはどうかと思いつく、指の間に棒を作るイメージで魔力を込めると、意外と簡単に20センチほどの白く光る魔力棒が作れた。

 なんだか工場で工作しているようで楽しくなってきた。


 今度はどこまで伸ばせるか試してみる。徐々に魔力出力を上げ限界まで魔力を込めると、白く光る魔力棒は1メートルちょっとの長さになった、なんだか蛍光灯みたいだ。結構ビームの剣に近いイメージの物ができたので、どんなものか試してみたくなり、そのままの状態を維持して、的として置いてある金属鎧のところへ向かう。

 指の間から伸びた白く光る魔力棒を軽く振り下ろしてみると、魔力弾で穴だらけの金属鎧がカーンと音を立てた。打撃武器として使えなくはないが使っている魔力量に対して効果が見合っていない気がする。これなら普通に剣を持って戦う方がいいだろう。

 俺は、魔力棒を消して、その場に座り込む。


「んー、もうちょっと威力が欲しいというか、アニメで見たビームの剣みたいにスパスパ切れて欲しいというか…。」


 アニメで見た敵ロボットをスパスパ切る、ビームの剣を頭に浮かべ、目の前にある鎧を切る方法を考える。金属を切るにはより硬い刃、もしくは鉄を焼き切る高温が必要だ。試しに魔力棒を火の属性で作ってみる。

 赤く光る魔力棒で金属鎧を叩いてみるが、カンカンと音が鳴るだけで先程とほぼかわらない。もっと高温、金属切断用のプラズマ切断機みたいな……それだ!おれは工場で使っていたプラズマ切断機を思い出し、光の魔力で魔力棒を作る。高電圧でプラズマを発生させて切れないかと考えたのだ。

 だが、金属鎧を叩いてもカンカン音がするだけで何も起こらなかった。それはそうだ、電極もないので、これではただ魔力棒を帯電させているだけだ。


「プラズマはありだと思うんだけど、何か方法がないかな?」


 魔力属性の中で使えそうなものを考える。…水属性の魔力はどうだろう?

 確か高圧の水を電気で蒸発、分解することで高温、高圧のプラズマジェットを噴射できたはずだ。


 俺は二本の指の間に水の魔力を込め、長さ50センチほどの青く光る魔力棒を作り、さらに水の魔力を込めて圧縮する。そして、先端から半分程の長さ、魔力棒の中心を意識して光の魔力を流し込んでいく、魔力出力も限界近くだ……やはり無理かと思った瞬間、シュボボボッと音を立て、魔力棒の中程から先端に掛けて青い光を放ちプラズマが噴出した。……で、…できた!プラズマの剣だ!


 俺はゴクリと唾をのみ、おもむろに魔力弾で穴だらけになっている金属鎧をプラズマの剣で切りつけてみる。金属鎧はジュバババッと火花を散らして、いとも簡単に二つに分かれた。

 成功だ。…いや、成功しすぎだ。これは危なすぎないか?あまりの切れ味に変な汗が出る。


「イズミ様は本当に面白いことをなさる。」


 俺は声に驚いて、プラズマの剣を消す。プラズマの剣作りに集中しすぎて完全にランベルトの存在を忘れていた。どうやら、俺の後ろでずっと俺のやっていたことを観ていたらしい。


「金属鎧を真っ二つに切ってしまう魔法とは驚きです。水の魔力と光の魔力を同時に込めておられましたが、リョウゼン様の技ですか?」

「いや…その、なんとなく思いついて作ってみたんですけど…。」

「い、今…作った…ですか?」


 ランベルトがめずらしくニコニコ顔を崩し、目を丸くして驚く。


「ははっ…やっぱり、これはさすがに危ないですよね?魔力出力も限界まで使ってしまいますし…。」


 ランベルトがニコニコ顔に戻り、ニヤリと笑う。


「いえ、これはイズミ様の大きな武器になりますよ。魔力出力を限界まで使っておられるのは問題ですが、それさえ解決すれば、必ず実践に役立ちます。魔力出力をあげる訓練を増やしましょう。」


 いや、危ないからできれば使わない方がいいと思ってるんですけど…。

 翌日の訓練から、じいちゃんの技である圧縮魔力弾の実戦訓練と、魔力出力を上げる訓練が増えた。しかし、多少の効果はあったものの、実戦でプラズマの剣を使えるレベルまで魔力出力を上げることはできなかった。

伊澄くんが、自力で必殺技を作り出すお話でした。

科学的なことは、あまり得意ではないので半分以上は私の妄想です。

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