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絶えない手紙

　最初の手紙が届いてから一ヶ月経った。郵便受けには決まって6枚の手紙が入っている。おそらく毎日届いているのだろう。枚数が増えていくと、それは徐々に電話をかけろという内容のものに変わっていった。そして最後には決まって、名前、電話番号が書かれていた。

　しばらくすれば飽きるだろうと思っていたが、今回は粘着質なやつらしい。実質的な害は無いが、終わりの見えない手紙は迷惑以外の何ものでもなかった。

　望み通り電話をかけて、この際一言、ガツンと言ってやろう。そう思い、俺は手紙に書いてある番号に電話をかけることにした。

"プルルル…ガチャ"

　相手がワンコールで出たことに少し怖気付いたが、意を決して声を出す。

「もしもし…？」

すると電話口から、はっと息を飲む音がして、電話が切れた。

　一体何だったんだろう。かけろと言われてかけたのに、まさかむこうから切られるとは思ってもいなかった。

　一筋縄ではいかない相手かもしれない……。苛々した俺は、しまってあった手紙を全てゴミ箱に捨て、伊吹を呼び出した。