結:まさかまさかの超展開。
「えーと…」
歩は、困惑した表情を顕にしながら部屋を見渡す。
現在この6畳の中に古島歩、歩の彼女、牧志拓哉、拓哉の片想い相手の4人がいるという状況となる。
歩は、とりあえずこの空気を脱却せねば。と思った。
「旭橋さん…だっけ?初めましてだよね?俺は古島歩って言います」
そういうと春香の顔がぱあっと明るくなった。
「あー!!初めまして、旭橋春香です。いつも翠ちゃんから優しい彼氏だってお話聞いてうらやましいなと思ってました」
「あ、ありがとう…んで、こっちが俺の友達の、」
「わっ、ワタクシはっ!歩クンと同じ大学の!牧志拓哉って言います!!!!旭橋さん!!ずっと前から好きでした!!!」
「え?」
と一番に反応したのはすぐ横にいた歩だった。
続けて、翠と春香も「えっ」と声を漏らし、
最後には言ってしまった事の重大さに気付いてであろう拓哉が
「ふぇ?」
と初めて聞くような声を出した。
だんだんと拓哉は恥ずかしさで顔が赤くなっていく。
それと同時に春香もゆっくりと頬を赤く染める。
「えっ、拓哉?なんでお前今告白した?」
「えっ、歩ぅ、なんで俺今告白したんだろ…」
「いや知らねえよ!このただでさえやべえ空気をさらに悪くすんなよ!」
「歩ぅ、どうしよぉ…」
拓哉はもう涙目だった。
一方春香の方も、未だ状況を理解できず混乱しているのか、こちらも少し涙目に見える。
「おい、翠!これどうすんの!?」
「知らないわよ!大体あんたの友達が初対面で突然告白するのが悪いんでしょ!?」
「まさにおっしゃる通りですけども!!」
おいおいおいおいおいおいおいおいこんな状況どうしようもないだろ、さっきの俺の拓哉の会話で好きの気持ちが爆発しちゃったタイミングで本人登場!?さらにてんぱってその場で告白!?
いやいやいやいやいやいいやいやいやいや無理無理無理。
俺にはどうすることもできねえ。
あーあ、こんなことになるなら、最初に彼女の電話を取った時にちゃんと「友達来てるから」って言えばよかったよ!!!
こんな状況どうすんだよ
あー、もう頭働かねえ。煙草吸いたい。でもこんな時に抜けたら俺が殺されそうだし、いっそ
「あの!」
声の主は春香だった。
歩はきょとんとした顔で春香を見つめる。
それは他の2人も同じだった。
「あの…牧志さん、お友達から始めませんか?」
「えっ?」
拓哉は反射的に聞き返していた。
「お友達から、始めませんか…?」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
最初に叫んだのはまたしても歩だった。
続いて翠も
「ええええええええええええええええええええええええ」
と声をあげる。
拓哉は、もう涙と嗚咽で声が出ていなかった。
春香はその状況を「えぇ」と小さく呟き見ていた。
もう少しだけ続きます。