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711:実りある会議

夕刻になり、救世ロシア神国が万が一西進を開始した際の防衛対策を執り行うことになった。

即時動員が可能になるように法律を制定し、述べ200万人以上もの人間を動員して欧州協定機構加盟国に対する国境警備・及び国家防衛の為の戦略を練りあげることが決定された。


「旧ロシア帝国とバルカン半島諸国はともかく……問題は新ロシア帝国とスカンジナビア半島方面ですね。対策は可能ですか?」

「新ロシア帝国が時間を稼ぐ形で防衛線を構築している間に、スウェーデンとしてはスカンジナビア半島における戦闘で、かの国の攻撃を見定めて総反撃に転じるように命じてあります。とはいえ、彼らは人間を大波にして戦わせる戦法を好んで使いますので、我々としても重マイソールロケット砲による攻撃手段を確立させたいですね……広範囲に加害範囲がある兵器のほうが使いやすいですから……」


救世ロシア神国の脅威といえば、その攻撃手段と人的資源を駆使した突撃だ。


彼らはプガチョフをピョートル降臨神と考えている上に、阿片など薬物を使用してトリップを決めた状態で突撃を敢行してくる戦術を編み出している。

すなわち、戦闘において彼らは死を恐れずに突撃をかましてくるので、極めて厄介かつ恐ろしい敵でもあるのだ。


日本軍のバンザイ突撃も恐ろしいが、彼らの恐ろしいのは薬物を服用した状態で突撃を敢行してくるため、痛みを感じないらしい。

つまり、臓器などが飛び出してしまっている状態でも、身体が動き続ける限り戦って死んでいくという。

半ばゾンビ兵のような恐ろしい非人道的な戦闘を繰り出しているのだ。


現に、この戦法によってオスマン帝国は甚大な被害を受けており、かの国が保有していた東欧諸国や傀儡国家のほとんどが分離独立をしたり、救世ロシア神国に吸収される結果となっている。


「救世ロシア神国の占領地となった場所はどうなっているかね……何か情報が入ってきているはずだが……」

「占領地では、これまでの作物以外にもガラスを使って冬場でも温室状態にする部屋を使い、薬物の原料となる作物を育てている模様です。最も、そうしたガラスはイスタンブールから略奪してきたものを使っているようでして……今は中央アジア経由で阿片を輸入しているようですが、いずれ自国内で大量生産ができるようになれば、彼らは常に覚醒する兵士を量産する恐るべき軍隊となります」

「とはいえ、既に阿片等の薬物をつかって成長を続けている軍隊だからね……恐ろしいほどに強いと聞く。撃たれても臓器が投げ出されても動く限り走り続ける死の軍隊……これほどまでに恐ろしい兵士はそういないよ……」


今のイスタンブールの状況は、イスラム教のモスクが全て救世ロシア神国の国儀となっているプガチョフ降臨神を神とする独特の宗教を立ち上げており、末世的な白蓮教とも類似した宗教となって、不平等を武力の力で『平等』にすることを唱えているらしい。


貴族や王族といった高貴な身分であっても、かの救世ロシア神国の中では『平等』に彼らによって強制的な結婚と交配儀式によって肉体に生命が宿ってしまうようだ。

これにより、良くも悪くも出産率は激増しているそうだ……。

阿片を服用してトリップをキメた状態で身分を問わない交配をすればそうなる。


そして、そんな救世ロシア神国の脅威は日に日に高まっており、オスマン帝国を下す……もしくは和平によって領土を獲得した際には、更なる拡張のためにこちら側に侵攻を開始してくる可能性も高くなるのだ。


「オスマン帝国を下した後に、救世ロシア神国が我が国並びに欧州協定機構加盟国に攻撃を仕掛けてくる可能性はどのくらいあるかね?」

「5年以内に何らかの形で戦闘になる可能性が高いです。特に旧ロシア帝国との休戦協定期間が切れるのが来年の6月です。もしかしたら、来年頃に戦争になる可能性があるかと……」

「成程……来年の6月……では、プロイセン王国を下した後でも動員令は完全に解除することは出来ぬというわけだな……」

「ええ、最低でも部分動員の段階に引き下げるべきかと……予備役や負傷兵に関しては戻すべきですが、これからの事を考えると救世ロシア神国の行動次第で、我々の行動は大きく変わります」

「ふむ……出来れば旧ロシア帝国との間でやり合って欲しいものだが、オスマン帝国を下せばそれだけでも脅威だ。ヨーロッパの脅威を排除すれば……今度は東からやってくる狂信的な者達への対応をせねばならぬとは……」


戦争というのは嫌なものではあるが、新しい脅威に関しては対応せねばならない。

特に、救世ロシア神国の行動は突拍子であり、対策を練らなければ彼らの人海戦術によって我が国は甚大な被害を受けてしまうのは確実だ。


現に、オスマン帝国の占領地域に関しての被害は把握しきれていない上に、多くの村々で集団交配が義務化されたことで、誰の子供なのか分からず、混血が急速に進んでいるようだ。

これは、プガチョフが仏教の中でも密教系とされている宗派からの教えを受けて『肉体を交じらい、精神を一つとしてピョートル降臨神を称える信者を融合する儀式』としているためであり、純潔は『融合を拒む悪たる証拠』として避妊はおろか、身分関係なく交わりを加速させているようだ。


そんな精神的にも肉体的にも激ヤバな国家が隣にあるということは、それだけに多くの軍事リソースを注がなければならないうえに、相手国は人的資源をほぼほぼ無制限に使用することができる。

占領地の男性を教義の一環である集団交配を通じて懐柔して、兵士として組み込んでいることも確認されているため、大規模突撃を主軸とする軍勢である。


それ故に、救世ロシア神国対策として面制圧兵器の投入や、大多数の敵を撃ち払う兵器や武器が必要になってくる。

連射式空気銃やプロイセン王国から鹵獲した兵器もふんだんに前線に配備し、対抗できるように手筈を整える。


そして、国境方面に関する警備体制については、やはり旧ロシア帝国とも対峙することも踏まえて対策を念入りにしなければならない。


「国境を接しているのは新ロシア帝国方面ですが、旧ロシア帝国方面から抜けてきた場合の対処法も考えなければなりません。かの国は閉鎖的ですので国境を脱して避難してきた者達が大勢来たのであれば、それはすでにミンスクの陥落を意味しますからね……」

「では、旧ロシア帝国を包囲するような形で救世ロシア神国軍を迎え撃ち、新ロシア帝国に攻め入った場合はスウェーデン軍が防衛を担う……必要に応じて各国が支援を行うという事で宜しいでしょうか?」

「一先ずはそれで問題ございません。我々としてもベルリンでの決戦後を見据えておかなければなりませんからね……基本的な行動指針を欧州協定機構加盟国で共有しておきましょう」


フランスには万が一戦争になった際の行動指針が掲げられているけど、この行動指針が解除されるのは当面先になりそうだ……。

平和はそう簡単には訪れそうにない。

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― 新着の感想 ―
[一言] 現代の露軍でも補給・輸送がアレ+西側制裁であんなんなっているのにそれよりも劣悪な条件の薬中野蛮国がここまでバフなのは… この世界先進国の仏が割とインフラ整った欧州で補給兵站に苦労しているのに…
[一言] 短期的には強いんだろうけど麻薬に寄り過ぎて文化や人権なんて崩壊してるから捕虜を取る必要もないしなりふり構わず焼却すればいいだけと気が付けるのだろうか
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