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263:香辛料(前編)

アントワネットがインド料理にチャレンジしますので初投稿です

前編・後編の二部構成です

★ ★ ★


時刻は午後8時30分を過ぎました。

これからインド大陸でフランスとの友好関係を結んでいるマイソール王国からやってきた使節団の方々と晩餐会を開くところです。

友好関係の証として、ヴェルサイユ宮殿でいつも美味しい料理を作っている料理総長が、時間をかけてインド料理を作っているそうです。

今日は野外での晩餐会ですので人も大勢集まっておりますわ。

お腹が空いていますが、それでもこれだけの人が集まって賑やかに料理を味わえるならきっと美味しさも倍増するでしょう。

私はランバル公妃とルイーズ・マリー夫人の三人で軽く談話をしておりましたの。


「これはこれは王妃様、それにランバル公妃様、ルイーズ・マリー夫人様も!いつもお世話になっております。」


すると、声をかけてきた人がおりました。

王立試験農園で所長を勤めていらっしゃいますパルマンティエ所長です。

趣味の園芸野菜を作る際にも指導をしてくださった方です。

最近はオーギュスト様主導による農作物育成推進政策によって様々な農作物が次々と農園に植えられている関係もあってか、野菜の種類も豊富になりました。

今日はいつも以上ににこやかな笑顔でおりましたので私は尋ねました。


「あら、パルマンティエ所長もいらしていたのですね。随分とご機嫌ですね」

「ええ、インド原産のバジルや胡椒を使節団の方々から譲ってもらったのですよ。それも、バジルに関してはフランスでも月に一度入手できるかどうかの高級品ですから……マイソール王国は香辛料の産地としても有名ですので、保存食にこうしたスパイスを応用できるのではないかと思っているのです」

「それは良かったですねぇ~!スパイスといえばこの後の晩餐会でも香辛料を使った料理が振る舞われるそうですよ、パルマンティエ所長もきっと気に入りますよ」

「ええ!それを今からもう待ち遠しいほどに楽しみにしているのです!」


嬉しそうに語るパルマンティエ所長、香辛料はフランスでは気候の関係上育てることが出来ないので、輸入に頼っているそうです。

干し肉などの保存食には香辛料をふんだんに振りかけて腐らせないようにしているそうで、庶民の方々が口にするビーフジャーキーといった燻製にして食べていたり、シチューや玉ねぎスープと一緒にいれて食べるのが通なのだそうです。


「言われてみれば……確かに香辛料をふんだんに使った料理はあまり食べた事が無いですね……インド料理も人生で二度目になりますね……」

「あら、ルイーズ・マリー夫人はインド料理に関しては殆ど食べた事がないのですか?」

「はい、本格的なインド料理に関してはあまり食べる機会が無かったので食べた事はなかったですね……唯一食べる機会があったのは1768年のお屋敷で開かれた晩餐会の際に少しだけ食べた程度です……少なくとも香りが強いという事だけは覚えております」

「オーギュスト様がインドから取り寄せたカレーを使って料理をしていた事はありますが……それ以上に匂いがどうなるかが気になりますね」


以前オーギュスト様が何日も徹夜をして精神的に滅入ってしまった際には、カレーを作って失敗したと語っていた事がありました。

何でもカレーの元になる香辛料の分量があまりにも少なかったので、スープ状になってもあまり良い風味が出せなかったそうです。

インドではスープカレーにして食すらしいのですが、オーギュスト様曰くとろみを加えてからお米と一緒に食べるのが一番美味しい味になるよと仰っておりました。

いつかは美味しいカレーを作ってほしい!と意気込んでおりましたが、ようやくそのチャンスになる機会が巡ってきたようです。


「それにしても、どんな料理が出てくるのか楽しみですね!」

「野菜とか鶏肉を使ったあっさり系の料理だと聞いておりますわよ」

「あら、私はてっきりもっとこってりとした料理を想像していたのですが……違うのですか?」

「マイソール王国はインド南部に位置する国なので、料理の味付けも野菜中心の料理が多くてあっさりとした味わいだと伺っておりますの、因みにその情報はオーギュスト様が教えてくださいましたの」

「さすが陛下ですわね!料理にもお詳しい!」

「最近は忙しくなっているのであまり機会はないですが、また時間が空いた時はテレーズと一緒に料理を作りたいと仰っておりましたの。まずは簡単なサンドイッチとかから作ってみたいですわね……」


オーギュスト様が私のために作って下さったサンドイッチは忘れられない味です。

キャベツとゆでたまごのサンドイッチに油で揚げたベーコンを細かく刻んで、目玉焼きと溶かしたバターが入っていたサンドイッチ……。

30分ほど時間をかけて作られたオーギュスト様特製のサンドイッチは今でもたまに料理人の方たちが作って下さっております。

イベントの披露会や農園作業などの際には、朝食に食べたいとお願いしてもらっておりますの。

でもやっぱり……オーギュスト様が作ってくれたサンドイッチを食べる時が一番幸せですね……。


「料理といっても東洋と西洋では味付けも風味も異なっておりますね……色々と話を聞いているだけでも勉強になります」

「そうですね……料理といってもそれだけ種類も味も豊富だという事ですね」

「今日の出されるインド料理もそうした多様な種類の中から生み出されたものであると考えると興味深いものです」


インドは大きな大陸だけに料理も様々な種類があるそうですが、その中でもマイソール王国はあっさりとした味付けで有名なのだそうです。

逆にムガル帝国などに関しては香辛料をふんだんに使うようで、味付けもスパイスが効いてかなり辛い事で有名なのだそうです。


「オーギュスト様がいらしたら料理を運んで下さるそうです。料理総長曰く本格的な南インドの料理を作ったのは人生で二度目だそうです」

「二度目?という事は一度目は何処でお作りになったのですか?」

「シチリア王国で料理人修業をなさっていた時にマイソール王国の貿易商インド人がレストランにやってきて、料理を作って欲しいとお願いしたのだそうです。幸い貿易商の付き添いの料理人の指示で料理は無事に完成したそうですが、それ以来だと仰っておりましたわ」

「まぁ、そんな事があったのですね……どんな料理を作ったのか気になるわね」

「米を炊いた後に、油を敷いてサーッと炒めるのだそうですよ。清国だと炒飯という名前で広く知れ渡っているそうです」


そんな具合に料理のお話を語り合っているうちに続々と人々がやって来ました。

普段あまり接することがない異国情緒を知る機会ということもあり、改革派の中でも参加希望者の方々がやってきてマイソール王国の使節団の面々と会談を行っていたのです。

マイソール王国への投資案件を聞きつけた銀行家の方や、インド方面に興味を持っている植物学者などが揃って使節団と和気あいあいとした雰囲気で語り合っております。

私も使節団の方々に挨拶をしたり、軽くお話をしましたが、皆さんはハッキリとした口調で受け答えをなさっておりました。


「雰囲気はとてもいいですね……」

「ええ、晩餐会前の談話の時間もいいですわね……」

「ん?あれは陛下ではありませんか?」

「あっ!本当だわ!オーギュスト様ですわ!」


きっと緊張しているのでしょうと思っている最中、オーギュスト様がやってきました!

周囲がドッと歓声を挙げて握手をしたり、軽く挨拶を交わす場面が見られます。

それから駆け足で私たちの前にやって来たオーギュスト様は遅れて来た事を謝りました。


「ごめんみんな、ちょっと会議が長引いてしまったよ……待ったかい?」

「いいえ!皆さんと談話を楽しんでおりましたわ!今は東洋料理と西洋料理の違いについて話していたところです!」


オーギュスト様が到着したところで、晩餐会がスタートいたしました。

各自最寄りのテーブル席に座って運ばれてくるインド料理を堪能するのです。

さて、いよいよ晩餐会の始まりです!

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 作者さんが淫夢厨なのは別にいいんだけど、流石に小説にその表現は入れてほしくないかな。 作者さんはよく語尾に「ねぇ〜」とか使うけど、これも少し気になる。 今回に関しては特に「サーッ」とか…
2020/12/25 11:05 退会済み
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