表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

259/1014

257:太陽が沈む時

明日からサイバーパンクな世界へ旅をするので初投稿です

☆ ☆ ☆


1776年9月1日


おはよう諸君、世界初蒸気機関車の開発と研究を世界に先駆けて発表と公開、そして実践をしてパリ中でお祭り騒ぎを引き起こす要因を作ったルイ16世だ。

史実で習った歴史の法則が乱れている気がするが、まぁそれも自分が中心になって動いた結果、バタフライ効果によってドンドン世界史レベルで改変しまくっている現状では何とも言えないのだ。

メタフィクション的な視点から言わせてもらえば、俺がルイ16世という世界史にとっても重大な転換期を迎えた人物の一人に転生した時点で既に歴史の歯車が大きく変わったんだと思う。


歴史改変小説だとその後の歴史がどんな事になったとか綴られることはあるけど、大抵は強大な反動がやってきて歴史が修復されたり、あるいは別世界……パラレルワールドとして分岐すると言われているけど、俺の場合は後者になるのかなぁ……。

この後の歴史がどうなるかはまだ分からないが、少なくとも史実のフランスよりはマシになれる気がしてきた。

というのも史実よりも10年以上早く機関車を作った事も相まって、科学分野への予算を入れる大切さを改めて実感したよ。


6月8日の蒸気機関車の一般公開と試験走行が行われてからフランス科学アカデミーの評価はうなぎ登りだ。

蒸気機関の可能性が無限大となり、国内外から蒸気機関車を一目見ようと大勢の人が訪れているという。

それから更にジェームズ・ワット氏の開発した蒸気機関の特許を侵害せずに新しい方式の蒸気機関を開発したりしているのだ。

やはり科学分野に力を注ぐとその分成功した時の喜びと共にテンションが上がるぜ。

頭上に電球マークが現れて科学力がアップしましたとか通知がきそうだよ。


(やはり18世紀後半のフランスの科学力は欧州でもトップクラスの人材が揃っているから凄く高い水準だ……科学分野に資金を与えれば与えた分だけ成果を出してくるからねぇ……やはり理系を大事にするのは国家としても大事な事なんだよなぁ……コストカットや研究費をケチしまくった上に、基礎研究すら遅れ気味になっている日本の財務省の官僚や政治家連中聞いているか~?)


心の中でかつての祖国日本が徐々に他国に研究分野で遅れを取っている原因が、資金を出すのを渋った上に基礎研究費すら成果の見込めるやつしか出さないのだ。

一番の原因はそうした基礎研究への投資を渋り、研究者でも失敗を容認することをせずに成功ばかりに固着して大胆な研究をしない事、それでいて成果主義に固着し過ぎた結果でもあるのだ。

アレに関しては……うーん、まぁ転生直前でも問題視されていたし、悪い見本みたいな状況だったので……この時代のフランスがそうならないように予防策を講じているわけよ。


とはいえ、このままフランスの繁栄ばかり見て喜んでばかりはいられない。

欧米の歴史はさらに火薬庫のすぐ近くでマッチを付けるぐらいの危険な領域へと突入する……。

ついにアメリカ大陸で続いていた独立戦争に決着がついたのだ。


速報自体は一週間前から耳にしているが、アメリカ大陸で何があったのか?

戦況報告などの詳細を記した報告書の到着を待っている所だ。

その間にも新聞に目を通しておく。

今朝の一面はどれも独立戦争やイギリスに関する事ばかりだ。


『イギリス敗北!新大陸において植民地最後の砦ノーフォーク陥落!度重なる休戦協定を拒否した結果招かれた最悪の結末!』

『北アメリカ連合州軍が事実上の勝利宣言、軍の最高指揮官であるジョージ・ワシントンは”独立戦争に勝利した”と発表し、北米連合国の樹立を宣言する』

『イギリス各所で暴動発生、軍の敗北と強制徴募によって夫を亡くした妻が強制徴募を行った水兵を相手取った裁判で水兵側に無罪判決が下ったことが原因か』


これが今朝ヴェルサイユ宮殿に届けられた各新聞社から発行した朝刊の第一面に書かれていた記事だ。

ノーフォークで抵抗を続けていたイギリス軍が降伏し、北アメリカ連合州軍が勝利したのだ。

史実では8年間に及んだ戦争も、僅か2年程で決着がついたのだ。

独立戦争……思っていた以上にイギリス軍は防戦ばっかりだったからねぇ……。

おまけに国内では暴動が頻発しているらしいので、いよいよイギリスもヤバイのかもしれない。


「イギリス軍破れたり……それも一大決戦の末に負けたという報道があるけど、実際にはどうなったんだろうね……もっと詳しい情報が欲しいなぁ……」


三つの新聞だが、パリでは名の知れた大手新聞社であり、そのうちの一つである「マーズ・ド・フランス」ではジョージ・ワシントンが北米連合国の樹立を宣言したと報じている。

北米連合国……英語で訳せば(Confederate States of North America)略してCSNAという国家になったのだ。

USAは何処行った。

史実では皆お馴染みのアメリカ合衆国が誕生してそれぞれ独立した元植民地13州に則って連邦政府が誕生した訳なんだが……どうやら合衆国ではなく連合国となったようだ。


合衆国じゃないアメリカってなんだよと自分でも考えたのだが、ジョージ・ワシントンが州ごとを「国家」として扱い、その連合国という理由で北米連合国という位置付けになったらしい。

おまけにこっちではカナダ領まで占領下に置いてしまったので独立13州どころの話ではない。

史実よりも面積も大きく、さらにいえば各地の州についても民兵組織が強い権限を持っているということも相まって、各州が独立国家に近い権限を持ち、民兵組織を正規軍として扱うことで軍事力を保持し、ヨーロッパ方面に向けてPRするつもりのようだ。


「アメリカ合衆国ではなくて北米連合国という扱いになったのも、カナダ領まで分捕ったからじゃないかなぁ?北アメリカ大陸の大部分の領土を占領下に治めたうえに、イギリスを追い出したとなればアメリカだけでは物足りない……故に北米連合国と名付けたのかな?」


北は凍てつく永久凍土がある大地から、南は南国に近くヤシの木が生えるような暖かくてハリケーンが直撃しやすい土地まで……そんな気候がよりどりみどりな場所ゆえに、アメリカだけではなく北アメリカ大陸を牛耳ったも同然だ。

まだメキシコ辺りはスペインが実効支配をしているが、それでもこれから東海岸で発展していけばメキシコや西部地域にも進出していくだろう。

おお……これはパクス・アメリカーナ(アメリカ帝国主義)が引き起こされるのではないだろうか?


領土面積もデカいし、将来石油や石炭が必要になった時でも国内に多くの炭鉱や油田があって、それでいて開発しやすい土地もあって東海岸は平野が多いから工場を建設してから都市開発も出来るから……やはりアメリカという場所は好立地なんだよね。

ゲームでも現実でもアメリカが世界の超大国に君臨できる土壌が揃っているからマジでチートすぎる。


それでもって今回イギリス軍を追い出すことが出来たのも、イギリス軍による横暴な対応によって現地の人達が反発して暴動を引き起こした事も要因の一つだ。

イギリスは軍隊を使った鎮圧方法を行ったが、それがかえって逆効果となって報復攻撃と言わんばかりに植民地の民兵組織などが反乱を起こした際に真っ先に市民たちがイギリス軍を各所で襲撃したり、捕虜になったイギリス兵を虐殺したという報告もあったからね。


イギリスへのヘイトが溜まり過ぎていて、これには思わず顔をしかめてしまう。

とはいえ、それだけイギリスはやらかしたという事の現れなのかもしれない。

二枚舌外交でやらかした案件は数知れず。

アヘン戦争しかり……中東のパレスチナ問題もイギリス絡みだしね……うん、思い当たる節しか見当たらないわコレ。


そういえばケベックの状況も気になっているんだよ。

ケベックはフランス人が多く入植している地域だから、彼らも少なからず独立戦争に加担していた筈だ。

北米連合国入りしているのであれば、フランス人が多数を占める国の一つと見なされるだろう。

カナダも併合したとなればアメリカはかなりの面積を有する国家となったわけ。

まさに北アメリカ大陸最大の国家群の誕生か……。

……これ史実よりも強大な国家になるフラグが来ていないかい?


ただでさえアメリカは開発しやすい土壌があるわけだし、人的資源は有限とはいっても現在の影響力を踏まえれば移民などをドンドン受け入れるだろうし、いずれは超大国としての地位を確立するかもしれない。

そうなったらフランスとしても外交上は笑顔で手を結びつつも、国土管理局を駆使して探りをしたほうがいいだろう。

今後の情報に期待したい。


今のところ独立戦争という形で各州はまとまり、連合国として国家の樹立を宣言したと書かれているが、樹立した場合は中央政府の役割を担うのは議会だ。

それでもって各州が国家としての権限を付与されるのであれば、議会は北米連合国の基本政策を決める場所であり、各州ごとに独自の法律の枠組みを決めるというのであれば現代でいうヨーロッパ連合に近い国家体制になるのかもしれない。

……それだと後々になって法律とか通貨に関する問題が浮上してきそうだけどどうなんだろうか?

なお、有給取得ミスにより出社する模様

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー

☆2020年9月15日に一二三書房様のレーベル、サーガフォレスト様より第一巻が発売されます。下記の書報詳細ページを経由してアマゾン予約ページにいけます☆

書報詳細ページ

― 新着の感想 ―
[気になる点] ポリニャック夫人がアメリカの政治に深く食い込んで表か裏かは知らんが史実よりも強いアメリカを掌握するつもりだろうか…主人公は釘を刺すつもりだったけど逆に起爆剤を与えてしまってとんでもない…
[一言] 作者様、更新楽しみにしていました!! しかし史実のアメリカ独立戦争より財政経済人的の面で生産な損害を被ってしまった英国国内の世論も見てみたいですね。 特に東アジア会社関連で仕事をし稼いでいる…
[一言] 沢山の大事なものを失っても構わないなら「アメリカの建国の正統性を貶めるプロパガンダを流す」のとか結構効くと思います。 具体的には、英国に米国を独立させる条件として「新大陸での奴隷制を全面的…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ