247:多角経営
平賀源内をフランスに招待したいと思っているので初投稿です(勧誘)
各自の意見を取りまとめた上で、最も実現可能でかつ利益が見込める方法を提示する。
あくまでも国王個人としての意見を提示するが、この案が一番他の意見のいいとこどりをしていたわけだ。
なるべく亀裂を産まないように調整した感じとなったが、各自納得してくれたようで最終的には多少の修正を踏まえた案で決定する運びとなりました。
農産物の産地として栄えるのであれば、それに見合った作物の育成、土地が連作障害等を起こさないように肥料の開発や、田畑の整備……フルーツなどを長期保存が出来るように精製所で瓶詰めしたジャムに加工できるようにする……。
これならば上手いことできるかもしれない。
砂糖の原料となるサトウキビも、ジャムや果実酒を作る際に必要不可欠な存在だ。
単純にそのまま売るのではなく、貿易で利益を生み出す為に加工して売り出す。
商品に付加価値を付け加える事でフランスの「ブランド力」を見せつけることが出来るし、商品の原材料が調達できるのであれば基幹産業となるのだ。
サン=ドマングのコーヒーの場合は、フランス本土に持ちこんでから加工して売り出すのでこれもある意味加工貿易として成立はしている。
しかし、これだけではサン=ドマングにもたらされる利益は少ないので、コーヒー豆を加工して精製する現地雇用を重視するコーヒー工場も建設し、現地民が利益を出せるように工夫などを凝らしているのだ。
サン=ドマング……史実では後のハイチ共和国となった場所は、世界で初めて黒人による共和制国家を樹立した国だが、国家の基幹産業を第一次産業のコーヒー栽培に頼り過ぎたせいでそれ以外の産業が育たず、結果的にいびつな経済状況になってしまって貧しい国になってしまったのだ。
そうならないように、コーヒー豆以外にもサン=ドマングを拠点とするラテンアメリカ方面の経済都市化なども進めている。
1月14日からネッケルが主導して行っている『カリブ海貿易に関する多角的運営方式』でのサン=ドマングの役割を、第一次産業だけではなく、金融面や観光でも支えるようにする経済政策だ。
「青龍と並行作業になりますが……既存の経済基盤があるサン=ドマングをより発展させていくためにも、金融業や観光業など多方面から利益を得られる事業へと着手している所です。もうじき新大陸での動乱も終わりますので、戦争が終了すれば貿易もこれまで以上に盛んになるでしょう。そのための中継拠点としてサン=ドマングを発展させていくべきです」
「サン=ドマングはフランスにとって欠かせない莫大な利益を生み出す土地ですからね……ここに加えて青龍がそうした農産物や金融の窓口機関……貿易金融拠点となればアメリカ方面とアジア方面でフランスは経済力で他国の植民地に拮抗できる力を有することができるでしょう」
「今後の外交政策でも大きな交渉としてのアドバンテージが持てるという事ですな。この調子で現在の景気を維持していけばフランスは安泰ですぞ」
「そうだね、農作物だけじゃなくて金融や観光といった業種にも力を入れていきたいものだ。サン=ドマングがコーヒーや砂糖の輸出で潤っていても、いつか膨大な土地を開拓して発展していく諸外国に量や経済力に押されてしまえば、そこから逆転するのは厳しい……であれば、好景気である今のうちに今後の景気を安定化させたうえで発展していく方針でいきたいものだ」
経済都市として機能できるようにすれば、今後第一次産業だけでなく第三次産業である金融や商業方面でも活躍できるし、中継貿易拠点としても機能できるだろう。
メキシコやフロリダなどのアメリカ南部地域にも近いサン=ドマングはこの時代では海洋貿易の要所でもある。
まぁ、それを機能させるためには港の整備なども欠かせないし、お金も掛かるのだ。
勿論、むやみやたらに戦争に首を突っ込んで戦費を浪費するよりはずっといいし、本土だけではなくフランス領の土地の経済を回すための潤滑油だと思えば整備費用は安い投資のようなものだ。
それに、こうして閣僚会議を開いてみれば分かる。
皆が熱く議論し、意見などを取り入れたり聞き入れた上でより良い国づくりをしようとしている。
「サン=ドマングに青龍……今後はこれらの土地も本土と並行して開発や土地の開拓を行い、経済格差なども極力広がらないようにしておく必要があります。その為に、人種間での同一賃金、並びに賃金の引き上げや港の機能を拡張する工事などを順次行う予定です。また新規の住民を移住させるための区画整理も国土建設省が並行して行います」
「これからフランスはどんどん人口が多くなりますからねぇ……人種的な問題も段階的に解決していかなければなりません。サン=ドマングから勉学に通じている黒人や混血の人達のパリ大学への集団入学が行われて初の合同講義が先日行われたばかりですから」
「……合同講義の前に新入生代表のトゥーサン・ルーヴェルチュール氏の演説がありましたな。”我々は今、この場所に学生という立場で立っている。これは我々黒人にとって大きな歴史の一歩である”と……いずれはアジア人もパリにやってきて学問を学び、より良い国づくりを行う見本となるでしょうな」
「ええ、これからは人種的に縛られない新しい国づくりを薦めていく陛下の方針を多くの人々に広げていく必要があります」
ブルボンの改革で解放した奴隷達の中でも、勤勉で学問試験に合格した人達がパリ大学に入学する事になった。
因みに新入生代表として演説を行ったトゥーサン・ルーヴェルチュールは、史実ではハイチ共和国の建国の父と呼ばれる人であり、聡明な人物であったと称されている。
その人物がパリ大学に入学して大学生の一人として講義を受講しているとなれば、これからもっと様々な人種が学びに、起業しにフランス本土に赴くだろう。
学問を人種的な理由で縛りつけてはならないと法に記載し、自由で開かれた国づくりを主体で行っている。
勿論のことだが、これからは国王だけでなく国民も改革に参加して国をより良い方向にして行くために、意見などを謙遜なく出し合う方針を打ち出した。
その結果、こうして有色人種の入学なども認められるようになり、1776年度より外地のフランス人で現地試験で合格した者達を入学する制度が開始されたばかりなのだ。
史実フランスでもルイ16世は当時としては開明的な人種問題などを解決させるための法案整備や改革を起こしたが……時期が革命が起こる直前だったので遅すぎたのだ。
ここでは、経済も好調であり人々も改革には好意的なので大きな問題が起こることなく、順調に改革は進んでいるのである。
あとは、これから政治と経済を上手く調整して国内を成長させていくことが重要だ。
「国土建設省はこれから大忙しですな。サン=ドマングや青龍への拡張工事を行う際に、木材や石材など必要な物資の運搬は海軍が積極的に海上輸送を行いましょう。船でしたら航海訓練も行うのに丁度よいですから」
「では、陸軍は港湾の整備なども行い、今後の運用がスムーズに行えるようにサポートしましょう。設営準備なども必要ですから」
「今後の都市拡大に備えて交通網の拡大にも力を入れていきましょう。整備の見積もりについては……」
閣議は夜の9時まで行われて、今後のサン=ドマングや青龍についての最終的な方針が決定された。
カリブ海とアジアを結ぶフランスの拠点……これらの拠点に貿易を回し、開かれた経済体制の確立……またの名をブルボン・ドクトリンという名称で進められる事になるのであった。
思えばこの時代の砂糖の価値って凄く高そうですね……やっぱ甘い物は最強だってハッキリわかるんだよね




