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117:介入

いつもご愛読ありがとうございます。

皆様から貰う叱咤激励の感想が私にとって励みとなりますので初投稿です。

★ ★ ★


1771年9月17日


フランス・パリ


【サン=ドマングへの海軍派兵を決定、ピエール・アンドレ・ド・シュフラン提督率いる部隊が出航】


サン=ドマングで起こっている騒動。

これには多くのフランス王国国民に衝撃が走った。

ここ最近ではフランスは大きな外敵に晒されることなく、平穏に過ごしていたからだ。


それが植民地でも最大の利益を出しているサン=ドマングで、元奴隷達による反乱という名の焼き討ちなどが頻発している事態を受けて、ルイ16世が海軍に治安維持目的での出動を命じたのだ。


新聞の一面にはサン=ドマングに関する記事が溢れている。

無論、ルイ16世によるメディアに対して事実確認が済んでいる記事は通らせているが、人々にはある不安がやって来たのだ。


「サン=ドマングってそんなに治安が悪かったのか?」

「なんでも、コーヒーや砂糖を規定量まで収穫させるために奴隷達を酷使していたらしい……それが原因で奴隷達がキレて反乱を起こしたんだとさ……」

「マジかよ……」

「反乱だけならまだいいさ、治安がヤバイってなれば多くの砂糖やコーヒーが出荷できなくなるんだぞ」

「じゃあ……コーヒーや砂糖の値段が上がるのかよ!」

「まだそうと決まったわけじゃないが……既に菓子屋を中心に砂糖を買い占めているという情報が入ってきているぜ」


そう、サン=ドマングで生産されているコーヒーや砂糖は、この時代の消費量の半分を占めている。

つまるところ、嗜好品の値段が上がるのではないかという不安が噂で広がってきているのだ。

ルイ16世はそうした不安を解消するべく、備蓄が十分にあると新聞各社の記者を呼んで説明し、人々によるパニックによる買い占めなどを防ぐための行動を取ったのだ。


【砂糖やコーヒーなどの備蓄は万全であるが、故意に噂などを撒いて混乱に陥れないように、そうした不確定な噂を流した者には重罪とする】


センセーショナルだったり普段はゴシップ誌として様々な方面に批判的な記事を書いている新聞社ですら、この記事に関してだけは大真面目に書き込んでいたほどであった。

聞こえはいいものの、やっている事は物資統制である。

それでも買い占めなどを抑えるために、お菓子屋や料理屋などでは必要とされる砂糖やコーヒーの量を予め設定しておくようにとの通達がなされ、パリ全体では今のところ大きな混乱には至っていない。


「それにだ、記事やノボリス総督の話によれば長い事サン=ドマングで奴隷を酷使していたらしいじゃないか。そんな扱い方をしていたら積年の恨みの一つや二つぐらい噴出するだろう」

「ああ、今まで奴隷を酷使し続けてきたプランテーション農園側に問題があるよな、国王陛下もその事を知ってかなり立腹なさっていたようだしね」

「農奴制の廃止と同時に奴隷も廃止にして全フランス国民に奴隷は不要だと陛下の大命なのにな……この機に及んで奴隷制を継続しようと叫んでいる連中なんて、陛下からしてみれば顔に泥を塗るような蛮行をされたも同じだろう」


現に、ルイ16世はかなり怒っていた。

奴隷制度を廃止したにもかかわらず、公布人の呼びかけにも未だに従っていないプランテーション農園があったからだ。

さらに言えば、そうした奴隷制を継続させようとするプランテーション農園のせいで奴隷を解放した賢明的な農園すら、元奴隷達の扱いにかなり苦労しているのだから。


おまけに、イギリス籍の商船がプランテーション農園に武器などを持ちこんで混乱を助長しているという驚くべき報告まであったのだ。

これは尋問を受けたジェレミー氏が証言したものであり、数で劣るフランス駐留部隊に代わってプランテーション農園で従事している白人労働者を中心に武装し、奴隷の反乱に備える為により元奴隷に対して恐喝的な態度を取ったり、複数人で口裏合わせをして元奴隷に対して私刑行為に及んで殺害している者達がいるという内容であった。


これには流石のパリ市民も非難した。

国王陛下の大命によって奴隷階級は廃止されたにもかかわらず、奴隷を廃止しなかったり元奴隷に対して私刑行為に及んでいる者達がいるという実態が明るみに出たことで、新聞各社は挙って非道な行いをしているプランテーション農園を批難し、治安維持の為に海軍の派兵について賛成の立場を取った。

新聞社だけではなく、庶民や各貿易会社も同様であった。


庶民は経済状況が安定化してきている今になって問題を起こしている者達を批難し、貿易会社に関してはサン=ドマングというフランスでも随一の植民地において行われた愚か者によって砂糖やコーヒーの取引価格の高騰を懸念しているのだ。

勿論、国王陛下が国内の大手貿易会社の幹部を呼び出して、問題に全力で取り組んで早期に解決することを約束したのだ。


「もしだ……もしサン=ドマングにいる元奴隷達が一斉に蜂起を起こしたらどうなるんだ?」

「そうなったら農園関係者はまず皆殺しだろうな。あんなに酷い扱いをしているようじゃ恨みを買いまくっているだろうからな」

「でも反乱軍とはいえ、あくまでも少人数らしいからな。サン=ドマング全土に飛び火を起こさない限りは大丈夫だよ」

「ああ、そうならない事を祈っているよ」


サン=ドマングで起こった反乱はまだまだ駐留部隊でも対処が可能な規模だ。

しかし、騒ぎが大きくなればなるほど事態は悪化していく。

そうなればサン=ドマングを手放さないといけない状況に陥るだろう。

サン=ドマングでの動乱は日に日に脅威を増していくのであった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] フランス本国の反応が書かれていることで多面的に情景を把握することが出来た
[気になる点] 何時だったかの話で主人公は料理と年表くらいしか転生者としての能力は生かせないと宣っていましたが、義務教育で習ったことはどうなったんでしょうか? ブラック企業とは言え会社員としてそれなり…
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