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1074:未来派

「では次に……戦争終結後にパリを欧州の中心都市として郊外を整備する計画についてですが、お話をしてもよろしいでしょうか?」

「うむ、話をしてくれ」

「都市整備計画の複合案が提示されておりますが、いずれも中長期的な視点から開発を進めるものであり、これらの都市計画の大部分を担っている企業などを中心に、さらに発展を遂げるためにも未来的な都市を建設する目的で、国内外から多くの建築家を呼んで都市設計計画を複数出してもらっている状況です」


さて、報告の中でも気にしていたものがやってきた。

これはフランスを主軸にしたヨーロッパ諸国の最大の都市化計画であり、パリを起点に幾何学図形を用いた建築物などを建造する計画が浮上しているのだ。

それも、ただ作るのではなく未来的な都市建設という意味合いで21世紀にも通用するようなデザインで建築を進めることが計画されているのである。


主にパリ郊外のヴェルサイユやクレテイユなどの首都圏郊外地域において、今後欧州首都と呼べるぐらいの大規模な都市計画を作るために計画されたものであり、述べ25年間に及ぶ長期間の間に100億リーブルを官民で投資して建設を進める予定の一大都市プロジェクトの一環でもある。


「現在の試算ですが、ヴェルサイユ周辺を含めた地域の開発に1億リーブル、さらに地方都市から都市部の間の道路開発に2億リーブル、それから鉄道網の敷設に3億リーブル……今後発展していくであろう砲車の発展形の乗り物が通過可能になるように道路を拡張してパリを起点に繋ぐ道路の設備に合計7億リーブルほど掛かる予定です」


道路や鉄道網敷設に掛かる初期投資だけで国家予算クラスとなってしまっている。

無論、この開発というのもまっさらな場所から建てるという意味合いもあるが、都市経営シミュレーションをやっている人ならわかるかもしれないが、建築を行うにしても道路や電力網を敷設しないと建設が始まらないのだ。

故に、そういった建設を最初からやらないと話しにならないのである。


「今はまだ馬車が主流だが、いずれ馬車に変わる重要産業として鉄道やキュニョーの砲車を発展させた自動車が作られるだろう……その際に道幅が50メートルぐらい大きくしていたほうが、これらの乗り物であったり既存の馬車が通りやすいように設計してもらえると有難いのだ。いずれ馬車もより貨物が多く搭載できるようになる乗り物に取って代わるようになるだろうが、それでも道を大きくするに越したことはない。これに加えて道路を整備すれば物流のみならず人の流れも大きくなって移動も楽になるだろう」

「確かに……首都に向かう道路も所によっては陥没等が発生している場所もありますので、そういった危険な状態を無くす上では道路の整備は欠かせませんね」

「うむ、道路は人が生きていく上で重要な要素だ。人流だけでなく物流を促進してより人々の活性化を促していく上では必要不可欠な行為でもある」


トラックやバスが歴史の表舞台に登場するのは20世紀初頭頃、鉄道は既に発明されて普及しているが、それでもまだまだ輸送能力に関しては最初期の蒸気機関車ということもあって、まだ牽引能力は低いほうだ。これらの関係するインフラ網や研究開発にも莫大な資金を投じることになるため、それらをひっくるめて100億リーブルという巨額のお金が発生して費用が掛かっている状況というわけだ。


現在のフランスの国家予算が8億リーブルであるため、国家予算12年分に匹敵する数である。

史実の国家予算が6億リーブルと言われているので、史実よりも国家予算も収支も多くなっている。


このうち、国が出す予算は50億リーブルであり、北米複合産業共同体との戦争が終われば、戦後復興もさることながら欧州協定機構の中央拠点としての都市計画として、未来的な都市を作り、21世紀にも通用する都市計画を積み上げることが最重要でもあるわけだ。


ここには鉄道網を広げた上で、将来高速道路などが敷設する際にも余力が出るように、予め大規模な土地を買収した上で建設が進められているのである。

幅50メートルという数値も道幅がそのくらいないと、将来片側4車線道幅が敷設された際に、真上に高速道路などを敷設するなどの措置が取れなくなってしまうからだ。

高速道路も初期構想が1900年代初頭から行われて、第一次世界大戦の戦後にはドイツのナチス政権がアウトバーンを作り出して世界有数の高速道路事業を執り行った実績がある。


ヒトラーが行った政策の中でも数少ない成功例として取り上げられることもあるが、アウトバーンが作られた後に第二次世界大戦が勃発し、結果として多くの国民が自動車の恩恵を受けるようになったのは戦後からであり、第二次世界大戦後になってからようやくアウトバーンの本領発揮が行われ、戦前から戦時中にかけて国民車として設計されていたワーゲンType1が戦後は西ドイツの国民車となり、やがて世界で一番生産された車として登録もされているのだ。


故に、将来に渡って行われるであろうインフラ整備の一環として地方都市からパリに向けて走る幅50メートルに及ぶ道路建設もやぶさかではない。

そんな大きな道路どうするんですか?とアントワネットから言われたが、平時と有事の双方からこの疑問に回答した。


「これは平時では国民の足として機能するが、有事には軍隊を移動させる上で重要な指数にもなるんだ。大きな道を作れば、その分兵站の移動も楽にできるし、これから将来大型の乗り物が出現すれば、その乗り物も走れるように設計してあるんだ。だから最初から余裕を持たせているのさ」


また、これらの道路設計のみならず、通行料金が必須の区間ではちゃんと料金所を設定する場所も設けている。その料金所のデザインも未来的な建築物かつ事前に指定した上で料金所に通れる車両のサイズを全幅2.5メートル、全高3.8メートル以上に設定しており、これは大型トレーラーが通れるようにしており、メリッサの助言で全幅と全高を教えてもらったのである。


そして何よりも幾何学的な建築家として有名なエティエンヌ・ルイ・ブーレーやクロード・ニコラ・ルドゥーが建設設計に携わっており、新古典主義的な側面が見られる一方で、当時としては画期的な球体系の建築物も設計として手掛けている事でも知られている。

現に、ルドゥーに関しては現代において世界遺産にも認定されているフランス東部に建設した王立製塩工場は、現代でも色あせない建設思想を反映させている。


更にいえば史実では理想的な都市計画に基づいて円形状にするつもりが途中で中断されてしまったが、この世界では潤沢な資金によって精製された塩を生産する工場だけでなく、その塩を使って保存食などを手掛ける瓶詰めメーカーであったり、生ハムなどを塩漬けにして保存兵糧食として軍に納品するメーカーなどが集まり、一大産業都市に発展することに成功した事例がある。

故に、彼らに都市の設計を依頼するのだ。

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