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1044:幸せのまま生きていけたら

数少ない楽しみ……日本食を明日食べられるという事にウキウキはしているが、実際のところ今年は色んな事が起こり過ぎた。

特にショックだったのはジョゼフが亡くなってしまい、あの子は結婚するところまでたどり着くことはできなかった。阿片の粉末を飲ませることで多少痛みの緩和ケアは出来たとは思うけど、それでも最後は苦しそうに息をしていたのを見ると、もっと生きたかったのではないかと思ってしまう。


もし、現代に彼が産まれていれば抗ウイルス剤やステロイド剤を投与して肺炎や気管支喘息等の症状を改善して生活に支障なく暮らせていたのかもしれない。

歴史のIFがあったのならば、インフルエンザに感染した際にもっと早く漢方薬を処方できていれば後遺症を引きずることは無かったのではないだろうかと考える。


「ジョゼフ……すまん、もっと早く俺が気を掛けてやるべきだった……」


彼は間違いなく秀才だった。

正直言って俺よりも頭の回転が速く、物事を理解して社会福祉関係に積極的に活動をする素晴らしい子だった……彼を失ったのはフランス王室でも大きな損失だと言っても過言ではない。

もし彼がまだ生きていれば……いや、これ以上あーだこーだ考えても失った命は帰ってこない。

故に、考えなければならないのだ。

これからジョゼフの遺志を継いでくれるシャルルをサポートするのだと……。


(シャルルは賢い子だからな……亡くなったジョゼフの遺志を継いで福祉事業なども継続するように進言してくれているし、何よりも国王になるために色々と学んでいる子だ。彼ならきっと、俺が居なくなった後でもしっかりと国政で手腕を振るってくれるだろう。俺が死ぬ頃合いか、もしくはシャルルが国王になった頃合いでこの国を含めたヨーロッパ諸国の体制は変わるからなぁ……)


シャルルが彼の遺志を継いで国王になることを志すと言っていたが、シャルルも頭がいい上に史実では監獄に閉じ込められた上に、囚人以下の生活を送らされたせいで肉体的・精神的に疲弊して衰弱死してしまった子でもある。


史実のような凄惨な死を回避するためにここまで頑張ってきたのだ。

共産革命のキッカケとなったマルクス主義が台頭しないように、格差を是正して行き場の無い人達のセーフティーネットを作り、良き統治者を作るための指標となる基準を設けてヨーロッパ諸国の意思疎通を図ることを目標に、共通の通貨、共通の単位、共通の公用語を統一してヨーロッパの垣根を超えて大きな巨大国家体制を構築する事が俺の最終目標だ。


ヨーロッパを最新の技術文明の中心地として栄え、先進的な技術と人々の意識を改革し、より文明的な生活意識を持って生活できるようにする。

ヨーロッパの秩序体制を統一することが目的でもある。


「これを形となって実現するにはあと50年……いや、100年以上は掛かるかもしれないが、形になればヨーロッパは国王を君主とし、議会制民主主義を実現する立憲君主制への移行ができるようになるんだ」


本棚の所に置かれている計画書にも描かれているのは『欧州新秩序体制』と書かれた本であり、この本は国土管理局だけでなく、同盟国であるオーストリアやイタリア王国連合、スペインやネーデルラントなどでも共通認識として各国での取り組みを共有し、その情報を統合的に記したものだ。

一国を発展させるのであれば、国王自ら陣頭指揮を執ればできるかもしれないが、ヨーロッパ諸国全土を開発していくには一国の力だけでは無理となる。

これはヨーロッパ各国が単一的な民族としてなるか、もしくは国家として統合化された際に発動する代物だ。まだこの時代であればそれも実現可能である。


「それに、各国の地域ブロックごとに割り振って構成を行わないと、地域格差などによって不平不満が爆発する恐れもある。数十年、いや数百年先を見ないとこの計画は完遂できない」


現代でもこうした国家の統合が出来ないのも、地域格差などによって都市部への人口が偏ったり、無理難題ともいえる移民・難民政策の失敗によって各国の間で排斥主義的な極右勢力の躍進が著しく、SNSの普及によってそういった不平不満を持った人達の怒りの矛先が、自分達の税金を使って優遇される人々に怒りが向かって排斥主義が拡大してしまうのだ。


無論、そう言った人達を見捨てるようなことはしてはならないし、人道的観点から助けるべきなのは事実ではあるが、無計画かつ数百万人にも及ぶ異教徒かつアフリカ・イスラム圏からの移民・難民が押し寄せた結果として、治安の悪化を招いて外国籍ギャングやマフィアが社会不安を引き起こし、これに異議を唱えるものなら差別主義者レイシストのレッテルを貼られた結果が、ドイツやハンガリーなどの中欧や東欧諸国を中心に自国優先主義かつ、リベラル的な改革に拒否反応を及ぼした。

それまでは末端議席程度しかなかった極右政党が選挙において野党第一党に躍り出る等の大躍進してしまったのだ。


「あのような事態に……ヨーロッパを二度の世界大戦と、排斥主義を拡大させた急進的なリベラリズムを無くすためには、王政政治が最も権力を握っているこの時代にやらなければならないのだ……あのルイ16世が転生させたのも、これを行うために俺に託したはずだ」


排斥主義や急進リベラリズムを無くすために起こすべき事。

それが経済の発展と同時に貧困層の保護と各国間での格差是正と賃金に関する協定書の策定だ。

格差が増えれば不平不満のリスクも跳ね上がる。

それを是正できるような仕組みづくりを王の命で行えば、これらのリスクも下げることが出来る。


ヨーロッパ諸国を発展させるために鉄道網を普及させて人の物流網を拡大させていくことが重要となってくるのだ。

そのために鉄道網の普及のために莫大な予算を投じてフランスだけでなく、オーストリアやイタリア、それにスペインやネーデルラントといった隣国に通じる道を拡張工事して大型化しており、将来大型幹線道路ないし高速道路、それから鉄道網が敷設された際に建設が容易にできるように基礎を作っている最中だ。


街づくりゲームの基礎となる作業のようにも思えるが、人流を確保するためにはその人を支える物流網を確保することが一番大切でもあるのだ。食糧や建設物資などを運んで街を発展させる上では、諸外国の壁を無くして流動的かつ持続可能な社会発展を実現すべき時なのだ。

200年後の人類ですら課題となっていた経済の発展、それをこの時代に推し進める。


北米複合産業共同体との戦争を片付けば、欧州の新秩序体制が構築されるだろう。

フランスを主軸にした欧州共同体というべき組織を作り、史実よりも200年以上早くヨーロッパ連合のような主体性を持った王政連合国家を樹立させることも夢ではないのだ。

全てはアントワネットと幸せに暮らすために俺はここまで頑張ってきたんだ。

ジョゼフの目指した身体の不自由な人でも安心して暮らしていける社会を作る。

亡き息子の為にも、俺は前進していくべきなんだ。





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