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1035:打撃艦隊

北米複合産業共同体による海軍戦力は決して無視できるものではない。

カリブ海方面では欧州協定機構が戦力では優勢ではあるが、東海岸となれば彼らは自爆覚悟で突っ込んでくるだろう。東海岸の海域では南部のフロリダ方面に関してはフランス海軍の艦艇が沿岸攻撃を行って重マイソールロケット砲による艦砲射撃を実行に移しており、これらの砲撃支援によって沿岸一帯の制圧に貢献できている。

地上制圧において、重マイソールロケット砲による地上支援は強力であり、要塞なども一撃で城壁が破壊されて大穴が開いたとする報告も上がっているほどだ。


「カリブ海から海上支援艦隊として送られたフリゲート艦の重マイソールロケット砲による地上支援は大戦果を挙げたと言っても過言ではないでしょう。南部に建設されていた北米複合産業共同体の沿岸防衛用の要塞に関しては、彼らの野戦砲の射程圏外から重マイソールロケット砲による砲撃により沈黙しました。さらに、これらの重マイソールロケット砲による砲撃支援によって上陸した陸軍戦力の損耗は必要最小限に抑えることに成功したのです」

「フランス軍が主体となって行った重マイソールロケット砲による海上砲撃支援の件だが……やはりあれは強烈だと言っても過言ではありません。我がネーデルラント軍が上陸をして北米複合産業共同体の沿岸要塞を攻略した際には、相手の要塞の多くが既に破壊されており、残っていた兵士達も白旗を掲げて降伏の意を示しておりました。ネーデルラント軍としては上陸した部隊の三分の一が損害を受ける事も覚悟しておりましたが、被害は要塞内の掃討戦の際に生じた6名の兵士のみに留まっております」

「こちら側に制海権があったとはいえ、地上戦力をあそこまで削れてしまうのは我々としても驚きでした……地上運用されている重マイソールロケット砲は確かに強力ですが、輸送に大きな手間と人員が掛かってしまいます。対して、フリゲート艦に備え付けられている重マイソールロケット砲であれば、波が多少荒くても支援砲撃を相手の野砲が届かない位置から一方的に砲撃できる。これほどまでに強力な兵器を海上で運用できるのは素晴らしい事だと存じます」

「マイソールロケット砲の利点は広範囲にロケットを撃ち込んで撃破出来る事だからな……広域を制圧する兵器としてはとても優秀だ。要塞用攻略兵器としての真意も発揮できているのは何よりだ」


重マイソールロケット砲は、文字通り炸薬に必要な火薬を多く敷き詰めて飛翔距離を伸ばしたモデルである。これはプロイセン王国との戦いでも使用されたものだが、最近では飛躍的に発展した技術力を駆使して射程距離も長くなっており、尚且つ一斉掃射が出来るようにソ連軍が使っていたようなBM-13のように、多連装式の発射台を設置して飛ばしている状況だ。

これによってフランス海軍を中心に全面的に優位に立っているのだが、それでも北米複合産業共同体の海軍艦艇は粘って戦っているのも事実だ。

これまでに戦列艦やフリゲート艦にも被害が生じている。


「南部やカリブ海での戦闘では欧州協定機構軍の海軍並びに私掠船の被害は比較的軽微であり、現在までに報告されている被害は戦列艦3隻、フリゲート艦6隻、哨戒艇13隻、私掠船29隻が北米複合産業共同体側の攻撃で損害を受けており、このうちフリゲート艦1隻、哨戒艇4隻、私掠船8隻が大破、座礁したり転覆等で使用不能となっております」

「敵の主力艦隊との交戦はあったのかね?」

「現在までに北米複合産業共同体のメキシコ派遣艦隊と索敵して砲火を交えた海戦が一度、メキシコ沖合で発生しました……相手側の戦列艦1隻とフリゲート艦6隻を撃沈しましたが、残りの艦艇はタマウリパス州の海軍基地に逃げ込んでいる模様です。新型艦艇も数隻引き連れている事も鑑みると、欧州協定機構軍の海上包囲を突破する試みも考えているものと推測されます」

「強行突破を試みるために彼らが夜間に攻撃を仕掛けているのも納得はできるな……いずれ艦隊決戦を行って決着を付けるべきかもしれんが、彼らの今後のことを考えれば後がないと判断して新型艦艇を出してきたのも頷ける」


新型艦艇である外輪船を投入したのも、彼らの技術力の保持というだけでなく、技術革新による蒸気船を駆使して沿岸防衛用としての利用を行おうとしているのだろう。

大型帆船の中でも、外輪船を使用しているのであれば……汽帆船の開発も進んでいると見た方がいいだろう。江戸時代の鎖国政策を終わらせたペリーの黒船が来航した際にも、この汽帆船という船を使って来航している。


汽帆船に関しては、蒸気船が開発されてからしばらくしてから就任した船であり、おおよそ1820年代には基本設計がされていたはず。つまり、技術革新が進んでいる現状においては蒸気船ではなく汽帆船を作っている可能性も高い。

これが戦争に間に合って実戦投入された場合……こちらのシャルルマーニュ級フリゲート艦は旧式となり、勝ち目が少なくなるだろう。


(まだ竣工段階であり、進水式まではやっていないはずだ……納期を無視して未完成の状態で進水式はしていないはず……時間の猶予としては半年から10か月といったところか……それまでにノーフォーク造船所への砲撃も視野に考えないとな……)


その反面、ノーフォーク造船所がある北部地域に関しては未だに北米複合産業共同体の海軍艦艇が戦列艦以外にも、長距離砲撃能力を保有している固定砲台を有しており、この固定砲台こそがベルリンの戦いにおいても使われた大型蒸気砲台でもあるのだ。

この砲台の設計図面などが北米複合産業共同体に流用されていたようで、一部の技術者などはベルリンが包囲される前に海路で脱出し、北米複合産業共同体に亡命したとされている。

その際に、北米複合産業共同体に情報が伝わって沿岸防衛の中でも最重要拠点であるノーフォークとニューヨークを中心に配備が進められているそうだ。


また、フランスの放ったスパイからの情報では、これらの蒸気砲台はかなり近代化が施されているようで、俯角も取れる上に射程距離が8kmもあり、それもグリボーバル砲よりも遥かに大型化している上で命中性能などもグリボーバル砲と同程度の性能を有していることが報告されている。

それに加えて、複数の砲台陣地が東海岸沿岸部に集中配備されていることから、海からの海上砲撃支援を行う際に、沿岸からの砲撃で船が損傷を被る可能性も出てきている。


(となれば……欧州協定機構軍がやるべき事は陸路での制圧か……)


ノーフォーク造船所までの距離は1000キロ以上離れている……これは日本で例えるなら福岡市から東京までの距離に匹敵する。陸路では1ヶ月あれば行ける距離だが、それまでの間には防衛陣地が構築されている。東海岸を制圧するためには、これらの陣地を突破してノーフォーク造船所までたどり着く必要がある。その為にも、ノーフォーク造船所の新型艦艇を破壊する必要がある……。

であれば、国土管理局を使った破壊工作も視野に進めていくべきだろう……。

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