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第四十五話 森を抜けると……回

 第七階層。

 一面に森が広がる。

 豊富な植物と動物が生きている、とされている階層。


「これは厄介そうだねぇ……」


 まず視界が悪い、そして下も上も死角だらけだ。

 この中を進むのは、精神的疲労が計り知れない。動く物体が動物か魔獣か判断していたら間に合わない、全ての動きを警戒しなければならない。

 

「いつも通り、昆布神様お願いします」


「お願いします」


 俺はにゅるにゅると森に昆布を走らせる。

 なるほど、大量に動物が存在する、魔獣の数も豊富だ。

 入り組んだ森が天然のダンジョン風にダンジョンしている。

 

「ん?? なんか変な感覚が、何だこれ?」


「どうした?」


「いや、なんか昆布から普段感じない……もしかして……」


「まさか本当にブレイドとヒーロの気配を?」


 ビクンビクンと昆布が答える。


「そ、そうみたいだ!! ……でも、なんか反応が多すぎるんだけど……」


「……遺品……なのか?」


「いや、動いているよ。たぶん」


「動いている?? と、とにかく行こう!」


「ええ」


 どうやら昆布から伝わる感覚を統合すると、ダンジョンの8階へと繋がる階段部分周囲に多くのブレイドさんとヒーロさんの反応が動いているのが感知できた。


「二人を食べた動物がたくさんいるとか……」


「なんでお前はそう嫌な考え方を……」


「そうですよ、あ、例えば子供とか!」


「……ブレイドがそういうことをするって想像がつかない……」


「……ヒーロに襲われたんじゃないか?」


「なんか、凄い評価ですね」


「朴念仁というか、わざとやってるんだろ? ってぐらいそういうことと縁がない男でな」


「鈍感系主人公か……」


「主人公……まぁ確かにそう言われるとしっくりくるかもしれないな、揉め事には基本的に自分から首を突っ込みに行くし、困ってる奴は放っておけないし、自分の為よりも他人のために怒るような奴だった」


「ああ、主人公っぽいですね」


「前にも言ったが、周りが大変なんだよ周りが!」


「それでも、心配でこうして探しに来ているなんて……大好きなんですね」


「……ずっと悔やんでいたからな心の隅で、あの時一緒に何もかも投げ出して夢物語についていかなかったことを、そして、見誤っていたんだよ」


「見誤った?」


「流石に単独でこのダンジョンに最深部目指して向かっていくなんてやらないだろう。って常識的な考えが、あいつの蛮行を見過ごしてしまった……まさか変化が起きる前に戻ってこないなんて……」


「流石にあいつが馬鹿でもそれくらいの知恵はあるだろうと思ってたんだが……、本人に聞けばきっとこう言うに決まってる。だって、そこで引き返したら一番奥まで行けないじゃないか? ってな」


「ああ、言うな。間違いない」


「何を当たり前のこと言ってるんだ? ってな、こっちが間違っていることを言っているのかと思っちまうんだ……」


「ダンジョンが変化するときって、凄い危ないんだよね?」


「ああ、今まで作ったマップも役に立たなくなる。周り中が罠の部屋になっちまうかもしれない。

 でも、あいつはそれがどうしたって本気で思ってるんだよなー」


 昔を思い出して何とも言えない表情をしている。

 きっと、色々と苦労しているんだろうなぁ……


「ちょっとこの先、敵が溜まっている!」


 森を抜けると少しだけ開けた場所に出る。

 木の陰から広場を伺うと、魔獣が数体、亜人が数グループがたむろしている。


 ハンドサインで合図を送り合い、昆布を巡らせて戦闘準備を行う。

 

「GO」


 敵の足元から昆布が襲い掛かる。

 一部の敵が素早く避けるが、何体かは昆布の拘束を食らってしまう。

 流石にこの階層になると良く避けられるようになってきた。

 拘束した相手には次から次へと昆布が襲い掛かり、粘液と昆布によるコンボの犠牲となる。

 それからあぶれた敵もどこから昆布が襲ってくるかに常に気を張らなければならない状態で俺たち三人を相手することになる。

 昆布の網による敵の分断も行えば安全に戦闘することが可能だ。

 一方的な戦闘で数体の魔物が撤退を始める。


「あ、その先はダメだな」


 すぐに行く手に昆布の網を張り巡って行動を阻害する。

 その先にはたくさんの反応があった場所がある。

 そこに行かせないように手を加えておく。

 昆布にからめとられて動けない魔獣を狩っていく。


「さて、さて、何が出てくるか……」


 森が突然開いて高台が現れ、高台の上には小さな建物が建っている。

 その周囲にいくつものテントや木製の建物がちょこんと存在していた。

 そして、人々がそこで生活をしている。

 小さな子供が多いが、なぜか狼が子供たちを守るようにこちらを見て唸っている。


「これは……」


 ダンジョン内に非常に違和感のある光景が広がっている。

 小さな村が、しかも住人は子供と狼だ。


「えーっと、皆はここで住んでるの?」


 狼の後ろで怯えながらこっちを伺っている。


「困ったな……予想外すぎる。ツユマル、反応はここにいる全員から?」


「いや、このうちのあの子とかあの子とか一部の子供からだね」


「……なあ、この子供、ブレイドっぽくね?」


「ブレイド父ちゃん知ってるの!?」


 ブレイドの名前を出すと子供たちの顔がパーっと明るくなる。


「やっぱりか……ブレイドは生きているのか?

 俺の名前はライオネン。ブレイドとヒーロの友達だ。

 こっちはシンサール、こいつも友達だ。

 で、こいつがツユマル。こいつは俺たちの友達だ」


「パパとママのともだち?」


「馬鹿、信じるなよ、嘘言ってるかもしれないだろ?」


「大人たちは?」


「狩りに出ている。悪いけど、出来れば戻ってくるまで待ってほしい。

 たぶん、近づいたらこの子達が攻撃しちゃう。ちゃんと指示出せるのは大人だけなんだ」


 この子達ってのは狼達だな。10頭はいるだろう。

 今いる子供たちの中では一番大人っぽい男の子が代表して答えてくれた。


「わかった。俺たちはここでキャンプしているから、大人が戻ったら教えてほしい」


 こうして俺たちはとりあえず休憩することにするのだった。



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