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第四十四話 高いところは少し怖い回

 第六階層は山岳地帯。

 洞窟と山が入り組んだ複雑な構造をしており、突然の上部から襲撃があったり、足元が不利な状況での戦闘を強いられたりと今までの階層よりも一段階ステップが上がった様な気がする。


「確かにチームを組んだ方が楽だけど、むしろ少人数の方が立ち回りやすかったりもするかもね」


「アイテムバッグがあればそうだなぁ……いやいや、ツユマルの昆布が強すぎるからアレだが、実際には人が多いことはメリット多いぞ」


「普通はダンジョン内でキャンプを張るのが当たり前だから少人数だと寝ることもままならない」


「そうだ、すっかり忘れていたが、普通こんなに早く階層を抜けられないんだった」


「そうか、そうだよね……、あ、上から2匹、崖下からも4匹来てる。

 下の4匹は粘液で落ちた。上の降ろすねー」


 目の前に昆布に包まれた塊が二個落ちてくる。

 ライオネンとシンサールがぶった切ってくれる。


「な? 異常だろ?」


 まったく否定できない。


「砂漠からの山岳だと食材の現地調達が厳しいね……」


「第5・6階層は長いこと冒険者を苦しめてきたからな、今のところ最深到達階層の7階層は森、確かに食材は豊富だが、その分死角も多く、帰り道を考慮してそこで引き返したそうだ」


「そうだよね、帰りも同じルートを通らなきゃいけないんだもんね」


「もっと膨大な時間をかけて攻略してくれば精神的にもきついだろ?

 俺たちだってツユマルがいなければこんな無茶は出来ないし、やらないさ」


「ライオネンと裏のダンジョンに飛ばされてアイテムバッグが手に入ったのも、運命的だなそう考えると……」


「ロマンチストだなツユマルは」


 そうなのかな? ただ、そう思った。


「さて、数日後には俺たちが歴史を作ることになるな」


「探索もしていないし、公言する気もないさ」


「ブレイドさんの足跡は今のところ痕跡ないけど、そろそろ何かあるといいね」


「ああ、そうだな……あいつのことだ森の中で野生化してそうだよな」


「ヒーロと一緒に普通に暮らしてそうで怖いな」


「ヒーロさんはブレイドさんのことが好きなの?」


「ああ、あんな聖女みたいな見た目して、筋金入りのブレイドおたくだな」


「ある意味、ブレイドを超える馬鹿かもしれん」

 

「そこに二人がいるんだよね? なんか、凄いパーティだね」


「あの二人に比べれば俺なんて良識派に分類されるわ!」


「いや、それはない。カーネット爺に殴られるぞ?」


「じじいの話はいいだろ……」


「ほかにもメンバーいたんだ。そういえば二人のパーティでどんなことしたとかちゃんとは聞いたことないね」


「よっしゃ、もしブレイドとヒーロを見つけられたら他のメンバーも呼び寄せて全部教えてやるよ!」


「そうだな、それがいい」


「よし、じゃあ頑張ろう!」


 山岳地帯を模したこの階層は今までの場所よりも少し苦労した。

 理由は簡単、俺が高いところが苦手だからだ……

 切り立った崖の上を歩くと足がすくむ。

 昆布をロープのように利用することを思いついてからは、だいぶスピードが上がったが、残念ながら一日でのダンジョン踏破には至らなかった。


「さて、初めてのダンジョン内でのキャンプだな」


 洞窟のくぼ地を利用してキャンプを設営する。

 背後、上方から奇襲を受けずに敵を一方向より迎え撃てる場所が理想的だ。

 さらに鳴子や防壁なども設置できる俺たちは、キャンプというには少し贅沢な拠点を作成する。

 昆布式警戒システムも併用すれば、万全の状態で夜を越せる。 

 食事もすでに用意してある物を取り出すだけにする。

 流し込むようにさっさと食べてしまう。

 あまり派手に炊事をするとそれで敵を呼び寄せてしまうらしい。


「俺たちは慣れてるからツユマルは寝てていいぞ」


「そんな、悪いよ」


「昆布様が守ってくれるから、とりあえず寝とけって、きつかったら起こすから」


「うーん、解った……ベテラン冒険者の言うことには従っておく、でもきつかったり敵が来たらちゃんと起こしてね」


「あいよ、俺先に見張りすっからシンサールも先に寝ろ」


「ああ、それじゃさっさと寝るわ」


 いうやいなやベッドにもぐりこみ、あっという間に寝息を立てている。


「すぐ寝れるのも冒険者の素質だ」


「なるほど」


 俺も布団をかぶって目をつぶってみるが、今日の高所を歩いている時の映像とかがグルグル回ってなかなか眠りにつけない……

 ダンジョンでの初めてのキャンプであることも俺を興奮させているんだろう。

 色々と試した結果、結局羊を数えていたら眠りについた。


 びくりと全身の感覚が急速に開く。

 昆布が敵が近づいて来ることを知らせてくれた。


「ライオネン、シンサール」


「ああ、解ってる」「ツユマル寝起きいいじゃないか」


「ちょっと数が多いね、正面から来る」


「わりぃツユマル、防壁しまってもらえるか? 逆に死角が出来る」


「わかった」


 すぐに周囲の防壁をしまって回る。

 あたふたしていると多数の足跡が接近してくる。

 とりあえずいつも通り、可能な限り昆布で拘束窒息コンボを決める。

 速度のある敵は昆布を華麗に避けて接近してくる。

 

「正面から4、ちょっと遅れて3!」


「おうよ!」


 俺に飛び込んでくる一体を鰹節スピアで串刺しにして、その背後にいた一体を鰹節ソードで真っ二つにする。ライオネンシンサールも問題なく一体ずつぶった斬っている。

 後続の3体のうち2体は昆布の刑にして、余った一体は二人がやっつけてくれた。


 だいたい戦闘はこんな感じで行われている。


「まだ早いけど、もう出るか。どうせ寝られないだろ?」


「確かに、それじゃあ軽食だすよ」


「テントとか片しておく」


 こうして、俺たちは人類最深到達点である第7階層、森の層までたどり着くのだった。

 


 

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