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第三話 襲われている馬車を助けたら身分の高そうな人に拾われる回

 街道を見つけてから俺の心は落ち着いている。

 この道を行けばどこかに行けるさ。迷わず行けよ、行けばわかるさの精神だ。


「それにしても、こんなにのどかな場所なのにあんな化け物がいるなんて……ゲームだなほんとに。

 魔法とかもあるのかな? ……って、手から鰹節でたり昆布でたりするのは十分魔法だよなぁ……」


 歩きながらも色々と鰹節と昆布を研究している。

 昆布が俺を守ってゴブリンを絡みつけてくれたように考えていたが、実際には大量に浴びせかけて偶然絡まったというのが事実なんだろう。自発的に動く昆布はいなかった。

 排出の勢いはかなり融通が利くことも分かった。

 伝説の剣鰹節ソードの方もかなり融通が利く。

 幅広の剣から刀のような形状、レイピアみたいにとがった形、槍みたいに長くもなる。

 スコップみたいにして土を掘ってみたけどサクサクと土の中に入る感覚は癖になる。

 差し込んで体重をかけても折れることもなく簡単に土を掘り返してくれるし、なんて頼りになるんだろう。盾の形にもなってくれた。なお、汚れがついてもしまえば全部俺の手にへばりつくだけで鰹節は清潔そのものだ。昆布も。

 齧っても旨い、恐ろしく硬いけど。

 削り節は本当に美味しい。特に極薄づくりと名付けた向こう側が透けるほどの物は、出汁を出すには向かないが直接食べると今まで食べたことが無い世界が広がっていた。

 一瞬で口の中で溶けて透き通ったうま味だけを楽しめる。

 細く出した生昆布を細かく切って一緒に楽しむと味の洪水に飲まれそうになる。

 出来ることなら炊き立てのご飯に乗っけて卵の黄身を落として醤油をかけてかきこみたい……


 ぐ~~~~~~~~~~~~~~


「いかん、想像したら腹がなった……」


 とりあえず昆布の鰹節がけを食べて空腹をごまかす。

 正直、そろそろちゃんとしたものが食べたい。

 昆布のおかげでおなかの調子がいいのか、グルグルと動いている。


「流石にこれを続けていたら下痢になりそうだな……はっ!?」


 もしも、もしもこの状態で便意を催してしまったら……さっき立小便はしたが……

 大は大問題だ! 拭く紙がない!!


「さ、最悪はこの草だな……今のうちから少し集めておこう……」


 異世界のトイレ事情は厳しい……

 運よく便意は襲ってこなかったが、街道をテクテクテクテク歩いているのだが、未だに誰にも会わないし、建物の気配もない。


「魔物に遭わないだけでも感謝するべきか……」


 どうしてうかつなことを言ってしまうのか、俺は自分を殴ってやりたい。

 鰹節ハンマーでぶっ叩きたくなる。

 俺の発言をスイッチにしたのかイベントが開始される。


「キャーーーーーー!!」


「悲鳴!? この先か!?」


 街道の先から女性の悲鳴が聞こえる。

 俺は走り出した。誰かに危機が迫っている可能性もあるし、なにより人に会える!


 少し走ると道の先で戦っている人々が見えてきた。

 道の真ん中に馬車が停まって、その周囲であのゴブリン達と人間が戦っていた。

 人間たちは騎士のような鎧を着ている人物やローブを着ている人が杖から炎を出している。

 流石の俺も、ちょっとワクワクした。


「大丈夫ですか! 手伝います!」


 そう言えば日本語通じるの?


「すみません、助かります!」


 ご都合主義万歳!

 俺は3体のゴブリンを相手にしている騎士っぽい人のゴブリンに狙いを定める。


「いけ! 鰹節ソード!」


 俺の号令に反応して鰹節が鋭い槍に変化してゴブリンの頭を貫く。

 この鰹節、いちいち殺し方がエグイ。ちょっと吐きそうになったけど我慢して残りの二体も切り伏せる。こん棒で防御しようとしたゴブリンもいたが、抵抗なくこん棒ごと真っ二つだ。

 死体は見ない、死体は見ないぞ。


 そのまま走って周囲のゴブリンを狩っていく。

 人助けのためという大義名分があると、不思議と罪悪感が薄れる。

 倒した後に塩になることも、ゴブリンが生物じゃないんじゃないか? という希望的観測を後押ししてくれる。

 ゴブリン達の意識は襲っていた人に向いているので、簡単に不意を突く事が出来た。

 すぐに馬車の人たちが優位に立って、ゴブリン達は掃討された。


「はぁはぁはぁ……」


 正直、走ってからの戦闘は、息が上がった。

 人目もはばからずに膝に手を当てて呼吸を整えていると、襲われていた騎士の人が近づいてきた。


「君のおかげで助かったよ。もう少しで完全に崩れるところだった……」


「いえ、ハァハァ、何とか間に合って、はぁはぁ、良かったです」


 顔を上げるとそこには金髪のめちゃくそイケメンが手を差し伸べていた。

 同性から見てもヤバい、語彙がなくなるほどのヤバいヤバさだ。

 輝く金髪に白銀の鎧、透き通るような青い瞳、王子様かよ!

 少しポーっとしながら差し出された手を握るとぎゅっと握り返される。ぽっ。


「君は旅をしているのか? さっきの武器は創造魔法の一種かな?」


「俺、ぼ、じ、自分は気がついたらこの先の草原に立っていて、自分がどこから来たのかわからないんです」


 イケメンに当てられてべらべらと話してしまったが、これ、怪しさ満点じゃない?


「そうか、君は迷い人か。それならば不思議な武器も理解できる。

 しかも迷ってすぐとは……よし、ちょっと待っていてくれ、主に相談してくる」


「あ、はい、すみません」


 どうやらいい人のようだ。しかも迷い人とか言っていたな。

 もしかしたら俺みたいに転移してくる人がいっぱいいる世界なのかな?

 周りで戦闘の後片付けをしていた人々も目が合うと手を挙げて挨拶をしてくれる。

 どうやらこの人たちは悪い人では無いようだ。

 そして、ゴブリンが塩になると全部集めてツボにしまっているのが印象的だった。

 例の宝石も集めている。

 

 あのローブの女性が魔法使いかぁ、凄いなぁ、あ、あの司祭みたいな人怪我の治療してる!

 回復魔法もあるのか!

 てか、みんな美形すぎませんか?

 7・8人作業している人たちがみんなスタイル抜群のイケメンと美女なんだが……


 そんな風にワクワクしていたら、馬車からイケメンが戻ってきた。

 

「主がぜひ同乗して欲しいとおっしゃっている。この先の街まで共に行こう」


 やだ、またイケメンが手を……ちょっと照れながらもう一度握手する。


「俺の名前はライトだ。君の名前は?」


「あ、露丸、出涸 露丸です」


「ツユマル、東の方の国の名に似ているね。

 君も黒い髪だから関係があるのかもしれないね。

 さぁ、馬車に乗って欲しい」


 案内されるままに馬車へと連れてこられる。


「サーナ様、迷い人、ツユマル様をお呼びしました」


「どうぞ」


 おっ、声を聴くだけでわかる。この人は美人だ。

 ライトさんが馬車の扉を開くと、俺の想像の114514倍の美女がそこに座って微笑んでいた。

 

 


流石に即興で書くのはここまでが限界。

また書きます。


読んでいただいてありがとうございます。

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