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60.難航する探索

 今日も依頼の魔剣捜索へ行こうと思う。


 フロスティとの待ち合わせ場所である冒険者ギルドへ行くと、ギルドにいた冒険者たちから少し浮足立った雰囲気を感じた。


 近くにいた冒険者に聞いてみると、どうやら転移碑の調査のために派遣されていた冒険者が、昨日遅くに転移碑を利用して帰還したらしい。


 転移碑が実際に使用可能であることの確認ができたギルドは今朝、冒険者に向けて転移碑の存在を公表したのだそうだ。


 ……転移碑についてギルドへ報告したのはうかつだったかもしれない。


 まあ、地上にしろ10階層にしろ転移碑の部屋への壁は崩れてしまっているので、見つかるのは時間の問題ではあるが。


 おそらく転移碑のことを知った中級以上の冒険者たちは、これからこぞって10階層にある転移碑のアクティベートに向かうだろう。


 そして日帰りできるようになった11階層以降の階層で積極的に探索をするに違いない。


 人が増えるとそれだけ人目を気にしながら隠し部屋探しをしなくてはいけなくなる。


 脳内マップがあるので避けることは容易ではあるが、いちいち他の冒険者を避けていては探索もはかどらないであろう。


 ということで今日からはテンポアップして隠し部屋捜索をすることに決めた。


 フロスティにも積極的に魔物を狩るのは遠慮してもらえるようお願いする。


 彼女自身、MP切れで動けなくなったことに思うところがあったのだろう、一つ返事で了承してくれた。


 それから数日、ケントたちは魔剣探しを続けた。


 その過程でいくつかの隠し部屋を発見したのだが、


「魔剣が出ない!!」


 黒色の宝箱を前にケントは嘆いていた。


 現在13階層にあった隠し部屋の中にいる。


 11階層以降、各階層に2部屋ずつ隠し部屋を発見しており、今いるのは13階層で2つ目に見つけた隠し部屋である。


 転移碑を見つけてから6部屋目の隠し部屋になるわけだが、一向に魔剣に出会える気配がない。


 もちろんどの隠し部屋にも黒い宝箱はあった。


 だが中に入っていたのは相手の魔法攻撃によるダメージを減少させるコートや敏捷を上昇させるブーツ、MPの総量を増加させるネックレスなどであった。


 もちろんこれらの装備も貴重なものではあるが、今探しているのはこれらではない。


 魔剣が欲しいのだ!


 初めての隠し部屋で魔剣を手に入れることができたがために、魔剣探しという通常なら難しい内容の依頼でもすぐに達成できると思っていた。


 だがしかし、そううまくはいかなかった。


 少し考えればわかることだったのだ、宝箱からは魔剣以外の物も出るということを。


 このままいけばひょっとしたら20階層を越えてしまうかもしれない。


 この依頼は元々魔物の弱い上層でも魔剣が入手可能だと判明したためにフロスティから依頼されたものだ。


 20階層以降では数年に1度ではあるが、通常の宝箱からも魔剣が発見されている。


 だがその分出てくる魔物も強力になる。


 フロスティの実力や安全を考慮して上層で魔剣探しを行っていたのに、20階層以降へ進んでは本末転倒だ。


 おそらく隠し部屋で入手した装備でミランダとフロスティをがちがちに強化すれば、問題なく20階層以降の探索を行えるようになるとは思う。


 ケントにも余力は十分にあるので20階層程度ならば、今までと同様に探索可能なはずだ。


 だがそれは本意ではない。


 魔剣さえ入手できるのであれば20階層以降へ行って探索しても問題ないかもしれないが、それではケントたちが依頼を受けた意味がなくなってしまう。


 隠し部屋探しをするためにフロスティはケントたちへ依頼したのだ。


 隠し部屋から魔剣を入手できなければ、依頼は達成できたとしても納得がいかない。


 くだらないこだわりではあると思うが、そう思ってしまうのだから仕方がない。


 とはいえ隠し部屋から魔剣が入手できるかどうか、こればかりはケントにもどうしようもない。


 運に任せるしかないのだ。


 大丈夫、19階層までは後6階層ある。


 1階層あたり隠し部屋が2つずつあったとしてあと12部屋だ。


 それだけあればきっとどこかの宝箱には魔剣が入っているはずだ。


 そうしてさらに探索を続け、期限の1ヶ月を目前に控えた今日、ついに19階層まで到達してしまったのであった。


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