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51.フロスティの実力

 ダンジョンへ向かう途中で聞いたところ、フロスティは火魔法が得意らしい。


 名前がフロスティなのに氷じゃなくて火なのかと心の中で突っ込む。


 いや、まあ、氷魔法なんて使えるのはケントのほかにいるのかどうかもわからないが。


 ケントのだって本質は水魔法であることだし。


 とりあえず互いの実力を確認するために、1階層でゴブリンを相手に戦ってみた。


 ミランダはもちろん片手直剣でゴブリンを倒したが、ケントも魔法は使わず魔剣のみで相手をした。


 今回は手の内を明かすことにしたが、必要以上にスキルを見せる必要もあるまい。


 そして本題のフロスティの実力だが。


 火魔法で生成した拳大の火の玉、いわゆるファイヤーボールをぶつけて攻撃していた。


 ファイヤーボールの直撃を受けたゴブリンは一撃で撃破された。


 撃破されたのだが…。


 魔法の発動に時間がかかり過ぎではないだろうか。


 ケントが事前にゴブリンの接近を知らせていたから発動が間に合ったが、遭遇戦になったら厳しいようなきがする。


 それにファイヤーボールのスピードも遅い。


 知能の低いゴブリンゆえに正面から突っ込んでくるだけなので比較的容易に当てることができていたが、これが機動力のある相手、例えば8階層にいたジャイアントバットなんかが相手ならば攻撃を当てるのも一苦労であろう。


 フロスティが手を抜いていた可能性もあるが、ゴブリンを倒した後こちらを向いてどや顔をしていたところを見ると、これが彼女の実力なのだろう。


 というより、どや顔できるということは世間一般の魔法使いのレベルはフロスティより低いのかもしれない。


 これではダンジョン探索などできないのではないだろうか。


 というようなことをこっそりミランダに話したところ、


「普通の魔法使いはケントみたいに前に出て戦わずに、後ろの方から前衛が押さえている魔物を攻撃するものよ。

 それにフロスティ様の魔法は十分にすごいわ。

 攻撃力、発動速度、発射速度のどれをとっても最低でもCランクの実力はあるわね。

 ケントのように自由自在に、それも高威力の魔法を際限なく使えるほうがおかしいのよ…」


 とジト目で言われてしまった。


 良い目だ、興奮する。


 しかしなるほど、初めて他人が魔法を使っているところを見たが、これは人前で魔法を使うときは思っていたよりもいっそう手を抜かなければいけないかもしれない。


 際限なく水を出すのはもちろん、体の洗浄もおそらく駄目だろう。


 メヌエットに回復魔法を使ってしまったが、あの時はオーベルもヴィオラもミランダと共に周囲を警戒していたし、ばたばたしていたので、メヌエットの傷の程度もよくわかっていなかったはずだ。


 もちろん人命が優先だが、ケントとして使うときは回復効果を弱めに、重症の時は隠密状態で使うことにしよう。


 ◇


 1階層で実力を把握した後は最短ルートで9階層前の安全地帯まで進み、本日の活動は終了ということになった。


 ここで一晩を明かし明日、9階層を探索するということになっている。


 いつもはミランダと2人なので問題なかったが、3人になるとケントたちのテントでは少し狭い。


 フロスティ用にテントをもう1つ用意することを提案していたのだが、「詰めて寝れば問題なかろう」と依頼主に言われてしまえばどうすることもできない。


 結果ミランダを真ん中に左右にケントとフロスティが寝ることになった。


 ケントがテントの外で寝ることも提案したのだが、「私のせいで狭いのだろう?ならば私が外で寝よう」とか言って外に出ようとするフロスティを何とか引き留め、結局3人で詰めて寝るということで決着した。


 狭いテントであるため、いつもよりミランダが近かったことは役得であったといえよう。


 ちなみに体の洗浄や料理については、契約によってフロスティが他言しないということだったのでいつも通りに行った。


 驚きすぎて興奮状態のフロスティによるボディータッチがすごかったが、フロスティの手以外の部分がケントに触れそうになると、すぐにミランダが引きはがしてしまったので少し残念だった。


 それにフロスティに頼まれてフロスティを水魔法で洗浄したのだが、ミランダが目を光らせていたため大人しく廃棄せざるをえなかった。


 ミランダのガードがマジ堅い。


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