表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/90

32.泊りがけでダンジョンへ

今日は初めて泊りがけでダンジョンに潜る。


ミランダに聞いたところ、彼女は7階層まで潜ったことがあるらしい。


しかし、日帰りでの効率は5階層のほうが良かったようで、今の5階層を探索するスタイルに落ち着いたそうだ。


今回はせっかくなのでミランダも行ったことのない8階層へ行ってみようと思う。


初日に8階層まで潜り、2日目は1日8階層を探索し、3日目に帰るという2泊3日の予定だ。


泊りがけなので荷物がいつもより多いが、そこはアイテムボックスがあるので問題ない。


手ぶらは不自然なので、ケントはダミーのリュックサックを背負っているが、ミランダの荷物はすべてアイテムボックスの中だ。


ケントはサポート役として潜っているわけなので、ミランダが手ぶらでもケントが2人分の荷物を持っているのだと思うだろう。


それに前衛のミランダが身軽なのは理にかなっているはずだ。


決してミランダに格好つけたくて荷物を預かったわけではない。


ないったらない!



5階層前の安全地帯で一度休憩を挟み、夕方には8階層前の安全地帯に着いたらしい。


らしいというのはケントの体内時計ではまだダンジョン内で時間を推し量れないので、ミランダに聞いたためである。


日帰りならまだしも今回の様に泊りがけともなるとキッチリとした体内時計の有用性は言うまでもない。


ダンジョンに潜るたびにどうにかならないものかと思うが、慣れるしかないだろう。


8階層前の安全地帯までは最短ルートで来たため、魔物は他の冒険者に狩りつくされており、戦闘は6階層でゴブリン3匹の団体との戦闘を1回行っただけである。


7階層へのルート上だったので他の冒険者に見られる恐れがあったため、ミランダに倒してもらった。


ケントはというと、ミランダ1人でも問題なく倒せそうであったが一応後衛として働こうと思い、ミランダが1体ずつ闘えるよう他の2体の顔面に水球をぶつけて牽制していた。


ちなみにゴブリンがいるのは1階層だけということはない。


もちろん1階層のゴブリンより下層のほうが強力なゴブリンが現れる。


各階層において、今までいた魔物が出現しなくなったり、反対に今までいなかった魔物が現れたりということは確認されていない。


したがって現れない階層では決して遭遇することはないが、出現する階層ならばたとえどれほど下層であろうともゴブリンと戦闘になるのである。


閑話(それは)休題(さておき)


8階層前の安全地帯にはすでにいくつかテントが張られていた。


テント前で座って雑談をしながら夕食を摂っている冒険者もいたが、物音のしないテントもいくつかみられた。


既に寝たのだろうか。


もし留守にしているのなら少し防犯意識が低いのではないだろうか。


そう思いミランダに聞いてみると、


「たぶんテントの中で今後の予定を話し合っているんじゃないかしら」


「えっ、でも話し声とか聞こえないけど」


「それはテント自体が遮音機能のある魔道具だからでしょ。

 冒険者の中には盗賊まがいのことをする連中もいるらしいから。

 これからの予定を聞かれて先回りされて、襲われるなんてこともあるらしいわよ」


「冒険者が冒険者を襲ったりして後で問題にならないの?

 同じ冒険者同士なら顔見知りだったりするでしょ?」


「そこはまあ、いろいろあるでしょ。

 例えば襲った時に殺しちゃえば死体はダンジョンが処理するから証拠は残らないし、殺さないにしても先回りできるのだから、睡眠薬なり目つぶしなり罠を仕掛けて姿をみられないようにすれば、誰が襲ったかわからないでしょ。

 あとはそうね、冒険者とは別に実行部隊がいれば仮に襲った時に姿を見られても少なくとも冒険者に被害は出にくいんじゃないかしら。

 ダンジョンは入り口で入室管理をしているとはいえ、あれは冒険者ギルドが善意でやっている救済処置用のものだからね。

 名前を書く義務はないから誰にもばれずにダンジョン内に入ることくらい誰にでもできるわ。

 私はダンジョンで襲われたことがないから実際はどうなのか噂でしか知らないけど、襲った連中が捕まることはほとんどないそうよ。

 捕まるにしても返り討ちに遭うような間抜けな奴らばかりみたい」


(殺しに睡眠薬か…。

 そういう世界だってわかってはいるけどまだ慣れないな。

 それにしてもミランダがいてくれて本当に良かった。

 俺1人だけならいいカモになっていただろう。

 そうやすやすとやられるつもりはないけど、罠で眠らされたりしたら抵抗のしようもないだろう)


「ミランダがいてくれて本当に助かるよ、ありがとうね。

 音を遮断するテントがあるなんて初めて知ったし、ダンジョンで罠を仕掛けられるなんてことも知らなかったよ」


「罠はともかくテントについてはお店でテントのコーナーの商品説明にも書いてあったでしょ。

 私たちのテントにも遮音機能付いているわよ。

 まあ、安いから大声を出したりすると、外に漏れたりするらしいけど。

 良いテントになると遮音だけじゃなくて中にいる間HPやMPが回復するものや、一定時間のステータスアップ効果を付与してくれるなんてものもあるそうよ。

 私たちには当分手が出せないような高価なものばかりだけれどね」


(そんなことが書いてあったのか。

 まったく見てなかった…)


ケントは実家暮らしであり、生活に必要なものは基本的に両親が購入していた。


ケント自身あまり物欲が無かったため、ほとんど買い物をすることもなく、たまにコンビニで飲み物を買うくらいだった。


そのため商品を買う際も説明など読んだことがなかった。


今まではそれで別段困ったことはなかったが、これからはそういうわけにもいかないだろう。


なにせ死が身近にある世界なのだ。


情報を1つ見落としただけで命を落とすなんてこともあるかもしれない。


これからは注意していこう。



読んでいただきありがとうございます。

もし興味を持っていただけたら感想やブクマ、評価などいただけると励みになります。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ