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3.初めての魔法

 さわやかな風が吹き抜けていった。


 太陽のあたたかな日差しを感じる。


 瞼を開けると快晴の空が眼前に広がった。


 起き上がり辺りを見渡すと一面青々とした草に覆われた草原のようだ。

 どうやら無事に転移は成功したらしい。


 女神様に会ったから異世界に転移したと理解できるが、そうでなかったらここが異世界だなんて気が付かないだろう。

 太陽もちゃんと一つだけだし。


 服装も飾り気のない村人Aみたいな格好になっている。


 あれっ、眼鏡がない!

 でも特に見えにくくなった気はしないしな、女神様のサービスかしらん。


 大きく伸びをした後、とりあえずステータスを確認してみることにした。


 (ステータス!)


 ~ステータス~

【名前】ケント イツミ  【年齢】17  【性別】男

【種族】ヒト

【称号】転移者

【レベル】1

【HP】20/20

【MP】360/360

【力】F

【耐久】F

【器用】F

【敏捷】F

【魔力】S

【スキル】

 エランティア言語理解 エランティアヒト種常識 回復魔法Ⅹ 空間魔法Ⅹ 水魔法Ⅹ 鑑定Ⅹ 隠蔽Ⅹ 隠密Ⅹ


 目の前に半透明の板が現れ、そこにはステータスが記されていた。


 (レベル1か~。まぁ、この世界に来て何もしていないから仕方ないかもしれないけど)


 レベル1では普通に生きていくにしても心もとない。

 冒険者をしながらコツコツ上げていくとしよう。


(HPに比べてやけにMPが高いな。魔法スキルを貰った影響かな。魔力もやけに高いし。ん?スキルの横にあるⅩって…、まさかレベル?そっか~、スキルにもレベルがあるのか。Ⅹってどれくらい強いんだろう。常識の中にもないしわからんな)


 ステータスは基本的に鑑定しない限り自分のものしか見ることができない。

 そのためスキルレベルについても予想することはできても常識としては広まっていないのだろう。


(試しに魔法でも使ってみるか。まず空間魔法を試してみよう)


 魔法を使おうと意識すると使い方が何となくわかった。

 どうやら固有の魔法があるわけではないらしく、術者によって創意工夫が可能なようだ。


(開けアイテムボックス(仮)!)


 念じると目の前の空間が小さく裂けた。

 おそらくこれがアイテムボックス(仮)なのだろう。


 試しに草を引き抜いてアイテムボックス(仮)……もうアイテムボックスでいっか。

 草をアイテムボックスに放り込んで空間を閉じた。


 そして再びアイテムボックスを開き、中に手を入れると草を取り出すことができた。


 ステータスでMPを確認すると値が2減っていた。


(1回開閉するたびにMPを1消費するのか。便利な魔法の割にめちゃくちゃ燃費がいいな!あっそうか、常識さんによると魔力が上がるほど魔法を使った時の燃費が良くなるのか。魔力Sは伊達じゃないみたいだな)


 MPは時間で自然回復するみたいだし、普段アイテムボックスを使用するときMP残量を気にする必要はないのかもしれない。


(アイテムボックスの中ってどうなっているんだろう。中に入れたもの同士が干渉したりするのかな)


 今度はアイテムボックスに草と水魔法で生み出した水を入れてみよう。


 まず草をアイテムボックスの中に入れる。


 そして水魔法!

 手のひらから少量の水が湧き出るのをイメージする。

 すると、手のひらから小さな噴水のように水が噴き出した。


(まるで宴会芸だな。宴会なんかしたことないけど)


 口を近づけて一口飲んでみた。

 うん、うまい!


 手のひらをアイテムボックスのほうへ向けて水を入れる。


 水を入れるのをやめてから一度アイテムボックスを閉じ、再び開いて草を取り出すと濡れていない。

 どうやら個別保管ができるようだ。


 もう一度草をアイテムボックスに入れ、今度は中で草と水が混じり合うイメージをした。

 そして草を取り出すと、草は濡れていた。


(アイテムボックス内の物同士の干渉は自由に選択できるのかぁ。これは便利だな。)


 食べ物とか入れるたびに梱包するのは面倒だしね。


(アイテムボックスってどこにでも開けるのかな)


 試しに頭上や10mくらい先に開いてみたが、無事開くことができた。


(次は鑑定を試してみるか)


 とりあえず手に持っていた草を鑑定してみた。


 ~鑑定~

【名称】草

 草原などでよくみられる植物。特に名称はなくただの草、雑草と認知されている。


 頭の中に鑑定結果が浮かんできた。


(そっか~。おまえ名前なかったんだな。これからもめげずに強く生きろよ!)


 名前のない草にひとしきり同情したところで、次に隠蔽を試してみる。


(とりあえず【称号】と【MP】、【魔力】、【スキル】はどうにかしないとな。転移者とか怪しすぎるし、【MP】と【魔力】もレベル1にしては高すぎる。【スキル】も言語理解とか常識とか普通のヒトは持ってないだろうし、空間魔法も珍しいだろうからな。鑑定や隠蔽も余計なトラブルを招くかもしれないし。スキルレベルⅩってのがどれくらいかわからないけど、一応下げておこう)


 ~ステータス~

【名前】ケント イツミ  【年齢】17  【性別】男

【種族】ヒト

【称号】村人

【レベル】1

【HP】20/20

【MP】36/36

【力】F

【耐久】F

【器用】F

【敏捷】F

【魔力】D

【スキル】

 回復魔法Ⅰ 水魔法Ⅰ 隠密Ⅰ


 こんなところだろう。


 レベル1は低すぎて怪しいかもしれないが、どれくらいにすればいいのか常識ではわからない。

 それに弱く偽るのは気分がいいが、強く偽るのは気の弱い俺には無理だ。


 強く偽るとその分周りの期待も高まるだろうし、注目もされるだろう。

 そんなプレッシャーに耐えられる気がしない。


(今試せるのはこれくらいかな。ケガしてないのに回復魔法使ってもよくわからないし、言語理解や隠密は相手が必要だしね)


 それでは俺にとっての始まりの街「ランドン」へむけていざ出発!


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― 新着の感想 ―
[一言] 鑑定「X」で『雑草』っていうのは雑すぎる。  ネット植物図鑑でもググってそれらしいものに異世界風の名前を付けて,といった一手間をかけた方がわくわくすると思う
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