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12.ゴーレム

 拘束を解除したところ、ゴブリンたちは警戒こそしているものの襲い掛かってくることはなかった。


「確認したいことがあるのですが、あなた達ゴブリンと会話できることは普通のことなのですか」


「今まで見てきたやつで言葉が通じたことのある奴はいなかった。

 他の仲間からもそんな奴聞いたことがない」


 こちらの様子を窺いながらニートゴブリンが答えてくれた。


(やはり言語理解のおかげか~。

 しかし困ったな。

 魔物を倒さないとレベルが上がらないぞ。

 スキルを使ったりするだけでも多少はレベルが上がるみたいだけど、年単位で時間がかかるみたいだしな)


「私たちがゴブリンを討伐していることについてどうお考えですか」


「どうということはない。

 弱い奴が狩られるだけだ。

 我々が弱ければ狩られて魔石を盗られ、お前たちが弱ければ装備や食料を盗られ我々の飯になる。

 弱者が強者に言うことはない。

 自然の摂理だ」


 (なかなか達観していらっしゃるな。

 弱肉強食ですか。

 つまり、俺が他のゴブリンや魔物を倒しても少なくともこのゴブリンたちは俺の行いを否定することはないってことだな)


「ではこの森に非生物であるか対話ができないほど知能が低いか凶暴な魔物はいますか」


 いわゆるゴーレムみたいな魔物や問答無用で殺しに来る魔物ならこちらも遠慮なく攻撃できると思ったからだ。


「森の奥に行けばいる。

 知能と強さは必ずとも比例するわけではないからな。

 我々より強い魔物でも本能でしか動けない奴はいくらでもいるからな」


(お~、それは助かる。

 レベルアップできないのは死活問題だからな)


「そいつらと闘うつもりか」


「はい。

 対話ができる相手だと攻撃することに少々抵抗がありまして。

 しかし魔物を倒さなければ強くなることはできないので」


「お前ほどの腕なら自分でゴーレムを創ることができるんじゃないか。

 ゴーレムは魔物だ。

 倒せば糧になるだろう」


「そんなことができるのですか」


「前に土魔法を使える魔物がゴーレムを創っているところを見たことがある。

 …あぁ、でも確か核になる魔石は別に用意する必要があるみたいだったな。

 我々を見逃してくれるのなら今持っている魔石をくれてやろう」


「今更攻撃したりしませんよ。

 魔石はありがたくいただきますね」


 そう言って俺はニートからぼろきれでできた袋を貰った。


 中を見るとサイズの異なる魔石がいくつか入っていた。


 魔物によって魔石の大きさが違うためであろう。


「大きい魔石ほど強力なゴーレムを生みだせるようだった。

 もっとも今の我々ではとても敵いそうになかったから、実際に戦ったわけではなく推測だがな」


「貴重な情報ありがとうございました。

 この魔石も大切に使わせていただきますね」


「…今回見逃してくれることには感謝する。

 だが次に会った時に我々のほうが強いと確信したならば容赦なく攻撃させてもらおう」


「それは困りましたね。

 皆さんに負けないように努力していこうと思います」


 こちらの目をジッと見た後、ニートは他のゴブリンを連れて森の中へ姿を消していった。


 ◇


(いいことを聞いたな~、ゴーレムか。

 魔石を手に入れようと森に入ったのに魔石を使っちゃうのは本末転倒な気もするけど、自分で生み出したゴーレムを倒すだけでレベルが上がるなら手間もかからないし、精神衛生的にも健全だな。

 でもそんな便利な方法があるなら常識の中にあってもいいと思うけど。

 魔石が必要なところがネックなのかな。

 それともゴーレムを創るのが難しいとか)


 思うところはあるが、せっかく貰った魔石もあるのでとりあえずゴーレムを創ってみることにした。


(ニート君の…ニートは失礼か。

 えっと、ベルの話だとゴーレムを創っていた魔物は土魔法を使っていたみたいだけど、そもそも水魔法で代用ができるのかが問題だよな。

 もしだめなら土魔法を覚えるところから始めなきゃいけないけど)


 ひとまず魔石を一つ取り出して目を閉じ、ゴーレムを創るイメージで水魔法を発動させてみた。


 使ったのは1cm程の大きさの魔石だ。


(ゴーレムっていったらやっぱり二足歩行だよな。

 身長3メートルくらいで手足が太くて…)


 前世でやったゲームに出てきたゴーレムをイメージしながらゴーレムを形成していく。


 不安だったが手ごたえはあった。


 イメージが固まったところでゴーレムができた感覚がしたので目を開けた。


 するとそこにはこちらに背を向けて直立するゴーレムの姿があった。


読んでいただきありがとうございます。

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