11.ゴブリンとの遭遇
隠密を発動させながら森の中を歩いた。
今のステータスだと不意打ちで一撃死しかねないからだ。
(オリヴィアさんが浅いところには滅多に魔物が出ないって言っていたからな。
少し奥まで行ってみよう)
周囲を警戒しながら歩いていると3匹のゴブリンを発見した。
5歳児程度の身長で緑色の肌、尖った耳に醜悪な顔。
腰には毛皮らしきものをまいており、手にはそれぞれ槍や直剣、曲刀を持っている。
念のため鑑定もしてみた。
~ステータス~
【名前】ジョン 【年齢】7 【性別】男
【種族】ゴブリン
【称号】狩人
【レベル】2
【HP】23/23
【MP】3/3
【力】E
【耐久】F
【器用】F
【敏捷】F
【魔力】F
【スキル】
剛腕Ⅰ
(ジョンっ!?
ゴブリンって個人名あるの!?
7歳ってゴブリン的には大人なのかな。
子供だったら少しやりにくいな…。
狩人ってことはよく動物とか捕まえているのかな。
…まさかヒトを狩っているってことじゃないよね)
好奇心がうずいたケントは他の2匹も鑑定してみることにした。
~ステータス~
【名前】ケイン 【年齢】8 【性別】男
【種族】ゴブリン
【称号】狩人
【レベル】3
【HP】26/26
【MP】5/5
【力】E
【耐久】F
【器用】F
【敏捷】F
【魔力】F
【スキル】
剛腕Ⅰ
~ステータス~
【名前】ベル 【年齢】10 【性別】男
【種族】ゴブリン
【称号】ニート
【レベル】5
【HP】30/30
【MP】10/10
【力】E
【耐久】E
【器用】E
【敏捷】F
【魔力】F
【スキル】
剛腕Ⅰ 剣術Ⅰ
(なんか一人ニートが混ざっているんですけど!?
しかも一番強いし。
ニートが剣術覚えちゃってるんですけど。
ゴブリンたちにとってニートって天才とかそういう感じなの?)
相手の強さを測るために鑑定したはずだったが、それどころではなかった。
思わぬ精神攻撃をくらってしまったが、倒せないことはなさそうなので倒すことにした。
確実に仕留めるためにゴブリンたちの足元を凍らせる。
「うぉ!何だこれ!?」
「急に足元が凍ったぞ!?」
「落ち着け!敵の攻撃かもしれん、周囲の警戒を怠るな」
(えぇ~、ゴブリンって喋るの!?
なんかニートが一番冷静だし。
頑張れよ、狩人の2人!
さすがにしゃべる相手をいきなり襲って倒すのは気が引けるな。
とりあえず話しかけてみるか)
そう考えケントは隠密を解除してゴブリンたちの前に姿を現した。
「あの~、すみません。
少しよろしいでしょうか」
「っ!どういうことだ!ヒトがしゃべったぞ!」
「いつもよくわからない奇声を上げているだけなのに!」
「取り乱すな!おそらくこいつが凍らせた犯人だ。
注意を怠るな。
おいお前!なぜ我々と話すことができる!」
(…ホントどうしてこいつはニートをやっているのだろう。
それはさておき、どうやら言葉は通じるらしい。
しかし、今の様子だと普通のヒトは通じないみたいだよな~。
…まさか「エランティア言語理解」のスキルのせいか!
ヒトと会話ができるようになるだけじゃなくて魔物ともコミュニケーションとれちゃうのか~。
便利なスキルなんだけど、魔物が会話可能だとわかっちゃうと途端に倒しにくくなるな~)
「すみません。
こちらも言葉が通じるとは思っていなくて。
突然凍らせてしまいすみません。
今溶かしますので、できれば襲い掛かってこないでいただけるとありがたいです」
「うるせー!さっさとこれをどうにかしろ!
これさえなけりゃお前なんか今すぐぶっ殺してやるぜ!」
「落ち着け。
こいつは我々に察知されることなく身動きを封じてしまった。
しかも一瞬で、だ。
もし我々が襲い掛かろうとしてもすぐに凍らされてしまうぞ。
それに今は対話できているが、襲い掛かろうとした相手に慈悲があるとは思えない。
次こそ殺されるぞ。
こいつは我々よりも強い。
見逃してもらえるようなら見逃してもらい、それがかなわないようならその時一矢報いてやればよい。
だから今は大人しくしていろ」
(…ニートって何なのだろう)
「ご理解いただきありがとうございます」
そういってケントは氷を水に戻した。
読んでいただきありがとうございます。
感想やブクマ、評価などいただけると励みになるのでよろしくお願いします。





